[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]
全国消団連 主催 地方消費者行政シンポジウム 市町村消費者行政充実のための交流会
来年度の「地方消費者行政活性化基金」の終了が地方消費者行政に与える影響を危惧し、懸念する声が行政や消費者団体等からあがっています。 全国消団連では、7月19日(木)に主婦会館プラザエフB2 クラルテにおいて、市町村の消費者行政の充実・強化に焦点をあて、参加者の皆さんとパネリストの皆さんがともに考え、アイディアを出し合うディスカッションを行いました。49名の皆さんにご参加いただきました。 *パネルディスカッション 「国・消費者庁の役割について」「財源確保のための自治体の工夫や努力、行政と消費者団体との連係、消費者団体への期待」について検討を進めるため、パネリストの皆さんから、国、地方自治体における消費者行政の現状と課題から問題提起していただき、全国消団連 阿南事務局長のファシリテートで参加者の皆さんと議論を進めました。パネリストは、次の6名の皆さんです。
パネリスト
問題提起 まず、消費者庁地方協力課課長の林さんから、国として、@地方消費者行政の現状 A財政的な支援について B地方消費者行政活性化基金の5億円上積み C消費者庁の取組み D「地方消費者行政の充実・強化のための指針」について、の5項目についてお話下さいました。 林さんのお話では、今後、独自の窓口や相談機能もない地域をどのようにカバーするかが大きな課題である、とのことでした。まだまだ消費者行政の重要性への認識が希薄な市町村もあり、それを支える都道府県の役割が重要になっている、その中で国と都道府県の連携がポイントであり、消費者庁としても支援が必要だと考えているそうです。また、「地方消費者行政の充実・強化のための指針」のパブリックコメント募集では、一般からは300件超、地方自治体からは約370件の意見が寄せられ、特に、総務省に対して相談員の処遇改善を望む声が多かったとのことでした。 その後、神奈川県鎌倉市職員の安江満雄さん、千葉県旭市職員の仲條知子さん、石川県消費者団体連絡会の青海万里子さん、新潟県生協連の渡辺茂さん、青森県消費者協会の白川弘子さんから、それぞれの地域での消費者行政の現状と課題、消費者行政充実強化のための取組み等について、お話いただきました。
ディスカッション 午後からは、会場の参加者の皆さんとともに、二つのポイントにしぼりこんでディスカッションを進めました。
消費者庁 林さんからは、活性化基金から人件費には3年間全体で約12〜13億円、15%程度が活用されているが、基金への依存度は人口5万人を境に人口の少ない自治体ほど高く、その多くは相談員の人件費、雇用に充てている、との説明でした。そのため、基金終了後の地方自治体、特に小規模な市町村での体制縮小の懸念が大きく、現在の消費者問題の複雑化や国際化が進んでいる状況で、国家予算も厳しい中、消費者行政支援のための予算確保は戦略的にも必要だと、話され、自治体、消費者団体に、消費者庁への協力を要請されました。 会場からは、一括交付金でない確実に消費者行政に充てられる予算の必要性、その中でも特に、相談員の人権費、研修費等の財源確保が必要であるとの意見、また、地方自治体内での消費者行政の位置付けの引き上げや、そのための実践データの整備が必要である、そしてナショナルミニマムとして消費者行政を位置付けるべき、等の意見が出されました。 地方消費者行政の体制整備は始まったばかりで、指針にあるような、積極的に取組んでいる自治体への継続的な財政支援だけでなく、『積極的に取組もうとしている』自治体にこそ、支援が必要だ、との声もありました。
初めに、鎌倉市の職員である安江さんが、地方消費者行政活性化基金のような財政支援の継続を歓迎する意見を述べられた上で、「首長に消費者行政の重要性を理解してもらうため、消費者団体の運動にも期待する」と述べられました。 旭市の仲條さんは、「来年度予算に向け、消費者生活センターの意義や、他の市民相談との違い、市民からの信頼度アップ等を粘り強く財政担当課に説明していきたい。先日、消費者団体から市議会へ地方消費者行政に対する国の財政支援を求めるための請願が提出され、意見書が採択された。市の幹部や財政当局に消費者行政の重要性を語るための大切な材料となるので、消費者団体には、ぜひこのような活動をお願いしたい」とお話し下さいました。 また、青森県消費者協会の白川さんは「行政には消費者団体を上手く利用してもらいたい」、石川県消団連の青海さんは「消費者行政という言い方に違和感がある。行政と消費者が対峙するのではなく、暮らしを安全・安心なものとする、同じ方向を向けるようなネーミングが欲しい」、新潟県生協連の渡辺さんは消費者教育も重要であることを述べられた上で、活性化基金終了後の窓口整備の実現性について不安を述べられました。 参加者からは、行政内の各部局の取組みと連携や双方の相乗りが重要だとの意見が出されました。消費者相談は日常の様々な相談を受け止める場となっており、担当部局での実績作りや市民へのアピール強化、また行政と消費者団体等が知り合うことからの連携の糸口を見つける、消費者団体の提言能力の強化、等といったアイディアが出されました。また、PIO-NETでの被害防止額の集約や、問題解決した相談者から首長や議員へのお礼状送付の協力のお願いなど、具体的なアイディアもありました。 また、自治体内での重要性や意識の向上についての取組みや努力については、首長を中心とした部局間会議の開催、被害金額等の実情調査とその対策費としての予算の要求等があげられました。また、行政と消費者団体の定期的な話し合いも必要であり、消費者団体からあきらめず意見を出すことが大切だ、そのためにはまず自分達の自治体がどのような状態にあるのかを消費者団体も把握し、県内市町村消費者行政の状況や他県との比較等を行政に対しアピールすることも、担当職員の後押しにつながるのだ、という意見もありました。 そして、一般の消費者、市民の理解を得るためにも、消費者行政という内容がわかりにくい名称でなく『暮らしをより良くする』など、普通の市民感覚でわかる言葉で表現できないか、といった意見もありました。 最後に、パネリストの皆さんから一言ずつ、まとめの言葉をいただきました。
全国消費者団体連絡会は、今回の交流会で参加者の皆さんからいただいたアイディアをもとに、次年度の国の予算要求に向けた提言を作成する予定です。近日中に、提言はホームページなどでご紹介いたします。 |