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確立しよう
くらしの場から消費者の権利を
第37回全国消費者大会分科会に850人全体会に570人が参加
第37回全国消費者大会は、昨年にひきつづき1000名を越える参加者で開催されました。実行委員会の構成団体も、昨年より5つ多い58団体で過去最高となりました。長びく不況をピンチとしてのみとらえるのではなく、チャンスに変え積極的に行動しようとする全国の消費者の心構えとパワーが実感できる大会でした。くらしの場から「消費者の権利」のよりいっそうの実質化をめざし、私たちの手で消費者本位、生活重視の社会を実現するためにがんばりましょう。
11月12日は7つの分科会と3つのワークショップがおこなわれました。
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第1分科会 「石油文明二つの難問から抜け出すために」
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第1分科会は「石油文明二つの難問から脱け出すために」というテーマで開かれました。二つの難問のひとつは「地球温暖化」であり、もうひとつは「有害化学物質の被害」です。
午前中は、まず、運営団体が検討してまとめた「第1分科会を始めるにあたって」を参加者に示し、どのような考え方でこの分科会を進めたらよいか、石油文明二つの難問を解決するために、今後どのように行動したらよいのかを提案し、確認されました。
次に原科幸彦氏(東京工業大学教授)の「環境配慮のための意思決定の透明化」と題する講演、アルゼンチンのブエノスアイレスで開催されたCOP4に参加した坂本淑子氏(京都消団連)からの報告を受け、その後質疑応答に入りました。
午後はA「地球温暖化防止のために」、B「有害化学物質の被害を防ぐために」の分科会に分かれ、報告者からの各々のテーマで発言を踏まえてグループ討論が行なわれました。
テーマは次のようです。
A分科会「地球温暖化を防ぐ快適生活」鈴木靖文氏(京都大学大学院)、「グリーン電力――消費者の選択」長谷川公一氏(東北大学教授)、「クルマ社会からの脱却」国府田諭氏(青空の会)、「環境影響評価法の概要と今後の課題」寺田達志氏(環境庁)
B分科会「子どもたちは泣いている(産廃とダイオキシン)」釜山信之氏(健康を考える会)、「化学物質の環境に与える影響」石渡裕氏、「こまるごみ・プラスチック」荻原二美氏(リターナブルビンを見直しペットボトルをやめさせる会)、「PRTRの課題」中野邦夫氏(日本生協連)
第2分科会 「語り合おう!食ってなあに」
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飽食ニッポンのなかで、TVやCMの情報に振り回され、自分の食生活はこれでいいのかという不安がいっぱいあります。子どもたちが「キレる」原因も食生活にあるのかもしれません。「ちゃんと食べる」という当たり前のことをもう一度考えてみようというのが、今回の分科会の目的でした。
最初の講演は、東京医科歯科大の藤田紘一郎教授による「健康を取り戻そう」。30年前にはほとんどなかった花粉症、アトピー性皮膚炎などアレルギー症に日本人の3人に1人が苦しんでいる。アレルギーと寄生虫との関連。健康を取り戻すためには常在菌との共生、日本型食生活の必要性を提起されました。
講演の2つ目は「今、子どもや若者の食生活は」がテーマに。子どもたちの描いた絵や調査結果をもとに、(財)生協総合研究所の西村一郎研究員からの報告でした。豊かな食生活を構築していくためにはコミュニケーション、自立、楽しさをあげられました。
講演の後、8グループに分けて「『ちゃんと食べる』ために、私たちがこれから大切にしたいこと」をテーマに討論しました。そこに出てきた言葉は「食べ方は生き方」「親がしっかり食事をつくろう」「それぞれが、家庭で、地域で、学校で、間違いのない食生活を伝えていく」「生命のもと農産物の自給を生産者、消費者と手を結んで守る」「私たちは(食べているのではなく)食べさせられている」「食の大事さを確認した」などでした。
第3分科会 「金融ビッグバンと消費者契約法」
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第3分科会Aの金融ビッグバンでは、宮崎公立大学教授・浜野崇好氏、貯蓄広報中央委員会調査役・平澤光弘氏、生活経済ジャーナリスト・高橋伸子氏が、それぞれ講演をされました。そもそも金融ビッグバンは、個々の消費者を豊かにするためのものではなく、1200兆円の個人資産を国家経済的観点から有効活用するためのもので、規制の中で硬直化した日本の金融市場の空洞化を防ぐことが真の目的であるということでした。
フリー(自由・競争)、フェア(公正・透明)、グローバル(国際的整合性)が3原則とされていますが、外国為替の完全自由化に始まり、98年12月からは銀行等で投資信託の窓口販売がなされます。消費者の自己責任が強調されていますが、規制緩和は消費者保護の観点に立った金融サービス法が同時に制定されないと、金融被害を多発させます。金融機関の経営改善や透明性の確保などが課題です。消費者自らが情報を得て学習してレベル・アップすること、投資に関する消費者の立場にたったアドバイザーなどの育成が必要です。
ビッグバン以前にも、変額保険や銀行の提案融資による被害がおきており、被害者からの発言もありました。従来、法律や金融にかんするルールが業界寄りであることが消費者被害を起こし、司法的救済を難しくしています。被害の起きるしくみをただすためには、金融サービス法の制定が絶対に必要であることが、石戸谷弁護士から報告されました。
第3分科会Bの消費者契約法では、村千鶴子弁護士の「民事ルール(私法ルール)としての消費者契約法の必要性を考える」という講演からはじまりました。民法には契約当事者の平等を前提とした契約自由の原則があります。しかし、消費者と事業者との間に情報力や経済力などの格差があるため、消費者契約法では新たな民事ルールで対応すべきです。そのルールは、@業者からの情報提供、説明義務が必要、A自主的に選択できる環境の確保、B不当な契約内容の排除がポイントになり、これが消費者契約法の内容となります。また、現在の業法は基本的には行政法であり民事ルールではないので、業法違反者には行政指導がされるが、個別の契約はそのままで消費者は救済されません。すべての消費者契約に対応できる民事ルールが必要であると述べられました。
次に、安藤恭二・東京消費者団体連絡センター事務局長から、「消費者契約法(仮称)に対する提言」をまとめるまでの活動の紹介と、立法実現のための運動の本番はこれからで、運動の結集の呼びかけがありました。
午後は、全国消費生活相談員協会とNACSから、最近の相談事例の報告があり、現在の対処と立法後の対処についても触れられました。
第4分科会「自分にとって地域にとって社会にとって子どもとは何か」
現代の子どもたちは、大量生産、大量消費、利便・効率優先、あらゆるものー遊びまでもが商品化され、自然にふれたり友達と遊んだり、自らの発想や工夫でものを作ったりする機会を奪われています。学校はもちろんのこと、家庭でも勉強第一、成績主義で家事の手伝いなどまったくしたことがないという子もめずらしくないといいます。
しかし、このような環境は子どもたちにとっての大きなストレスとなり、登校拒否や不登校、あるいはいじめなどの原因になっているともいわれています。昨年にひきつづき消費者大会で「子ども」をテーマにした分科会を持つことになったのは「未来の主権者としての子どもたち」に、私たち大人がいまもっともしなければならないことは何か、ということを考えあいたいと思ったからでした。
午前中は大東文化大の須藤先生の講演で、子どもの成長にとって遊びや生活体験を豊富にさせることの大切さが話されました。午後は大崎高校の定時制で学ぶ子どもたちと、そのお母さんそして子どもたちの担任の多賀先生によるシンポジウム。全日制高校で不登校だった子も、中途退学して定時制に通うようになった子も、いまでは無欠席。それは競争社会から離脱して、少人数のクラス、先生とも友達とも心通わせることができるアットホームな学校であること、自分らしく学べるからだといいました。
「未来は私たちのもの、まかせてください」という元気な子どもたちから、私たちは「物、金」万能ではない「人間、人権」が大切にされる社会への展望を見いだすことができました。
第5分科会 「くらしと税金」
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T部の活動交流では、日生協からは「家計簿」からみた97年の生活実態のまとめと98年8月までの収支の状況について、新婦人からは「生活調査」などのアンケートから「生活が苦しくなった人」が増えていること、「税金が家計費を圧迫している」といった報告が、また、全商連婦人部より消費税が公共事業などに多く使われている実態が報告された。この後の意見交流では、消費税率の引下げを求める取り組みの様子が出された。
U部では、税金の使われ方を知る意味も含め、無駄な公共事業について各地から報告をいただいた。かわさき市民オンブズマンの代表幹事・篠原義仁氏は、川崎市の職員のモラルや塩漬け土地問題、保養所問題を、愛知県消団連の村瀬みどり氏は、藤前干潟を残す運動についてそれぞれ報告された。会場からも無駄な公共事業がある一方で、生活に身近なところでの予算が削られているという意見が出された。
V部では、「来年の税制改革にむけて」というテーマの講演(講師:熊澤通夫氏)で、国の税制改革の内容紹介や来年度の問題点を説明いただいた。また、大会直前に急浮上してきた「商品券」構想や大手小売業の5%還元セールについて、問題点の指摘もいただいた。講演後、参加者からの質問、意見交流を行ったが、多くの方から大変勉強になったとの感想に加え、各地での活動を引き続き強めて行くことが強調された。
第6分科会 「住まいと市民参加の街づくり」
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住まいの分科会は、1995年に阪神・淡路大震災の被災の実態を中心に住まいとまちづくりの問題を、96年は高齢化社会にむけての対応、97年は縮小されつつある借家権と公共住宅、欠陥住宅をとりあげて話し合いました。
人間が人間らしく生きるうえで、住居はいうまでもなく成熟した地域社会の存在も基本条件です。96年大会では「住まいと市民参加の街づくり」と題して、地域社会の現状に焦点をあてるとともに、積極的な街づくりや商店街活性化のための事例を紹介しつつ問題の理解を深めあいました。
鈴木浩教授(福島大)の基調報告につづいて、上尾市(埼玉)、京島地区(東京)での住民・行政一体になっての街づくり報告は示唆に富んでいました。商店街の深刻な現状は消費者=住民に多様な問題を投じています。
長びく不況にくわえ、景気対策の名による「定期借家権」導入は、居住や営業の安定をさらにおびやかしています。住都公団廃止による公団住宅撤退も、都市住民の願いに逆行しており、関連する運動についても報告されました。
分科会での報告や討議は参加者に何がしかの教訓と励ましを与えることができたし、来年につなげていきたいと思います。
第7分科会 「知りたい人のための年金・医療・介護保険」
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年金は来年の制度改革を前に色々問題が浮上しており、医療もまた6月に行われた改正による患者の負担贈、高齢者保険制度の創設他、目が離せない。介護保険においては2000年度から始めるにあたって、来年の今頃は要介護認定の申請を受付けていなければならない時期になる。
まず中央社会保険推進協議会の公文昭夫氏が「どうなる年金」のテーマで、「年金は受給者だけの問題ではなく、若い人も加えて議論していかなければいけない」と、この10月9日に出された「年金審議会の意見書」と、28日の厚生省案「21世紀の年金制度」にふれて話された。
午後は日生協医療部会の鐘ヶ江正志氏が「どうなるの医療・介護保険制度」のテーマで医療制度改革の基本は公的負担の削減であり、社会保障の部分が縮小され、公的責任から相互扶助へと転換が図られている。介護保険制度は社会構造改革の第一歩としているが、家族介護から社会的介護への転換がどの程度できるか等、問題・不安があるが国民は明確な内容を知らされていない。自治体独自のサービスの充実を求め、介護保険事業計画の水準を引き上げる要求をしていくことが重要だと話された。
続いて上伊那市と目黒区の介護保険をめぐる事例、「公費で乳幼児医療無料化」を求める取り組みの報告がされ、休憩のあと自治体問題研究所の越野誠一氏を助言者に迎え、全体討論会「私たちの地域で何ができるのか」を行った。午後の講演と報告にたいして参加者の意見交換を望んだが、介護保険制度の不明朗な点が多いことからか質問が集中した。
全体会(11月13日)報告
―消費者のための消費者契約法を実現しよう」
はじめに、島田和夫・東京経済大学教授が「消費者契約法について」を講演した。1970年代から消費者の取引問題が顕在化するなか、訪問販売法や割賦販売法などが改正されてきたが、これらは行政が事業者にたいして規制をする行政法であった。
このなかで消費者・事業者間の取引のルールを例外的に定めたのが、「クーリングオフ」と「抗弁権の接続」であり、また法の対象となる商品が限定されている。そこで、すべての取引を対象とし、事業者と消費者を実質的に対等にする包括的で具体的な民事ルールを定める必要性がある。新しい民事ルールとして、実効性のある消費者契約法ができれば、消費者被害が救済されやすくなるだろう。
つづいて、リレートークが行われた。「消費者契約法の制定を求める連絡会」の活動報告、後退する神奈川県の「消費者行政の現状について」、全国消費生活相談員協会の「消費者契約法をください」のコーラス、京都から「COP4(アルゼンチン)参加報告」、「三番瀬を知ってますか」と千葉の干潟開拓反対運動、できるだけ早く法を実現させたいという「情報公開法を求める市民運動」、日本が批准したのは58番目だったという「子どもの権利条約をすすめる会」、「介護保険」を必要とする人は厚生省推計より15%上回るという上伊那医療生協、「消費税の減税をもとめて」40万人の署名を集めたさいたまコープなど。全国各地での活発な活動の様子が具体的に報じられた。