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「紅麹の問題と消費者への対応に関する
意見・要望書」を提出しました

 3月22日に小林製薬が製造した紅麹を原料とした機能性表示食品による健康被害を引き起こした「紅麹」の問題が発覚しました。多数の入院患者に加えて死亡者も報告され、多くの消費者が不安を感じています。健康になりたいと食品を摂取したことで、反対に生命・人体に重篤な被害を受けることは消費者にとって想定外であり、絶対に起きてはならないことです。

 すでに消費者庁は機能性表示食品の約7000件を対象に総点検を実施すると発表しました。原因の特定も進まず国民の不安が非常に増す中で、全国消団連として政府に対して速やかな対応を求める考えです。

 そこで全国消団連では、紅麹の問題と消費者への対応に関して、一刻も早い事実関係の究明と安全体制の構築に努めるよう強い要望を行うため、以下の通り4月16日に内閣総理大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、内閣官房長官、消費者庁長官、消費者委員会委員長宛に意見・要望書を提出しました。

2024年4月16日

(一社)全国消費者団体連絡会
事務局長 郷野 智砂子

「紅麹」の問題と消費者への対応に関する意見・要望書

 健康を獲得するための食品を摂取して、却って生命身体に重篤な被害を被ることは、消費者の想定外であり、絶対にあってはならないこととして受け止めています。

 小林製薬の紅麹を原料とした機能性表示食品による健康被害により、入院患者多数に加えて死亡者も報告され、多くの消費者が非常な不安を感じています。

 消費者庁は、機能性表示食品の約7000件を対象に総点検を実施すると発表しました。

 そのうえで、全国消団連は、国に対して早急に以下の措置を講じ、一刻も早い事実関係の究明と安全体制の構築に努めていただくよう強く要望いたします。

T.紅麹関連製品に関して

1.紅麹と関連製品の問題に関して、消費者が不安を解消できるよう、わかりやすく情報提供してください。

 小林製薬は健康被害のあった紅麹を使った製品から、毒性が強い「プベルル酸」という物質を検出したと厚生労働省に報告しました。厚生労働省はこの物質が原因である可能性について「一定程度ある」としていますが、現時点で腎臓への影響などは明らかになっていません。また、新しい物質名が報告されても果たしてそれが原因なのか、製造工程でのコンタミネーションや紅麹の変質の可能性はないのかなど、詳細が全く不明であることから、消費者は社会に発信されている情報の何を信頼してよいのかに戸惑い、不安感を募らせている状態です。また、このままでは不確かな情報が拡散していくことの懸念もあり、関係のない製品への風評被害を生み出しかねません。

 消費者庁および関係省庁は、一刻も早く原因の究明を行うと共に、現在消費者が抱いている不安を解消できるような情報提供を、積極的かつ統一的に行い、今後のあり方についても説明責任を果たしてください。

2.小林製薬に対して、安全性を保証する管理体制を強化すると共に、わかりやすい情報発信、丁寧で誠実な消費者対応を行うよう強く要請してください。

 小林製薬は初期の被害情報を確認した後の対応遅れに加え、その後の情報発信の遅れにより被害を拡大させた可能性が指摘されています。今後は二度とこのような事態を招くことがないよう、政府は小林製薬に対し強く指摘し、安全性を確保する体制の強化と健全なリスク管理体制の再構築を促してください。また、多くの消費者の信頼を裏切る結果になった事実を強く認識し、健康被害が発生した理由や今後の対応について消費者にわかりやすく説明するとともに、被害者および家族への誠実な対応を行い、今後の対応を明確にするよう要請してください。

3.消費者庁がリーダーシップを発揮して、各省庁と調整し積極的に行動することを要請します。

 現在、関係各省庁等において「関係省庁連絡会議」が開催され、また厚生労働省と消費者庁は合同で電話相談窓口を設置したと聞きました。消費者庁は、このような時だからこそ消費者行政における司令塔の機能を果たし、この問題に対する消費者の不安を解消するために、速やかに、かつ主体的に行動することを要請します。

U.機能性表示食品に関して

1.機能性表示食品の制度の見直しを検討してください。

 機能性表示食品制度については、国の審査がなく届出制であるという点から、これまでも、事業者の利益を優先した制度として設計され、安全性への懸念を拭い去ることが出来ないとの指摘が度々されてきました。事実、昨年には、景品表示法違反の措置命令が発出された事例が複数件発生しており、今回の件と併せて見過ごすことはできません。

 今回の問題を受け、届出制で果たして安全性が確保できるのか、効果・効能のエビデンス(科学的根拠)が確実に確保されているのかなど、機能性表示食品の制度のあり方について改めて見直しを行い、安全性に問題がある製品が今後一切世に出ることがないよう早急に措置を講じてください。

2.機能性表示食品を含む健康食品全般について、それぞれの内容や制度の違いについて消費者にわかりやすく情報提供してください。

 いわゆる「健康食品」いうカテゴリーの中で機能が表示できるものを「保健機能食品」といい、「特定保健用食品(トクホ)」・「栄養機能食品」・「機能性表示食品」の3種類がありますが、これらの区分や、内容、制度の違いを必ずしも消費者が理解して購入しているとは言い切れません。消費者が理解を深めるための情報が明らかに不足していると考えます。消費者庁は、これらを所管する省庁として、健康食品の目的や定義、販売されるまでの過程等について、消費者にわかりやすく情報提供してください。

以上