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LPガス問題に関する2本の意見を提出しました

 LPガスは、国内の約4割の世帯で利用されている、生活に欠かせないエネルギーです。もともと自由な料金設定が可能なことから、料金体系やその内訳が消費者に開示されないなど料金の不透明問題、建築事業者および家主がLPガス事業者に無償配管やガス器具等の無償貸与を求める商慣行(過大な営業行為)による料金への転嫁など、多くの問題がありました。
 全国消団連は、2017年の都市ガスの自由化に合わせて、その競合相手としてのLPガスの料金透明化、取引適正化を求めて学習会の開催、意見提出などの活動を続けています。
 行政でも2016年に総合資源エネルギー調査会 資源・燃料分科会 石油・天然ガス小委員会液化石油ガス流通ワーキンググループ(WG)を設置し、省令改正やガイドライン策定を行ったほか、2021年の「賃貸集合住宅における入居前のLPガス料金情報提供」などの対策が進められましたが、根本的な課題解決には至りませんでした。

 2023年3月、課題解決に向けてWGが再開し、約1年の審議を経てまとめられた、中間とりまとめ(案)と、液石法省令改正(案)の意見募集に対し、全国消団連は、以下の意見を3月8日に提出しました。

提出先:経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部燃料流通政策室 パブリックコメント担当

「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(案)」に対する意見

【該当箇所】
(販売の方法の基準)十五の二
液化石油ガスの販売契約を締結しようとする一般消費者等と消費設備が設置された又は設置される施設又は建築物の所有者とが異なる場合において、当該一般消費者等と当該施設又は建築物の所有者等との間で賃貸 借契約が締結される前に、当該一般消費者等 に対し、直接液化石油ガスの供給に係る料金表等を提示し、又は当該施設又は建築物の所 有者等を通じて当該料金表等を提示するよう努めること
【意見内容】
「提示するよう 努めること」部分、「通知すること」に改めていただきたい
【理由】
 令和4(2022)年12月に実施した国土交通省の関係業界向けに行ったアンケート調査の結果によると、賃貸住宅オーナーがLPガス事業者よりLPガスの料金等の記載のある資料を受領したことがある割合は24.7%、不動産管理会社がLPガス事業者又は賃貸型集合住宅のオーナーより同資料を受領したことがある割合は33.8%、宅地宅建取引業者(不動産仲介業者)が同資料を受領したことがある割合は19.1%と低い実態があるため。

提出先:経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部燃料流通政策室 パブリックコメント担当

「総合資源エネルギー調査会資源・燃料分科会資源開発・燃料供給小委員会液化石油ガス流通ワーキンググループ中間とりまとめ(案)」に対する意見

【該当箇所1】
P24、「制度見直しの実効性を確保するための方策」(国土交通省との連携)
【意見内容1】
 今後の取組として「国交省から所管業界に対して、監督方針を示す文書のようなものを通じて、入居希望者への情報提供(料金情報等)を行うことと、もしLP事業者側から過大な営業が行われた場合は受け付けない旨の注意啓発・指導していくこと」を記載いただきたい。
【理由1】
 消費者が不利益を被らないよう、LPガス料金透明化によって事前に料金を知る環境をつくることも大切ですが、賃貸集合住宅では、LPガスの契約は建物一棟に対して、一つのガス会社、が原則になっているため、事実上、消費者にはLPガス事業者・料金を選択する機会がありません。これまでの商慣行の根本的解決のためには過大な営業行為(投資)はしないことで適正なLPガス料金(基本料金に過大な投資費用を含ませて見えないようにする行為等も防ぐ)にしていくことが何より重要なため、LP事業者に対しての規制だけでなく、取引先の相手方である不動産管理会社や不動産仲介業者等の不動産関係者、建設業者に対しても規制を設けないと実効性のある制度運用にならないと考えます。
【該当箇所2】
P21、「制度見直しの実効性を確保するための方策」(監視・通報体制の整備)
【意見内容2】
 消費者庁との連携による特定商取引法違反(不実告知等)の行政措置等含めて、監視通報体制が適切に機能するよう、規制当局の人員体制も含めて執行体制の整備に取り組み、、法執行強化につなげていただきたい。そのために、早急に、取引検査マニュアルの作成・周知徹底・検査員の教育・研修を実施し、定期的な検査体制を強化いただきたい。
【理由2】
「まず、液石法令の違反行為を取り締まる体制整備が不可欠である。制度改正を踏まえ、資源エネルギー庁、各地域の経済産業局、そして自治体といった規制当局による立ち入り検査等の実務体制を整備していくことが求められる。」との表記がありますが、駆け込みの営業行為が行われないよう、早急なLPガス事業者、オーナー、不動産会社、建築会社等の関係者への周知・徹底に加え、規制当局による定期的な立ち入り検査体制の強化が極めて重要であり、実効性を確保するための方策が必要です。
【該当箇所3】
P18、P19、「三部料金制の徹底」(設備費用の外出し表示・計上禁止)(対応方針)
【意見内容3】
「今後継続するWGの残された検討課題として、既存契約者の契約是正について検討していくことが求められる」ことを記載いただきたい。
【理由3】
 商慣行是正で消費者の被害救済をするには、圧倒的に割合が多い既存契約者の早期の契約是正が必用と考えるため。
【該当箇所4】
P20、「賃貸集合住宅等におけるLPガス料金等の情報提供」(対応方針)
【意見内容4】
 LPガス料金等の入居希望者への情報提供(事前提示)は努力義務でなく、義務にしていただきたい。
【理由4】
 令和4(2022)年12月に実施した国土交通省の関係業界向けに行ったアンケート調査の結果によると、賃貸住宅オーナーがLPガス事業者よりLPガスの料金等の記載のある資料を受領したことがある割合は24.7%、不動産管理会社がLPガス事業者又は賃貸型集合住宅のオーナーより同資料を受領したことがある割合は33.8%、宅地宅建取引業者(不動産仲介業者)が同資料を受領したことがある割合は19.1%と低い実態があるため。
【該当箇所5】
P20、「賃貸集合住宅等におけるLPガス料金等の情報提供」(対応方針)
【意見内容5】
「LPガス料金の透明化の実効性確保のため、宅建業者が、宅建業法の重要事項説明を行う際に、必ず書面にてLPガス料金、設備費用について説明を行っていくことが求められる」ことを記載いただきたい。
【理由5】
 LPガス事業者からオーナーや不動産管理(仲介)会社へ事前に情報提供されたとしても、そこから先の消費者に対して入居前に情報提供されなければ消費者の選択の自由は確保されません。実効性確保するためには不動産管理会社等の協力が必要なため。
【該当箇所6】
P24、「制度見直しの実効性を確保するための方策」(国土交通省との連携)
【意見内容6】
「今後の取組としては、以下が予定されているが、本WG等における意見も踏まえ、更に踏み込んだ取組を進めていくことが期待される。」の「期待される」ではなく、「求められる」との記載にしていただき、その下の項目に「不動産管理会社や不動産仲介業者等の不動産関係者、建設業者にもLPガス事業者同様の規制をかけられるよう、宅建業法の見直し等を検討していくことが求められる」「LPガス料金の透明化の実効性確保のため、宅建業者が、宅建業法の重要事項説明を行う際に、必ず書面にてLPガス料金、設備費用について説明を行っていくことが求めらる」を加えていただきたい。
【理由6】
 実効性を確保するためには不動産管理会社等の協力が必要なため。
【該当箇所7】
P25、「制度見直しの実効性を確保するための方策」(消費者庁との連携)
【意見内容7】
「液石法改正を前に、LP大手やブローカーの特商法違反の恐れがある駆け込み営業行為が行われないよう、特定商取引法違反(不実告知等)の行政措置等含めて、執行強化する。」「LPガス問題について、次期の消費者基本計画に今後も引き続き注視する課題として盛り込む。」ことを追記いただきたい。
【理由7】
 関係省庁と連携して取組課題として、LPガス問題を位置付ける必要があるため。