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「健康保険証の廃止とマイナンバーカードへの統合についての意見」を
提出しました

 8月8日に国が公表したマイナンバーカード総点検中間報告では、健康保険証との紐づけミス、障害者手帳、児童手当、住民税の不適切な手順での紐づけなどの実態が明らかになり、再発防止策として紐づけのガイドラインを9月中に策定、マイナ健康保険証の病院の読み取り機増設と精度向上などが掲げられました。

 多様な関係者が個人情報の紐づけに取り組むことが明白でありながら、ガイドラインが策定されていなかったことに驚きを禁じえず、作業に取り組む現場の現状把握も含め、期限ありきで準備は不足していたと言わざるを得ません。

 更に、複数の自治体で発生したマイナンバーカードと個人の公金受取口座の誤登録が個人情報の漏洩事案であるにもかかわらず、必要な対応をとらなかったとして、公金受取口座登録システムの登録と管理を行うデジタル庁を個人情報保護委員会が「指導」する事案まで発生しました。このことはマイナンバーカードと健康保険証の統合の過程でも同様の事案が発生するのではないかと、国民に大きな不信感をいだかせるものです。

 これらの点から、「資格確認書」配布を取りやめて、現在の健康保険証の継続使用を可能とすることを求める趣旨の意見書を10月10日に「デジタル大臣、消費者担当大臣、総務大臣、厚生労働大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長、デジタル庁デジタル監、個人情報保護委員会委員長」に提出いたしました。

2023年10月10日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

健康保険証の廃止とマイナンバーカードへの統合についての意見

 マイナンバーカードの急速な普及と活用が広がる中で、自治体やシステムを請け負う事業者の不備による個人情報の漏えい事案が発生し、個人情報やプライバシーの保護に対して懸念する声も高まってきています。
 全国消費者団体連絡会は、このような声の高まりを受けて、マイナンバーカードの発行、携帯、活用等について「任意」であるとの方針を堅持し、カードを持たない消費者が不利益を被らないことを前提として、マイナンバーカードの利用拡大に関し、安全確保の観点から、本年5月16日に意見書を提出しました。
 しかしながら、その後もマイナンバーと健康保険証の紐づけ間違いによる療養費の誤交付などが発生し、8月8日に国が公表したマイナンバーカード総点検中間報告では、健康保険証との紐づけミス1069件、障害者手帳、児童手当、住民税の不適切な手順での個人紐づけなどの実態が明らかになり、再発防止策としてはマイナンバー紐づけのガイドラインを9月中に策定する、マイナ健康保険証の利用環境整備のための病院の読み取り機増設と精度向上などが掲げられました。

 自治体や健康保険組合など多様な関係者が個人情報の紐づけに取り組むことが明白であったにもかかわらず、そのためのガイドライン自体が策定されていなかったことに驚きを禁じえず、作業に取り組む現場の現状把握も含め、期限ありきで準備が不足していたと言わざるを得ません。
 加えて、複数の自治体で発生したマイナンバーカードと個人の公金受取口座の誤登録が個人情報の漏洩事案であるにもかかわらず、必要な対応をとらなかったとして、公金受取口座登録システムの登録と管理を行うデジタル庁を個人情報保護委員会が「指導」する事案まで発生しました。このことはマイナンバーカードと健康保険証の統合の過程でも同様の事案が発生するのではないかと、国民に大きな不信感をいだかせるものです。

 マイナンバーカードは個人の意思で申請して取得するものですが、健康保険証は申請して取得するものではなく、国民皆保険制度の下で支給されるものです。全く性格の異なる二つのものを統合するということは根本的にひずみを生むものです。
 例えば、乳幼児や寝たきりの方、認知機能の低下している方が自らの意思でマイナンバーカードを申請することは不可能です。
 マイナンバーカードと健康保険証との紐づけをめぐる混乱の中でひずみを解消するため「資格確認書」の配布が取りざたされています。「資格確認書」を用意し配布する場合、財政的コストや対応する現場の負担の大きさは計り知れません。
 「資格確認書」の配布を取りやめ、マイナ健康保険証を希望しない国民は健康保険証を継続使用できるよう、法律を改めれば問題は解決すると考えます。

 マイナンバーカードの申請はあくまで「任意」であることに鑑み、健康保険証のマイナ健康保険証への統合を希望しない国民、希望の有無を意思表示出来ない国民に対しては、2024年度での現行健康保険証の廃止を取りやめ、継続使用を認めるよう、法律を改正することを強く求めます。

 併せて、マイナ健康保険証に切り替えることにより、診療費の個人負担に関わるインセンティブを設定することが検討されていますが、健康保険制度の中に不平等な仕組を組み込む行為であり、導入すべきではありません。

以上