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「2023年度 PLオンブズ会議報告会 提言」を提出しました

 PLオンブズ会議報告会は、7月3日「今こそ ネット時代の製品事故被害者が救済されるPL法の改正が必要だ!」と題してオンラインと実参加のハイブリッド形式での報告会を開催しました。報告会の内容を踏まえ、PLオンブズ会議では以下の通り提言をとりまとめ、7月5日に「内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、経済産業大臣、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長、国民生活センター理事長」に提出しました。

2023年度 PLオンブズ会議報告会 提言

 PLオンブズ会議報告会では、2021年に「PL法の歴史とネット社会の新たなPL問題」、2022年に「ネット時代の製品安全を考える」と連続して、社会のデジタル化により製品安全を取り巻く状況が1995年の製造物責任法(PL法)施行時とは大きく変化している中で、製品事故被害者の救済がしきれていない現実を報告し、製造物責任法の改正を含めて新た
な法的手当てが必要であることを提言してきました。

 今日、インターネットでの取引による製品事故は、地球規模で生じており、アメリカでは、Amazonなどのデジタルプラットフォーム事業者に賠償責任を命じる判決が次々出てきました。EUにおいては、社会のデジタル化に対応すべく行政法規を改正・整備してきており、加えてネット取引商品からの事故に対する損害賠償責任を負う者の範囲を広げる製造物責任法改正案が提案されています。

 日本においても、経済産業省において、こうした海外事例を参考にしつつ、所管する製品安全4法の見直しの検討がなされ、去る6月26日に報告書案が公表されました。

 今回の報告会では、まず、製造物責任法制定時から今日までの約30年間の生活の変化を改めてまとめてみました。これによって法律がいかに社会の変化に適応できていない分野があるかということがあらためて明らかになりました。そして、日本における検討の最新状況と、EUの最新の立法の取り組み状況を共有しました。

 これで我が国の取り組むべき方向とポイントが次の通り明らかになったと思います。

1 ネット取引という新たな形態の出現により、責任を負うべき主体を拡大して消費者への賠償に漏れがないようにする必要があります。

2 自然農産物等を含めすべての動産や、ソフトウエア、デジタル製造ファイルも対象製造物に含める必要があります。

3 技術が高度化すればするほど欠陥や因果関係の立証が困難になります。したがって証拠開示手続きを充実させることが必要です。

4 それでも立証が困難な事案が想定されるので、欠陥や因果関係の推定規定が設けられるべきです。

 私たちは、政府に対し、製品安全をめぐる行政規制の見直し強化を早急に進めるとともに、製造物責任法の改正に向けて動きを加速するよう提言します。

 私たちも日本の消費者のために、本日の報告の成果を広め、法改正への機運を高めるために活動する決意です。

2023年7月3日
全国消費者団体連絡会
PLオンブズ会議