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「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である
表示」告示案、及び「一般消費者が事業者の表示であることを判別
することが困難である表示」運用基準案に関する意見を提出しました

 消費者庁「ステルスマーケティングに関する検討会」は、昨年9月から開催され、報告書(案)についてパブリックコメントが行われ、全国消団連では、広告であることを隠すステルスマーケティングについて、諸外国では何らか規制されているにも関わらず、日本では無法地帯となっている現状を踏まえ、報告書(案)で示されたとおり規制を行う方向に賛成する立場から、12月13日に意見を提出しました。

 その後、12月28日に報告書の取りまとめが行われ、現在、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の告示(案)及び運用基準(案)に関して、意見募集が行われております(締め切り2月23日)。

 全国消団連では、2月17日に開催された「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示(案)」に関する公聴会に出席し、以下の意見を述べました。

 また、2月20日に以下の意見を提出しました。

2023年2月20日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である
表示」告示案及び「一般消費者が事業者の表示であることを判別
することが困難である表示」運用基準案に関する意見

 消費者が商品や役務の取引を行うにあたっては、適切に情報が提供され、その情報に基づいて消費者自らの判断により合理的に選択できる環境の確保が重要であると考えます。

 社会のデジタル化が進展する中、消費者が得るべき情報は表示によって提供される機会も多くなっています。多種多様な広告による情報に基づいて消費者が選択できる機会が増えることは、消費者の利便性にもつながるため歓迎すべきところではあると考えます。しかし、広告であるにも関わらず広告であることを隠すステルスマーケティングについては、消費者の適切な判断を阻害することになり、広告全般に対する信用を損なう恐れもあるため、規制が必要であると考えます。

 こうした認識に基づき、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の告示(案)及び運用基準(案)に関して、以下の通り意見を述べさせていただきます。

1.ステルスマーケティングに関して新たな告示指定による規制に賛成します

 ステルスマーケティングは個々の事案によってその誘因性や誤認性も異なっているため、規制にあたっては様々な事案に広く対応できる措置が必要であると考えます。

 今回、一般消費者に誤認されるおそれがある表示に対応できる景品表示法第5条第3号に「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」として新たに告示指定される案については、課徴金納付命令などの厳しい措置はできないものの、幅広い事案に対応することが可能となり、また、ステルスマーケティングを社会規範上行ってはならない行為として法的位置づけを示すこととになるため、消費者の保護に資する措置であると考え、賛成します。

2.新たな告示に関する運用基準の策定にあたっては、ステルスマーケティングの幅広い事案に対して措置を行えるように定めることを求めるとともに、適宜見直しを行うことを求めます

 現在、多種多様なステルスマーケティングが行われている中、消費者庁の「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(以下、検討会報告書)」では、一般的・包括的な規制としての方向性が示されました。こうした方向性が損なわれることのないよう、幅広い事案に対して措置が行われるように定めていく必要があると考えます。

 今回の運用基準(案)では、一定の柔軟性のある定めになっていると受けとめており、今後の運用で多種多様なステルスマーケティングに対応ができるかどうかを注視したいと考えます。ただし、今後も新たな手法が出てくる可能性もあり、運用基準については最新の事例を踏まえつつ、適切に見直しを行っていく必要があると考えます。加えて、今回の告示による運用によっても不正ブローカーなどによる悪質なステルスマーケティングが改善されていかない場合には、諸外国の制度も参考にしつつ、課徴金納付制度などの導入や規制の対象範囲の拡大など、更なる措置への検討も必要であると考えます。

3.ステルスマーケティングに関する規制について、広告主や広告代理店、インフルエンサーなどへ広く啓発を進めるとともに、啓発や適切な注意喚起・指導が行えるよう消費者庁の体制強化を求めます。あわせて、一般消費者にもステルスマーケティングについての認識を高めるよう、広く周知することを求めます

 検討会報告書では、広告代理店やインフルエンサーなどの情報発信者がステルスマーケティングへの理解がないために依頼を引き受けたとのアンケート結果も示されています。また、事業者団体からもステルスマーケティングが広がることは、結果的にデジタル広告市場全体に対する消費者の信頼を低下させることになるとの指摘もされています。

 公正な広告市場の環境が整備されるよう、ステルスマーケティングの規制や正しい広告行為について、広告主、広告代理店、インフルエンサーなどへ広く啓発していくことが重要であると考えます。また、これら啓発や適切な注意喚起・指導が行えるよう、消費者庁の体制強化が必要です。

 また、一般消費者も情報発信者となりうる状況にあるため、ステルスマーケティングについての認識を高めていくことが重要です。事業者への規制とあわせて一般消費者に向けても広く周知を進めることが必要です。

以上