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「特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する
法律施行令の一部を改正する政令(案)」の意見提出

 消特定商取引法・預託法改正は、2021年の通常国会にて可決・成立し、販売預託商法の原則禁止や、詐欺的な定期購入の規制などが施行されました。

 一方で、契約書面等の電子化を認める事項については、多くの団体が反対してきましたが、法改正に盛り込まれ、詳細は政省令で定めることとなり、2021年7月30日より「特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会」が開催され、合計19団体へのヒアリングが行われました。その後、概ね消費者団体が求めてきた事項が盛り込まれた報告書が2022年10月6日に公表されました。

 現在、「書面電子化に関する報告書に基づいた政省令(案)」について、意見募集が行われています(締め切り12月29日)。

 報告書から一部後退したところもあり、全国消団連では、12月19日に以下の意見を提出しました。

2022年12月19日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

「特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する
法律施行令の一部を改正する政令(案)」等に関する意見

1.(該当箇所)
特商法取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(案)
第10条1項第1号

(意見)
 契約書面を電磁的方法で交付することは、例外的な対応です。特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会報告書(以下、検討会報告書)でも、「書面での交付が原則であることの説明をすべき」とされています。契約書面は、原則は紙の書面の交付であることを加筆し、事業者に共有するべきです。

(理由)
 契約を申し込みした者が第1項の説明を行うことや、第2項ではその内容を理解できるような平易な表現を用いなければならないこと、第3項の確認をした上で、承諾しなければ、紙の書面が交付されることとなっています。
 特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し消費者の利益を守ることを目的としており、訪問販売などの消費者トラブルを生じやすい取引類型への規制が規定されています。これら特定商取引法に規定されている取引類型の契約等については原則書面で交付することが重要です。そのため、今回の電磁的方法での交付は例外的な対応であり、申し込みをしようとする者に対して、事業者は電磁的方法での契約書面の交付に誘導はするべきではないと考えます。

2.(該当箇所)
特商法取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(案)
第10条1項第4号

(意見)
 電磁的方法により提供される事項を閲覧するために必要な電子機器について、最大径をセンチメートル単位で表した数値を2.54で除して小数点以下の四捨五入で5以上となっていますが、検討会報告書では、適合性として「書面並みの一覧性(=面積)の有する形で交付書面と同様の内容について表示可能な機器」とされており、大きく後退しています。一覧性を確保するため、例えば交付書面がA4版であればタブレットにするなど、消費者が閲覧する電子機器は、契約書面の交付書面の大きさに合わせた面積が必要です。

(理由)
 そもそも、スマートフォンの画面では、契約書の内容の確認やクーリング・オフの記載に気が付かないおそれもあるとして、「書面並みの一覧性(=面積)の有する形で交付書面と同様の内容について表示可能な機器」として検討会報告書にまとめられたものです。検討会報告書は、事業者団体を含む多くの関係者のヒアリングや、委員の論議の積み重ねによりまとめられたものであり、報告書を尊重せずに規律するべきではありません。

3.(該当箇所)
特商法取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(案)
その他、全体について

(意見)
 契約書面等の電磁的交付にあたり、本命令(案)では詳細な手順や内容などが示されていません。検討会報告書の記載の具体的な提供方法である電子メールでの「件名表示」を示すことやメール本文に契約概要について消費者にわかりやすく示すこと、クーリング・オフの記載方法など、交付にあたっての手順や内容の詳細を、ガイドラインなどで明確に示すべきであると考えます。

(理由)
 消費者は電子メールが届いたときに、重要な契約書面が送られてきたことを「件名表示」によって明確に認識する必要があります。
 また、特定商取引法では、クーリング・オフの記載は赤枠の中に赤字8ポイント以上で記載する必要があるとされており、こうした規定の内容は電磁的方法でも維持されるべきであると考えます。

4.(該当箇所)
特定商取引に関する法律施行令及び預託取引に関する法律施行例の一部を改正する政令(案)
第2条1項(電話をかけさせる方法)

(意見)
 勧誘目的を告げず、ビラやパンフレット配布以外に、新聞、雑誌その他の刊行物に広告を掲載したり、ラジオやテレビ放送、ウェブページ等を利用して、勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけさせることも「電話勧誘販売」として要件を広げたことに賛成します。

(理由)
 新聞や雑誌、ウェブサイトなどで、不特定多数を対象にした広告においても、消費者から電話をかけさせることを誘導している場合には、通常の通信販売とは違い、電話勧誘販売の類型となると考えます。たとえば、テレビ放送の広告などを見て、拡大鏡の電話注文した消費者に対して、目に良いサプリメントの購入をさせられたりするなどのトラブルもあります。電話をかけさせて、本来の商品とは違う商品を勧め契約をさせられたり、定期購入の商品であったりなど、悪質な事案であり、早急な対応として、類型を広げたことを評価します。

5.(該当箇所)
特定商取引に関する法律施行令及び預託取引に関する法律施行例の一部を改正する政令(案)
第4条3項

(意見)
 電磁的方法により申し込みをしたものの使用する電子計算機に備えられたファイルに記録したか否か、および閲覧に支障があるか否かを事業者が確認することを義務付けたことに賛成します。

(理由)
 電子データの到達時期がクーリング・オフの起算日となるため、消費者のメールサーバーに到達したことが気付かないうちにクーリング・オフの期間が過ぎてしまうことのないよう、また、送ったファイルを消費者が読むことができる状況であることを事業者として確認することは必要なことであると考えます。事業者の確認を義務付けたことを評価します。

以上