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「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に関する意見提出

 SNS上で展開される広告などでは、広告であることを隠したまま広告を出稿するステルスマーケティングの問題が顕在化しており、消費者庁では、適切な表示を実現する観点からインターネット広告市場の健全な発展に向けた対応方策を検討するため、ステルスマーケティングに関する検討会(以下、検討会)を開催しています。

 現在、検討会報告書(案)に対して、意見募集が行われており、全国消団連では、以下の意見を12月14日に提出いたしました。

2022年12月14日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

「ステルスマーケティングに関する検討会報告書(案)」に関する意見

1.該当箇所
p.35 5.3号告示と運用基準の方向性について

意見
 広告であるにも関わらず広告であることを隠すステルスマーケティングに対し、規制は必要です。「自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示」を定めている景品表示法第5条第3号の告示に、新たに「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの」として指定することに賛成します。

理由
 消費者が商品・役務の取引を行うにあたっては、適切に情報が提供され、合理的に選択できる環境が確保されていることが大切です。そのため、広告であるにもかかわらず広告であることを隠したステルスマーケティングによる表示に基づいて取引が行われることは、消費者をだます欺瞞的な行為であると考えます。現在も様々なステルスマーケティングが存在している中、迅速な規制の対応が必要であり、一刻も早く景品表示法5条第3号の告示に加えていくことが求められます。

2.該当箇所
p.38 5.3号告示と運用基準の方向性について

(4)告示案の運用基準の方向性

意見
 告示案の運用基準等を示すこと自体には賛成しますが、報告書(案)で示されたように、一般的・包括的な規制としての方向性が損なわれることのないように策定してください。また、ステルスマーケティングの被害事例を踏まえつつ、適切に見直しを行うことを求めます。

理由
 今回景品表示法5条第3号の告示として新たにステルスマーケティングへの規制が指定されるにあたり、その実効性が確保されていく必要があります。そのため、真っ当な事業者が過度に委縮することなく、また予見可能性を高めるために一定の運用基準等を示していくこと自体は必要であると考えますが、不当な事例など示される内容があまりにも詳細にすぎると、それ以外は問題ないとの受け止めにもなりかねません。報告書(案)p28で示されたように、一般的・包括的な規制としての方向性が損なわれることのないようにしていく必要があります。
 また、運用基準についてはステルスマーケティングの被害事例を踏まえつつ、適切に見直しを行っていく必要があります。

3.該当箇所
p.46 7.今後の対応

意見
 ステルスマーケティングに関し、正しい広告行為を広告主、広告代理店、インフルエンサー、消費者などに広く周知・啓発することを積極的に進めるとともに、国がこれら周知・啓発や適切な注意喚起・指導が行えるよう、体制強化を求めます。また、今回の規制によっても悪質なステルスマーケティングによる行為が改善されない場合には、課徴金納付制度などの導入や規制の対象範囲の拡大など、更なる措置を検討してください。

理由
 報告書では、広告代理店やインフルエンサーなどのステルスマーケティング自体への理解がないために依頼を引き受けたとのアンケート結果も示されています。また、事業者団体からもステルスマーケティングが広がることは、結果的にデジタル広告市場全体に対する消費者の信頼を低下させることになるとの指摘もされています。そのため、公正な広告市場の環境が整備されるよう、今回の規制や正しい広告行為について広告主、広告代理店、インフルエンサーなどの関係者や消費者に広く周知・啓発していくことが重要であると考えます。また、国がこれら周知・啓発を行うほか、随時調査によって市場動向を適確に把握し、適切な注意喚起や指導を行うためには、より一層の体制強化が必要です。
 加えて、今回の規制によっても今後悪質なステルスマーケティングによる行為が改善されない場合には、諸外国の制度も参考にしつつ、課徴金納付制度などの導入や規制の対象範囲の拡大など、更なる措置が必要であると考えます。

以上