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『廃炉等円滑化ワーキンググループ中間報告(案)』に
対する意見を提出しました

 今後増加する、原子力発電所の廃炉措置の着実な実施に向けた体制の構築について、経済産業省の審議会(総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会廃炉等 円滑化ワーキンググループ)で検討がなされ、経済産業省資源エネルギー庁電力 ・ガス事業部 原子力政策課より、その中間報告(案)のパブリックコメントが募集されました。

 中間報告(案)のポイントは、廃炉措置の着実な実施に向けて必要な知見・ノウハウの蓄積・共有や、必要な資金の着実な確保を図るために必要な制度的措置(認可法人の活用)です。

 全国消団連ではこのうち、認可法人の活用に注目し、以下の意見を提出いたしました。

提出先:経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部原子力政策課 パブリックコメント担当
「廃炉等円滑化ワーキンググループ中間報告(案)」に対する意見

[意見1]

●該当箇所

 1.廃止措置に関する現状と課題(P1)

●意見内容

 商業用原子炉の「着実かつ効率的な廃止措置の実施」は商業利用した原子力事業者の責任であることを明確に記載するとともに、4〜5行目の「今後の電力の安定供給の確保や2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて 原子炉を利用していく上でも当然の大前提である。」の記載の削除を求めます。

●理由

 電力事業として原子力発電所を活用してきた以上、その着実な廃止措置の実施は当然です。中間報告(案)では、原子力事業者の責任についてはっきりと述べられていないのは問題であり、明確にその責任を記載する必要があります。
 また、将来に向けた廃止措置の着実な実施、体制構築を検討している段階で、同じく検討中で評価も分かれている内容、「今後の電力の安定供給の確保や2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて 原子炉を利用していく」との記載をするべきではありません。

[意見2]

●該当箇所

 2.着実かつ効率的な廃止措置を実現する体制の構築(2) 認可法人に係る制度設計の③ 適切な業務運営の担保(P8)

●意見内容

 認可法人の枠組みを活用していくに当たって、第三者委員会を設置する際には、需要家を含む、中立性を確実に担保することを求めます。

●理由

 原子力事業者と連携し、ノウハウの蓄積、廃止措置の効率化を実現するために認可法人を設置することは理解できますが、監視を行う第三者委員会の中立性の担保には十分留意が必要です。

[意見3]

●該当箇所

 2.着実かつ効率的な廃止措置を実現する体制の構築(3) 資金確保に係る制度設計のあり方③ 費用の支弁(P9)

●意見内容

 廃止措置の費用の適正性について、強い監視機能を持った仕組みを作ることを求めます。

●理由

 「事業者の経営状況にも配慮しつつ拠出金を決める」との記載がありますが、廃止措置を着実に実施していくための計画が安易に見直されることなく、また税金や電気料金の追加負担を求められることがないよう、費用の適正性について強い監視機能を持つ仕組みが必要です。

[意見4]

●該当箇所

 2.着実かつ効率的な廃止措置を実現する体制の構築(3) 資金確保に係る制度設計のあり方⑤ 認可法人の財務の健全性の確保及び不確実性への対応(P9)

●意見内容

 「予見しがたい事由により、認可法人の業務の継続が困難な状況に陥った場合に、国が必要な措置を講じる」場合における厳格な制度の構築を行うとともに、措置に至る検討プロセスの透明性を高めるため、公開の仕組みを確保することを求めます。

●理由

 認可法人への拠出金は、需要家が電気料金を通して負担することとなりますが、「国が必要な措置を講じる」ことになる場合においても、税金等を通して需要家への追加的な負担が生じることが想定されるため、この点を強く懸念します。
 廃止措置に関する費用については、原子力発電所を商業利用してきた電力事業者が責任をもって廃止措置を実施することが、まずは当然の原則であると考えます。そのため、安易に「国が必要な措置を講じる」ことがないよう、措置を行うにあたっては厳格な制度の構築が必要です。あわせて、措置に至る検討プロセスを公開するなど、監視や確認などができる透明性の高い仕組みの構築が必要です。

[意見5]

●該当箇所

 4.留意すべき事項(P11)

●意見内容

 認可法人のガバナンスの確保について、「社会的な信用を確保するため、先行事例も検証しながら、認可法人に対する国の関与の在り方や、情報公開の在り方に関するルールを明確に具体化すべき」という意見に賛成です。

●理由

 最近、認可法人の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の運営委員会で決定される、原発事故の賠償費用に関する「一般負担金」および「特別負担金」の金額について、2021年度は大きく減額されたことが公表されていなかった事例が公になりました。このような、原子力に関わる情報公開の軽視の積み重ねなどが原子力政策の信頼を損ねてきたと考えます。
 原子力事業にかかわる既存の認可法人含めて、責任ある業務を担う認可法人に対する、情報公開及び説明責任に関するルールの厳正化は、原子力行政の信頼回復にとって必要不可欠です。

以上