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「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会 最終取りまとめ【案】」
についての意見を提出しました

 現在は社会のデジタル化が進んでいますが、Web会議、遠隔教育・医療などを支える、大容量のインターネット基盤である、4Gのような「無線ブロードバンド」と、有線で安定して高速で通信できる光回線などの「有線ブロードバンド」が必要不可欠なものとなっています。

 「無線ブロードバンド」については、各社においてアンテナ等の設置・維持の継続は可能となっているようですが、「有線ロードバンド」について、とくに条件不利地域において「維持・管理」を行っていくためには、大きなコストがかかると言われています。

 総務省では、2020年4月より「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会」で「有線ブロードバンド」のユニバーサルサービス化について検討が進められ、この度、「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会最終取りまとめ(案)」としてまとめられ、意見募集が行われています。(締め切り1月21日)

 全国消団連では、1月21日に以下の意見を提出いたしました。

2022年1月21日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

「ブロードバンド基盤の在り方に関する研究会 最終取りまとめ【案】」
について意見

p8 2-3 新たな交付金制度の設計 2-3-1 支援対象区域の考え方

意見)支援対象区域として「〜新たな交付金制度では、原則として、特定の事業者が1者のみで提供している地域(非競合エリア)を特定した上で、当該地域でサービス提供を行う事業者に限って、交付金による支援対象とすることが適当である。」について賛成しますが、対象となる地域については状況の変化等を踏まえて柔軟に見直せるようにしてください。

理由)新たな交付金制度の趣旨として、競合が発生しない地域において提供する場合に限られるべきです。ただし、その後に地域開発などにより事情が変化し、競合可能となったエリアがあった場合には交付金制度の対象地域を柔軟に見直し、独占状態とみなされないようにしていく必要があります。

p15 2-3-5 負担対象者の考え方

意見)「現行の電話に係るユニバーサルサービス交付金制度と同様、新たな交付金制度においても、受益者負担の考え方を採用し、不採算地域におけるブロードバンドサービスの提供が確保されることで利益を得る者全体に広く応分の負担を求める仕組みとすることが適当である。」との考え方には賛成しますが、受益者の範囲をよく検討する必要があります。

理由)既に実装されているユニバーサルサービスの制度と同様に受益者負担の原則を採用することには賛成しますが、そもそも受益者とは、消費側だけにあるのかどうか、OTT事業者をはじめ、事業の提供者側におけるステークホルダーなども含めた公平性の在り方を考え、その範囲をよく検討していく必要があります。

p15 2-3-5 負担対象者の考え方

意見)「不採算地域におけるブロードバンドサービスの提供が確保されることの直接的な受益者はブロードバンドサービスの利用者であると考えられる」とありますが、受益者として換算される利用者のカウントの仕方については、負担が不均衡にならないようにする必要があります。

理由)携帯電話の契約の場合においては、利用者と受益者が一定均衡となるよう把握できるのに対し、ブロードバンドサービスは、それに比して事業者と個人(家庭等)間の利用者数の不均衡が大きいと考えます。とくに個人の消費者に受益者負担が偏らないよう、利用者のカウントの仕方については、よく検討する必要があります。

p16 2-3-5 負担対象者の考え方

意見)最終、「負担対象者であるブロードバンドサービス提供事業者が、負担を利用者(エンドユーザー)に転嫁するかどうかについては、各ブロードバンドサービス提供事業者の判断に委ねることが適当である」とされていますが、「p41 4-3 新たな交付金制度における交付金額等の試算」にて、「新たな交付金制度は、負担対象者であるブロードバンドサービス提供事業者が負担を利用者に転嫁した場合には、結果として、広くブロードバンドサービス利用者に対して一定の負担を求めるものとなる」「このため、今般の制度改正の当否を国民やその代表である国会が最終的に評価する上での資料として、新たな交付金制度を創設した場合に見込まれる交付金額の総額と利用者1人当たりの負担額を試算し、本研究会に対して報告するとともに、法案提出までのしかるべき時期において、公表すべきである。」とあるように、ブロードバンドサービス提供事業者任せではなく、予め試算を尽くしたうえで、負担をすることとなる国民(利用者)に広く丁寧な説明が必要だと考えます。

理由)交付金の透明性・公平性・納得性の観点から、国が国民(利用者)に広く丁寧に説明をする必要があると考えます。また、負担する額についても、高止まりにならないよう、状況を見ながら柔軟に変更できるようにしていく必要もあります。

p17 2-4 交付金制度の中長期的な在り方

意見)「現状において、加入電話等は引き続き国民生活に不可欠なサービスであることから、今般の制度改正においては、現行の電話に係るユニバーサルサービス交付金制度は存置した上で、別途、有線ブロードバンドサービスに係る新たな交付金制度を創設することが適当であるが、中長期的には、この点も含めて、見直す余地があると考えられる。その際は、特定のサービスの維持を目的とした現行のユニバーサルサービス交付金制度の仕組み自体を見直し、各種サービスの前提となる不可欠基盤(光ファイバ網等)の維持を目的とした新たな制度的枠組み(ユニバーサルアクセス)へと転換を図ることも、1つの選択肢であると考えられる。」との考え方に賛成します。

理由)今後も通信技術は大きく変化していくことが予想され、無線ブロードバンドにおいても、5G〜6Gへと変化していくと言われています。そうした中においては、近い将来、加入電話や有線ブロードバンドの役割も変化していくことも考えられますので、中長期的な視野を持って、時代によって大きな見直しを行うことについても、記載されている方がよいと考えます。また、今後大きな見直しが行われることがあった場合には、国民(利用者)に負担が偏ることのないよう、制度の検討において国民(利用者)の声を聞きながら慎重に行ってください。

以上