[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「LPガス料金の不透明に対し抜本的対策を求める要請書」を提出しました

 LPガスについては、「取引適正化ガイドライン」の策定から3年が経過し、取引透明化の状況の確認と今後の課題を確認することを目的に、2020年8月7日に学習会を開催しましたが、全国で活動している消費者団体などからの報告でガイドラインの定め通りに取引透明化が進んでいないことが報告されました。

 この学習会を受け、経済産業省 資源エネルギー庁から問題の改善に向けて他省庁との連携が進められました。全国消団連ではその動きをさらに後押しするために、無償配管・無償貸与の問題について、他省庁と連携し問題の解決にあたるよう求める要請書を2020年2月、2020年11月の2回資源エネルギー庁へ提出しています。

 その後この動きを早めるため、2021年3月12日に全国のLPガス協会へ下記「LPガス料金の不透明に対し抜本的対策を求める要請書」を提出しました。(一部主婦連合会、各県消団連と連名で提出しています。)

2021年3月12日

日本LPガス協会
一般社団法人全国LPガス協会
上記会員 都道府県LPガス協会 御中

一般社団法人 全国消費者団体連絡会

LPガス料金の不透明に対し抜本的対策を求める要請書

 全国消団連をはじめ多くの消費者団体では、以前より、LPガス取引におけるLPガス料金の透明化および消費者への丁寧な説明を求めてきました。

 2017年には液石法省令の一部改正、取引適正化ガイドラインの制定などが行われました。これにより、料金透明化が進んだ事業者・地域もありますが、全体としてはまだ不十分であること、かつ改善が見られない背景には構造的な問題があること、そのため、抜本的な対策が必要である、というのが私たちの評価です。

 2018年および2020年に日本生協連が行った調査では、液石法14条書面に必要事項を適切に記載していない、説明や書面が手渡されていないなどの事例がみられ、料金の明細が示されない事例もあることがわかりました。この点は、以前から消費者団体と事業者団体との意見交換の場などで指摘されており、事業者団体もそうした実態があることを認めています。

 標準的な料金メニューの公表については、北海道や神奈川県の消費者団体が調査を継続していますが、改善は一部にとどまっており、あまり進んでいないことが明らかになっています。

 省令改正、ガイドライン制定から3年経過しましたが、いまだ情報開示は不十分であり、料金透明化・取引適正化にはまだまだ課題があります。都道府県LPガス協会、事業者の皆様には、関係省庁等と連携のうえ抜本的な対策を講じることを求めます。

1.LPガス事業者との契約にあたり、液石法14条書面に必要事項を記載、交付し、消費者にその内容を説明することを徹底してください。

 2018年および2020年に日本生協連が行ったLPガス料金に関する家計調査によると、消費者がLPガス事業者との契約時に書面確認、書面交付があったかどうかをきいたところ、全国平均で2018年は11%、2020年は13%の契約者が受けていないと回答しました。

 都道府県LPガス協会には、事業者に液石法14条書面の整備と交付を確実に行うよう指導することを求めます。

2.LPガス料金の明細を明らかにしてください。

 日本生協連のLPガス料金調査から、同一地域、同一事業者でも1m3あたりのLPガス料金(基本料金、従量料金、あるいはその両方)が大きく違うことがわかりました。2018年の料金幅が207円〜3,110円、2020年は380円〜3,403円となっており、2年間だけでも料金幅は拡がり最安値と最高値の値上げも行われています。この間LPガス原材料は円高が進んで高騰していないことを鑑みれば、理解できない現象です。

 LPガス料金の不透明化は、消費者へガス以外の費用負担を課している可能性が考えられますが、ガイドラインに基づき作成されたLPガス販売指針で示されている三段階料金制度を採用している事業者は少なく、消費者には料金の内訳はわかりません。日本生協連調査によると、3段階料金を採用しているのは全体の9%、検針票では料金の内訳が不明なものが10%、単価表などとの照合が必要で分かりにくいものが16%ありました。主に訪問販売として事業を行っている場合は「重要事項の不告知」にあたる恐れがあります。個々の住宅事情により、LPガス付属設備に関する費用を賃借人(消費者)が負担せざるを得ない場合は、料金の内訳明細がわかるよう明示することを求めます。

 LPガス事業者と主に賃貸集合住宅のオーナーとの取引において、LPガス事業者が無償配管、ガス機器等の無償貸与を行う商慣行があり、現在も続いています。その費用をLPガスの契約者(消費者)が負担する場合は、請求書(検針票)にその内訳を明記するよう、ガイドラインに基づき作成されたLPガス販売指針で求めていますが、明記している事業者は少なく、消費者が確認することは難しい状況です。そのため、知らずに費用を負担させられている消費者がいます。この問題の解決には、LPガス業界だけでなく不動産業界ともに足並みをそろえて商慣行を改めていく必要があると考えます。

3.すべてのLPガス事業者に標準的メニューの公表を強く求めます。

 事業者ごとの標準的メニューについては、これまで認められてきた「店頭での表示のみ」では不十分です。平成31年度の神奈川県の消費者団体の電話調査によると、調査対象716社中、電話での問い合わせに対して回答を拒んだ事業者が476社あったとのことです。この調査では回答率が低い(平成31年度調査で34%)ほか、「顧客でなくては教えない」「ホームページを見てくれ」「返答せずに質問者の個人情報を細かく聞いてくる」など、標準的なメニューの問い合わせに対しての応対として問題だと思われる事例もありました。電話問い合わせの速やかな回答、およびホームページへの掲載を事業者に求めてください。ホームページのない事業者に向けては、都道府県のLPガス協会のホームページを活用するなど、協会がバックアップして事業者に公表を促してください。

以上

 併せて全国消団連では、さらに現状把握を進めるため、家庭向けLPガス販売に関するアンケート調査を実施しています。