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「電力の小売営業に関する指針」(改定案)に対する意見を提出しました

 「電力の小売営業に関する指針」は、2016年4月からの小売の全面自由化に伴い、様々な事業者が電気事業に参入することを踏まえ、関係事業者が電気事業法及びその関係法令を遵守するための指針を示すとともに関係事業者による自主的な取組を促す指針を示すものであり、これによって、電気の需要家の保護の充実を図り、需要家が安心して電気の供給を受けられるようにするとともに、電気事業の健全な発達に資することを目的とするものです。(意見募集要領より抜粋)。

 今回、非FIT非化石証書の取引開始を踏まえた電気の環境価値表示のルールの整備のための改正案について、意見募集がありました。消費者向けの電源表示に関わる内容が主のため、全国消団連は3月5日、以下の意見を提出しました。

提出先:経済産業省資源エネルギー庁 電力・ガス事業部電力基盤整備課パブリックコメント担当

「電力の小売営業に関する指針」改定案に対する意見

・該当箇所(どの部分についての意見か、該当箇所が分かるように明記して下さい。)

P12 1(3)イ 望ましい行為及び電源構成等や非化石証書の使用状況の算定や開示を行う場合の具体例

・意見内容

 現在「望ましい行為」である利用者への「電源構成」開示、「CO2排出係数」表示の義務化を求めます。

 また、新たに「放射性廃棄物量」についても表示の義務化を求めます。

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

 自由市場のもとで消費者が財・サービスを選ぶ際に、選択の手掛かりとなる情報をわかりやすく提示することは、市場健全化の前提条件です。2050年カーボンニュートラルに向け、再エネに積極的に取り組む企業を消費者が見極め選択していくことは、大切な消費行動になってきます。

 今回電源表示については、非化石証書制度により「実質再エネ」に加え、「実質CO2ゼロエミッション」と「みなし」の情報が増えることになります。このため、事実としての電源構成は消費者の選択においてますます重要な情報になってきます。本指針の策定時より、全国消団連はじめ、多くの消費者団体は電源構成開示の義務化を求めてきました 。電源構成開示については、「電力の小売営業に関する指針」において「望ましい行為」にとどまっていますが、あらためて利用者が確認しやすいような形で電源構成表示の義務化を求めます。

 CO2排出係数については、持続可能な社会の実現に向けて、2050年カーボンニュートラルの実現と環境への負担を少なくしたいという消費者ニーズに応える環境整備のために必要な指標であることから、表示の義務化を求めます。

 また、放射性廃棄物量の表示の義務化については、原子力の利用を速やかに低減させるために必要な指標であると考えています。原子力発電の在り方については、大前提として安全の確保と国民の理解が最優先されるべきですが、現状はどの世論調査を見ても原発再稼働について反対が賛成を大きく上回っています。再稼働により現在も増え続けている放射性廃棄物の最終処分など、バックエンド問題の解決の見通しが立っておらず、原発再稼働のための安全対策等に多額の費用が投入されていること、また事故処理・賠償費用、廃炉費用についても上昇の一途にあり、コスト面での課題も大きいことなどの問題があります。消費者の選択の権利と原子力発電の依存度低減のため、放射性廃棄物量の表示義務化を求めます。

・該当箇所(どの部分についての意見か、該当箇所が分かるように明記して下さい。)

P12 1 (3)イⅱ) 望ましい行為及び電源構成等や非化石証書の使用状況の算定や開示を行う場合の具体例

P30 1 (3)ウⅲ)(参考) 前期の「再エネ表示」、「CO2ゼロエミッション」表示の整理

P31 1 (3)ウⅴ)各種電力メニュー等に関する表示例

・意見内容

 非化石証書の表示について、消費者にとって誤認を招きかねない点を是正してください。具体的には、再エネ・FIT電気以外のJEPX調達・化石電源等の電気に非化石証書を付けた「実質再エネ」「実質ゼロエミ電源」という表示の「実質」という表現の変更を求めます。

 また、卒FIT電源・大型水力などの再エネ、原子力、廃プラスチックについて、「非化石証書(再エネ指定なし)」という表示を(再エネ指定なし)を削除し、例えば「非化石証書(原子力)」、「非化石証書(再エネ)」と表示することを求めます。

・理由(可能であれば、根拠となる出典等を添付又は併記して下さい。)

 2020年度より「非FIT非化石証書」の取引が開始されましたが、以下のとおり、消費者にとって誤認を招きかねないため、是正を図ってください。

 再エネ・FIT電気以外のJEPX調達・化石電源等の電気に非化石証書を付けた「実質再エネ」「実質ゼロエミ電源」という表示の「実質」という表現は、一般的な消費者の理解と齟齬があり、電源構成の誤認を招く可能性があると考えます。「実質」という表現を変更してください。

 また、卒FIT電源・大型水力などの再エネだけでなく、原子力・廃プラスチックについても非FIT非化石証書の対象とされ、これらは取引上「非化石証書(再エネ指定なし)」という表示がされています。しかし、「(再エネ指定なし)」という表示では、実際の非化石証書が何の電源由来なのかが消費者には伝わらず、消費者の「必要な情報が提供される権利」が満たされていない状況であると考えます。例えば「非化石証書(原子力)」といった名称にするなど、消費者の誤認を招かない形に変更してください。さらに現在のルールでは再エネであっても、「(再エネ指定なし)」の証書を発行できることとなっており、その表記が「非化石証書(再エネ指定なし)」となることで、より消費者への誤認を招く要因になります。再エネ由来の証書はすべて「(再エネ指定)」とし、名称も「非化石証書(再エネ)」とすべきと考えます。

 なお、当会が電源表示と非化石証書に関して、「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」に提出した意見書を参考資料として提示いたしますので、下記URLで内容をご確認ください。

http://www.shodanren.gr.jp/database/446.htm

以上