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「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」
の報告書に関する意見を提出いたしました

 消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」において、 本年8月19日に報告書がまとめられ、公表されました。

 報告書では、「販売を伴う預託等取引契約の原則禁止等」の明記など、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応が必要として、法執行の強化や実効性ある制度改革が答申されました。

 全国消団連では、以下の意見を、9月7日に「内閣府消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長」に提出いたしました。

「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」
の報告書に関する意見

2020年9月7日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

 消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下、検討委員会)において、本年8月19日に報告書がまとめられ、公表されました。

 報告書では、消費者の脆弱性につけ込む悪質商法の手口の巧妙化・複雑化には、断固とした対応が必要として、法執行の強化や実効性ある制度改革が答申されました。

 特に、大きな社会問題となった豊田商事・安愚楽牧場・ジャパンライフ・ケフィア事業振興会・WILL(株)など、高齢者をはじめ、多くの消費者に財産被害を及ぼす悪質な販売預託商法については、本質的に反社会的な性質を有し、行為自体が無価値と捉え、「販売を伴う預託等取引契約の原則禁止等」と明記されたことは、長年の消費者被害を無駄にせず、制度改革の方向を示した画期的な結論であると、高く評価いたします。

 この報告書を受けて、以下の4点を要望します。

1.報告書の内容に沿った法改正の検討を早急に進め、来年の通常国会への法案提出を求めます

(販売預託商法の原則禁止の実現)

 販売預託商法を原則禁止とするためには、預託法の抜本的な改正が必要になります。預託法の改正にあたり、販売預託商法の罰則による原則禁止を実現するとともに、関連法とのすき間が生じないよう、規制の潜脱防止を確実に図るべく検討を進めてください。

(特定商取引法の執行強化と被害回復)

 特定商取引法に基づく行政処分の実施に時間を要する過量販売等の事案について、消費者被害の拡大防止のためには、合理的な根拠資料の提出を求め、充分な資料提出がなければ違反行為が行われたものとみなす規定を設けることが必要です。また、行政処分の結果を消費者の被害回復に活用するために、特定適格消費者団体が行う共通義務確認訴訟の遂行に資する措置を実現してください。

(詐欺的な定期購入商法の規制強化)

 消費生活相談ではこの間、通信販売において、お試しのつもりで購入した商品が定期購入であったとの相談や、解約はいつでもできるとしながらも連絡が付かないなどの相談が激増しています。このような詐欺的な定期購入商法には、規制の強化が必要です。消費者に誤認を与える悪質な表示に対する執行を強化し、解約・解除を不当に妨害する行為を禁止し、さらに、解約権等の民事ルールを規定するなどの対応を進めてください。あわせて、一体の契約をことさら初回分と2回目以降に分離して記載する方法は、インターネット通販における「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に該当するものとして、ガイドラインの見直しにより早急に対応してください。

(送り付け商法(ネガティブオプション)への制度的措置)

 新型コロナ感染症拡大の消費者の不安につけ込む、マスクなどの送り付け商法(ネガティブオプション)も大きな社会問題になっています。諸外国の法制では、消費者が注文していない商品が送り付けられた場合に、支払い・返品・保管を事業者が求めることを禁止したり、請求権を否定する事例も多くあります。送り付け商法(ネガティブオプション)は、何ら正常な事業活動とはみなされないものとして、海外事例等も参考に、制度的な措置の検討を早急に進めてください。

 この他、今後の検討課題として、特定継続的役務に係る新たな対象の追加や、アフィリエイト広告における違反行為への対応など、大変重要な事項についても提案されています。消費者被害の防止、救済の視点から、これら各課題についての対応についても、検討を進めてください。

2.消費者庁の人的体制や予算の強化を求めます

 今回の報告書を踏まえて、特定商取引法や預託法の法改正をはじめとする各制度の見直しを進め、さらにその後の改正法を確実に執行していくためには、消費者庁の人的体制や予算の強化が必要です。現在の各制度見直しの検討段階から、早急に消費者庁の体制整備を進めてください。

3.国と地方自治体の法執行強化、連携強化を求めます

 国は事業者に対して、特定商取引法などの規定を遵守するよう周知し、違反行為に関しては、消費者被害の未然防止や、悪質事業者の排除のために、厳正かつ適切な法執行を実施してください。また、国と地方自治体の双方において法執行の強化や連携の強化が重要です。地方自治体の体制確保に向けた措置や、連携の強化に向けた検討を進めてください。

4.消費生活相談の実務で実効性のある法改正や制度の改正を求めます

 検討委員会において検討されてきた各事案は、長年にわたる消費生活相談の積み重ねによるものです。報告書を踏まえて法改正や制度の改正に向けて検討を行うにあたっては、消費生活相談の実務において利用しやすい、実効性のあるものとしてください。

以上