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「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」成立にあたっての意見を
提出いたしました

 6月8日「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が成立しました。
 全国消団連では成立にあたって以下の声明を発表しました。

(宛先)衆議院:消費者問題に関する特別委員会委員、参議院:地方創生及び消費者問題に関する特別委員会委員、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長

「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」の成立にあたって

2020年6月8日
一般社団法人 全国消費者団体連絡会

 本日(2020年6月8日)参議院本会議にて、「公益通報者保護法の一部を改正する法律案」が全会一致で可決されました。
 全国消費者団体連絡会では、公益通報者の保護は国民生活の安定や社会経済の健全な発展に資するものであり、制度の実効性を確保するためにも、今通常国会での成立を強く求めてきました。今国会での成立にあたり、衆議院消費者問題に関する特別委員会委員の皆様、参議院地方創生及び消費者問題に関する特別委員会委員の皆様、消費者庁、内閣府消費者委員会など関係各位のご尽力に深く感謝いたします。

 今回の改正では、「保護される通報者の範囲の拡大」「大規模事業者に対する内部通報体制の整備義務、違反への行政措置」「通報対象事実の範囲に行政罰の違反行為を含める」「外部通報の要件緩和」「公益通報対応業務従事者の対する刑事罰付きの守秘義務」など、通報者保護が強化されるものであると高く評価しております。

 この間、全国消団連では、少なくとも内閣府消費者委員会専門調査会報告書で合意された内容に沿った形で法改正が行われることを求めてきました。
 今後に向けては、附則や附帯決議で時限を示されている事項について、確実に措置につながるよう、実効性を持って対応をすすめていただけますようお願いいたします。
 特に、公益通報者保護法の実効性確保のための重要な論点である「不利益取り扱いに対する行政措置等」ついては、内閣府消費者委員会専門調査会報告書では、「通報を理由として通報者に不利益取扱いをした事業者に対する行政措置を導入すべき」として、「助言・指導・勧告・公表」について言及されていたものの、今回の法案では措置されず、附則第5条にて「施行後3年を目途として、必要な措置を講じるもの」が規定されるにとどまりました。
 このほかに、専門調査会報告書に沿った改正とならなかった箇所として、「通報者の範囲が退職後1年以内に限定されたこと」「通報対象事実の範囲について、行政罰の対象となる違反行為にとどまったこと」「報道機関等に通報した場合の保護要件の緩和」などがあります。また、専門調査会報告書で、今回は一致をみなかったとの理由で先送りとなった論点として、「立証責任の転換」「通報を裏付ける資料の収集行為の免責」「取引先等事業者を通報者の範囲に含めること」などについても、法律の実効性確保においては重要です。

 今回の公益通報者保護法の改正について広く周知を行うと共に、通報者がより保護されやすく、事業者自らの不正の早期是正により被害の防止が図れるよう、本声明で申し上げた内容の検討を行い、次回の改正につなげていただけるよう要望いたします。

以上