[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「ダウンロード違法化および著作権法改正に関する意見」
提出いたしました

 2020年1月16日、文化庁「『侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会』における議論のまとめ」が公表されました。

 今後、この「議論のまとめ」も踏まえ、著作権法改正案が検討されることになります。全国消団連では昨年10月に提出したパブリックコメント等を基に、1月28日に添付の意見を「文化庁長官、内閣府消費者委員会委員長」に提出いたしました。

<参考>全国消団連でこれまでに提出した本件に関する意見

2020年1月28日

ダウンロード違法化および著作権法改正に関する意見

一般社団法人 全国消費者団体連絡会

 文化庁「侵害コンテンツのダウンロード違法化の制度設計等に関する検討会」において、第1回(2019年11月27日)、第2回(2019年12月18日)、第3回(2020年1月7日)の議論を経て、「議論のまとめ」が2020年1月16日に公表されました。このまとめを踏まえ、早ければ今通常国会に、著作権法の改正案が提出されようとしています。

 しかしながら今回の検討においては、これまで「私的複製」として全面的に認められてきた、インターネット上に存在している文章や画像をコピーする行為の一部を、違法化・犯罪化する内容が含まれています。市民が政治的・社会的議論に参加するために必要不可欠なインターネット上の情報収集を萎縮する効果が生じる可能性があることから、この点について慎重な検討が必要と考えます。例えば、消費者被害の実態を社会問題化しようとする場合や公益通報を行う場合などにおいて、証拠としてインターネット上に存在している文章や画像をコピーすることなどはありうることですが、今回の著作権法改正によりこうした情報収集行為の委縮につながることになっては問題です。また、昨年10月に実施された文化庁の「侵害コンテンツのダウンロード違法化等に関するパブリックコメント」の結果も踏まえ、法改正には抑制的であるべきと考えます。

 著作権法改正案の検討にあたり、以下2点を要請します。

1.「著作権者の利益を不当に害することとなる場合に限定すること」の要件を法案に盛り込むことを求めます。

 上記要件については、標記検討会の「議論のまとめ」において、今後政府における検討を通じて採用の可否等について判断を行った上で、適切な法整備を速やかに行うこととされました。しかし、「議論のまとめ」でも特記されているように、上記要件が採用されることを条件として、「著作物の全部又は相当部分を(丸ごと)ダウンロードする場合に限定すること」「海賊版サイトなどからのダウンロードに限定すること」等の措置を採用しない方針を了承した構成員も複数いたことには、十分留意される必要があります。当会もパブリックコメントにおいて、このような措置を求めていた次第です。

 文化庁は、国民の不安を払拭するために、「軽微なものを除く」といった客観要件や、「違法であることを知りながら」といった主観要件をつけるので問題ないと説明していますが、この案では、違法でないことの立証は市民側が追わざるを得ない結果となり、前述のような萎縮効果の問題は解決されません。

2.あわせて、一般的な権利濫用制限規定の検討を求めます。

 市民のインターネット上の情報収集を萎縮する効果を減殺させるためには、ダウンロード違法化の検討だけでなく、一般的な権利濫用制限規定、公益目的・研究目的利用の場合の権利制限などの必要な安全措置の検討を求めます。

以上