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「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 新開発食品調査部会 報告書(案)
ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生法上の取扱いについて」
に係る意見を提出しました

 組換えDNA技術応用食品(遺伝子組み換え食品)等については、食品衛生法第11条第1項の規定に基づき、安全性審査の手続きを経たものでなければならないとされています。

 昨今、新たな育種技術として、いわゆる「ゲノム編集技術」を用いて品種改良された農産物等が開発され、流通できる段階まで来ています。

 こうした食品等が、組換えDNA技術応用食品と同様に、食品衛生法に基づく安全性審査が必要かどうか等、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会遺伝子組換え食品等調査会で議論され、「ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生法上の取り扱いについて」報告書(案)がまとめられました。報告書案に対して意見募集が行われましたので、2月20日に以下の意見書を提出しました。

厚生労働省医薬・生活衛生局
食品基準審査課 新開発食品保健対策室 御中

「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 新開発食品調査部会 報告書(案)
ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生法上の取扱いについて」
に係る意見

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 岩岡 宏保
代表理事 (共同代表) 長田 三紀
代表理事 (共同代表) 浦郷 由季

 昨今、新たな育種技術として、いわゆる「ゲノム編集技術」を用いて品種改良された農産物等が開発され、食品等として流通しうる段階を迎えており、こうしたゲノム編集技術を利用して得られた食品等が組換えDNA技術応用食品等と同様に、食品衛生法に基づく安全性審査等の措置を講ずるべきかなど、食品衛生法上の取り扱いについて検討する必要が生じています。

 こうしたことから、平成30年9月からの「厚生労働省 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 新開発食品調査会」での議論を経て、同調査部会において報告書案がまとめられました。

 新たな育種技術が消費者に理解され、届出制度が実効性のあるものとなるよう、以下の意見を申し述べます。

1.ゲノム編集技術応用食品の中で、遺伝子組換え食品に該当しないとされるもの(導入遺伝子及びその一部が残存しないことに加えて切断箇所が修復する際の塩基の欠失、置換、結果として1〜数塩基の変異が挿入される結果となるもの)に対して、届出の実効性を確保するため、届出義務化の措置を求めます。

 報告書案の中に、「新たな育種技術に対する消費者等の不安への配慮も必要であることから、厚生労働省は、現時点では法的な義務化はそぐわなくとも、将来の届出義務化の措置変更も視野に入れつつ、届出の実効性が十分に確保されるよう対応するべきである。」と記載されました。

 ゲノム編集技術は新しい技術であり、現時点では想定されなかった食品衛生法上の問題が今後生じる可能性がないとは言えません。問題が生じたときに対応できるように、情報を蓄積する届出制度は不可欠です。届出制度の実効性を確保するためには、任意ではなく義務化することが必要です。任意の届出とすると、輸入食品を含め、届出ない開発者も出てくることは大いに予想されます。いつの間にか食卓にゲノム編集技術応用食品が上っていたということにならないように、届出制度の実効性確保に取り組んでください。

 「開発者等から届け出のあった情報は、薬事・食品衛生審議会(調査会)に報告し、届出情報の概要を公表することが妥当」とありますが、調査会においては届出概要を精査し、消費者が理解でき、監視機能が働くしくみを整えてください。

2.ゲノム編集技術応用食品のみならず、育種技術全般について、消費者の理解促進につながるようなリスクコミュニケーションを行ってください。

 ゲノム編集技術は、各方面での活用が期待される一方、新しい技術ゆえに安全性に関して大きな不安をもっている消費者も多いと考えられます。それを社会に定着させるには、消費者の理解が不可欠です。まずは、育種技術全般について、分かりやすい広報ツールやQ&Aを作成・普及するなど、消費者の理解促進につながるようなリスクコミュニケーションを行ってください。

以上