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「LPガスの料金透明化と取引適正化に向けた意見」を提出しました

 平成30年10月に、総務省北海道管区行政評価局より「液化石油ガスの取引適正化に関する調査」の結果公表されました。

総務省北海道管区行政評価局ホームページ
http://www.soumu.go.jp/kanku/hokkaido/setumei_a.html

(液化石油ガスの取引適正化に関する調査、報道資料(概要)、結果報告書、参考(北海道における液化石油ガスの小売価格等に関する調査研究報告書)が確認できます)

 この調査は、「LPガス料金の透明化及び取引の適正化を図る観点から、

i) LPガスの消費者からの苦情・相談の受付状況、
ii) LPガス販売事業者における液石法施行規則等の関係法令及び取引適正化ガイドラインの遵守状況、
iii) 行政機関等における取組状況

等を調査し、関係行政の改善に資する」ことを目的として実施されました。

 全国消団連では、以前よりLPガス料金の透明化及び消費者への丁寧な説明、液石法で規定された書面交付の確実な実施等を求めてきました。この問題は北海道内のみの課題ではないと考え、以下の意見を資源エネルギー庁に提出しました。

(提出先)経済産業省 資源エネルギー庁 資源燃料部 石油流通課

2019年1月18日

LPガスの料金透明化と取引適正化に向けた意見

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 岩岡 宏保
代表理事 (共同代表) 長田 三紀
代表理事 (共同代表) 浦郷 由季

 平成30年10月に、総務省北海道管区行政評価局より「液化石油ガスの取引適正化に関する調査」の結果1が公表されました。

 この調査は、「LPガス料金の透明化及び取引の適正化を図る観点から、i)LPガスの消費者からの苦情・相談の受付状況、ii)LPガス販売事業者における液石法施行規則等の関係法令及び取引適正化ガイドラインの遵守状況、iii)行政機関等における取組状況等を調査し、関係行政の改善に資する」ことを目的として実施されました。

 消費者団体では、以前よりLPガス料金の透明化及び消費者への丁寧な説明、液石法で規定された書面交付の確実な実施等を求めてきました。この立場から、上記報告とそれを受けた対応について大きな関心を寄せているところです。報告書を拝見し、この問題は北海道内のみの課題ではないと考え、貴庁に対し下記の3点を申し入れます。

1.取引適正化ガイドラインの遵守・徹底のための施策の継続とともに、遵守事項について法令に基づく義務化の検討を求めます。

 報告書では液石法令や取引適正化ガイドラインが求める事項が必ずしも遵守されていない点が指摘されています。

 具体的には

  • 液石法第14条書面に必要な事項を記載していない例がみられた
  • 液石法第16条第2項に基づく販売の方法の基準に適合しない例がみられた
  • ホームページや店頭において標準的な料金メニュー等を公表していない例がみられた。また、資源エネルギー庁の調査において、標準的な料金メニュー等をホームページで公表しているとする北海道内のLPガス販売事業者の中には、実際には当該情報をホームページで公表していない事業者や、ホームページを開設していると回答しているにもかかわらず、ホームページを開設していない事業者もあった

等とされています。

 このような事例は、北海道特有の事例とは考えにくく、他の地域でも同様な状況があると推察されます。引き続き液石法令・取引適正化ガイドラインの遵守を事業者に求め、指導を強めていただきたいと考えます。特に標準的な料金メニューの公表については、最低限の事項として早期に徹底を図っていただきたいと思います。

 なお、平成29年2月に貴庁が公表した「『液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令案』等の制定に対する意見募集の結果について」2によれば、消費者団体からの「指針の見直しでは限界がある事態も想定される。そうした際には、液石法の改正を含めたより強い措置をとることを要望する」という意見に対し、貴庁は「本指針制定後の液化石油ガス販売事業者の取組状況や、一般消費者等からの苦情の発生状況等を踏まえつつ、必要があれば法令に基づく義務とすることも含めて、更なる対応の必要性を検討することとしたいと考えています」と回答しておられます。状況を踏まえ、法令に基づく義務化の検討を求めます。

2.消費生活センター・消費者庁との連携、LPガス懇談会の有効活用により、各地の実態を把握することを求めます。

 報告書では、消費生活センター等には、平成29年2月の液石法施行規則等の改正、取引適正化ガイドラインの制定後も、LPガスの料金や取引に関する苦情・相談が依然として寄せられていることが記述されています。特に、北海道においてLPガス料金が高いのではないか、という指摘もありますが、消費者団体等が行ったアンケートでは他地域においても「LPガスの料金が高い」「料金の比較ができない」「料金の根拠が分からない」等の声が寄せられています。

 各地方経済産業局や業界団体においても相談窓口を設けていますが、消費生活センター等への相談となっている場合、あるいは消費者自身がどこに相談をしてよいのかが分からないような場合もあると推察されます。消費者庁や各地の消費生活センター等とも連携して、各地の実態把握を進めるとともに、消費者への情報提供や事業者の対応力向上等を図ってください。

 特に、毎年ブロックごとに開催される「LPガス懇談会」については、料金透明化・適正化に向けてより有効な場となるよう、内容・参加者等の工夫を求めます。

3.無償配管・無償貸与問題の抜本的な対策のため、関係省庁との協議を行ってください。

 報告書では、LPガス業界における無償配管・無償貸与慣行が、料金の不透明性や不適正な取引の背景にある点を明確に指摘しています。調査に回答したLPガス事業者自身から、無償配管やガス器具の無償貸与の慣行がガス料金に影響していること、ガス料金の複雑さの原因となっていることの指摘があり、中には、賃貸集合住宅の家主・建設業者・不動産管理会社等の要求等により、エアコン・灯油ストーブ・温水洗浄便座等を家主に無償で貸与する事例を指摘する意見もありました。

 こうした点を踏まえ、報告書では関係省庁に対して、「消費者保護のため、立入検査等において、無償配管、無償貸与等の慣行を含むLPガスの取引の実態を把握し、必要に応じ公正取引委員会事務総局北海道事務所及び北海道開発局と連携して、それぞれが所掌する法令等に照らし、違反行為をした事業者等に対し必要な措置を講ずること」との勧告を行っています。

 この問題も、北海道以外の地域においても行われているのではないか、という点は以前から指摘をされています。本勧告は北海道経済産業局に向けたものではありますが、北海道内だけの問題ではありませんし、北海道内の各行政局・事務所のみで解決が図られる問題とは思えません。全国レベルの取り組みとして、貴庁においても、この問題について国土交通省・公正取引委員会・地方自治体等と連携をとり、対応を進めていくことを求めます。

以上