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特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ
〜「観光先進国」の実現に向けて〜 に対する意見を提出しました

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)は2016年12月に成立しましたが、青少年の健全育成やギャンブル依存症対策の措置などについては、本年4月以降、有識者会議である「特定複合観光施設区域整備推進会議」で検討が進められ、取りまとめ(『特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ〜「観光先進国」の実現に向けて〜』)が行われ、意見募集が行われています。(2017年8月28日現在)

 全国消団連では2006年前後に多重債務問題に取り組み、その後貸金業法の改正や政府における「多重債務問題改善プログラム」の展開により、多重債務者や自己破産の減少、多重債務による自殺者も減少しました。

 しかし、今回のカジノ解禁推進法は、刑法が禁じる賭博場・カジノを合法化する内容を含んでおり、多重債務問題の再燃やギャンブル依存症の拡大につながりかねません。

 全国消団連では、上記の内容を踏まえて、8月25日に以下の意見を提出しました。

特定複合観光施設区域整備推進本部事務局 宛て

特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ
〜「観光先進国」の実現に向けて〜 に対する意見

1.多重債務問題の再燃やギャンブル依存症の拡大につながりかねないことから、カジノを解禁することに反対します。

 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」は、そもそも刑法により禁止されている賭博行為を民間業者で行うことを合法化しようとする内容を含むものですが、内閣委員会で十分な調査や検討が尽くされないまま委員会採決が行われ、2016年12月に本会議で可決されました。

 今回の推進会議取りまとめでは「IV 世界最高水準の規制②弊害防止対策」として、依存防止対策や青少年の健全育成としての対策が挙げられています。「5 事業者が実施する依存防止措置」では、事業者に対して相談窓口の設置等の対策を義務付けることとしていますが、まだ十分具体的になっておらず、何よりもこうした依存防止の措置をしてまで、カジノを解禁する必要はないと考えます。

 「多重債務者」の増加が深刻な社会問題となった中、2010年に従来の法律を抜本的に改正した新しい「貸金業法」が成立しました。この改正やその後の政府における「多重債務問題改善プログラム」の展開により、多重債務者や自己破産の減少、多重債務による自殺者も減少しました。このように、改正貸金業法によって、多重債務問題は大きく改善していることは明らかです。

 そうした中、カジノ解禁は、新たなギャンブル依存症者の発生を招く危険性が高く、多重債務問題の再燃が懸念されます。また、治安の悪化による市民への社会的な影響、特に青少年の健全育成に悪影響を与える恐れがあります。各報道機関の世論調査でも、カジノ解禁については反対意見が多数を占めているところです。

 本取りまとめの根本原則として「我が国におけるIR の導入は、単なるカジノ解禁ではなく、また、IR 事業を認めるだけのものでもなく、世界の人々を惹きつけるような我が国の魅力を高め、大人も子供も楽しめる新たな観光資源を創造するものでなければならない。」とありますが、他方「はじめに」の中では、「我が国は、自然・歴史文化・気候・食という観光振興に必要な4つの条件を兼ね備えた世界でも数少ない国の1つであり、観光資源の大きな潜在能力を有している」とも記載されています。このような下、新たな観光資源創造において、前述のようなリスクを伴ってまで、カジノ導入を行う必要はないと考えます。

以上