[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る


「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針の骨子」
についての意見を提出しました。

 2015年9月、ニューヨーク国連本部において、「国連持続可能な開発サミット」が開催され、その成果文書として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。2030アジェンダは、貧困を撲滅し持続可能な世界を実現するための目標として、17のゴール・169のターゲットからなる「持続可能な開発目標」(SustainableDevelopment Goals: SDGs)を掲げました。

 日本国内においては、この「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた取り組みを広範な関係者が協力して推進していくため、行政・NGO・NPO・有識者・民間セクター・国際機関・各種団体等の関係者が集まり、外務省に「SDGs推進円卓会議」が置かれ、SDGs実施指針策定のための検討が行われています。このたび、SDGs実施指針の骨子が公表され、意見募集が行われましたので、全国消団連は以下の意見を提出しました。

提出先 : 外務省 国際協力局地球規模課題総括課
持続可能な開発目標(SDGs)実施指針担当

2016年11月1日

「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針の骨子」についての意見

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 岩岡  宏保
代表理事 (共同代表) 松岡萬里野
代表理事 (共同代表) 河野  康子

 今回示された日本政府のSDGs実施指針骨子には、SDGs推進円卓会議における構成員の多様な意見が数多く反映されていることが評価できます。その上で、さらに以下のような点に対して、検討を求めます。

◆「序文(2030アジェンダに対する基本的な考え)」について

 日本におけるこれまでの取組みや今後の取組みについての考え方は示されていますが、SDGs実施の理念が明確に示されていません。明記すべき理念として、「すべての人の人権の実現」と「ステークホルダーとのパートナーシップによる実現」を提案します。これらは2030アジェンダの「前文」のなかの基本的な考え方を示すものであり、それに沿って実施指針を定めることを明記することが重要と考えます。

 なお、アジェンダに記載されている人権の内容に、SDGsの目標の実現に大きく関わる消費者の権利や労働者の権利の記載が十分ではないことから、これらも含むものであるという確認が求められます。それによってSDGsの実現がより強固になると考えます。

◆「序文(2030アジェンダに対する基本的な考え)」について

 日本におけるこれまでの取組みや今後の取組みについての考え方は示されていますが、SDGs実施の理念が明確に示されていません。明記すべき理念として、「すべての人の人権の実現」と「ステークホルダーとのパートナーシップによる実現」を提案します。これらは2030アジェンダの「前文」のなかの基本的な考え方を示すものであり、それに沿って実施指針を定めることを明記することが重要と考えます。

 なお、アジェンダに記載されている人権の内容に、SDGsの目標の実現に大きく関わる消費者の権利や労働者の権利の記載が十分ではないことから、これらも含むものであるという確認が求められます。それによってSDGsの実現がより強固になると考えます。

◆「序文(本実施指針の意義)」について

 「グローバルパートナーシップの下で、あらゆる主体が力を合わせて取り組む」ことについて、国内のあらゆる主体が当事者として参画していくことが十分認識されるために、「国内のあらゆる主体が当事者として参画する」ことを加えるべきです。

 なお、この点についてはSDGs推進円卓会議のなかでも「当事者主権」、「多くの人の参加」、「あらゆる組織が社会的責任を果たす」、「国内への普及促進」、「幅広い国民参加」、「国民運動を起こすべき」として多くの構成員から言及されているところです。

◆「ビジョンと8つの優先課題(取組の柱)(優先課題(取組の柱))」について

 本文は「People(人間)、Planet(地球)、Prosperity(繁栄)、Peace(平和)、Partnership(パートナーシップ)の順番に記載されていますが、具体的な内容の記述において、Planet(地球)とProsperity(繁栄)の順番が逆になっています。アジェンダ2030でも本文と同じ順番で記述されていますので整合性を担保してください。

◆「ビジョンと8つの優先課題(取組の柱)」について

 優先課題を設定することは必要ですが、社会状況の変化により修正の可能性があることを加味した記述が望ましいと思います。

◆「4 実施のための主要原則」について

 原則の一つに「参加型」とありますが、より主体的な当事者としての取組みを促すために「参画型」という記述を望みます。

◆「5 推進に向けた体制(1)政府の体制」について

 SDGs推進本部の役割を司令塔とした点は適切だと思います。一方、「政府の体制」の一つである「ステークホルダーとの意見交換や連携の推進」という文言は消極的です。「1.本文」や「3.ビジョン」に掲げたステークホルダーとの参画や連携を生かした「SDGs推進円卓会議の参画による推進」とすべきではないでしょうか。

◆「5 推進に向けた体制(2)SDGsの主流化」について

 SDGsを「各種計画や戦略、方針の策定・改訂」に反映するとするだけではなく、SDGsに関連するこれまでの取組みとしての具体例を示しながら、それらの継続や強化を明記することでSDGsの取組みをより確かなものにしていくものになると考えます。具体例として、消費者教育推進法に基づく消費者市民社会の形成に向けた消費者教育に関わる政策等が挙げられます。

◆「5 推進に向けた体制(3)ステークホルダーとの連携」について

 SDGsの実現のためには、まずは各ステークホルダーにおけるSDGs推進が欠かせないと考えます。(2)SDGsの主流化の項で、「府省庁ごと又は各府省庁横断的な取組を推進していくための政策誘導」が言及されていますが、市民組織においても「政策誘導として、必要に応じた関係制度改革の検討や、適切な財源確保」は重要と考えます。

◆「5 推進に向けた体制(3)ステークホルダーとの連携」について

 ステークホルダーとしての連携について、各セクターが中心になっているものは記載されていますが、アジェンダ2030で示され、また、多くのSDGs推進円卓会議の構成員が言及しているように、マルチステークホルダーによる連携を取り上げる必要があります。例えば、グローバル・レポーティング・イニシアティヴ(GRI)、持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)、森林管理協議会(FSC)、社会的責任に関する指針(ISO26000)などが、国内・国際的な取組を進めています。また、地域では、NPO/NGOが中心になって地域円卓会議として様々な課題への取組みが行われています。こうした連携について、地方自治体としての項目以外に、マルチステークホルダーの取組み例として記述することが重要です。

◆「5 推進に向けた体制(3)ステークホルダーとの連携」について

 府省庁ごとの事項や府省庁横断的な分野別の事項について、事項に応じて関係するステークホルダーとの意見交換の場の設置を規定したのは評価しますが、事例が2つに留まっているのは残念です。他の府省庁でも取組みが進むような記述の仕方が求められます。例えば、教育についてはESDが記載されていますが、消費者教育という側面から学校、企業、地域、消費者団体など多様な主体の取組みを促進するためにも、幅広い対話が起こるような記述を望みます。

◆「5 推進に向けた体制(3)ステークホルダーとの連携」について

 主体として民間企業、消費者、地方自治体、科学者コミュニティが入っていますが、消費者団体やNGOなどの市民組織が含まれていません。これらの市民組織は主体としてのステークホルダーとして必須の項目であると考えます。なお、アジェンダ2030のパラグラフ41には「小規模企業から多国籍企業、協同組合、市民社会組織や慈善団体等多岐にわたる民間部門が新アジェンダの実施における役割を有する」と記述されています。

◆「5 推進に向けた体制(3)ステークホルダーとの連携(民間企業)」について

 SDGsへの取組みについては、企業が従来からグローバルコンパクトやISO26000などの指針やガイドライン等を通して取り組んできたCSRの取組みを充実・発展させていくという観点からの記載が必要です。

◆「5 推進に向けた体制(消費者)」について

 「消費者や市民の主体的取組みを推進する」ということは適切ですが、消費者や市民が当事者として取り組んでいく上では、企業や消費者団体など多様な主体が消費者や市民の取組みの支援をすることが重要です。

◆「5 推進に向けた体制(4)広報・啓発」について

 「啓蒙」は「知識のない人に教える」というニュアンスになるので「啓発」に、また「普及のための広報・啓発」は「普及のための広報・周知」とすることが望ましいと考えます。

◆「6 フォローアップレビュー」について

 「広範なステークホルダーの意見を聴取する」とありますが、SDGsはステークホルダーの参画が重要な柱ですから、「広範なステークホルダー参画の下に行う」という記述にしてください。

◆「実施指針付表骨子(具体的施策)6 生物多様性、森林、海洋等、環境の保全(国内)」について

 「持続可能な消費と生産の確保」の視点を加え、この項目のなかに、「消費者教育における消費者市民社会の理念等の普及」及び「倫理的消費の普及啓発」の記載を望みます。

◆「実施指針付表骨子(具体的施策)6 生物多様性、森林、海洋等、環境の保全(国内)」について

 「消費者基本計画の推進」(消費者庁)を加筆してください。

◆「実施指針付表骨子(具体的施策)8 SDGSs実施指針の体制・手段(国内)」について

 マルチステークホルダー・パートナーシップとして、「市民社会、民間企業等によるさらなる参画(円卓会議等を通じた連携)」を加えたことは評価します。さらに、具体的な例をいくつか入れるとわかりやすいのではないでしょうか。

以上