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2016年9月6日

「加工食品の原料原産地表示制度に関する意見」を提出しました。

 「加工食品の原料原産地表示制度については、本年1月より消費者庁・農林水産省共催による「加工食品原料原産地表示制度に関する検討会」において検討(以下検討会)が行われています。

 第6回検討会において、「全ての加工食品に原料原産地表示を義務付ける実行可能な方策について検討を進めること」が提案され、第7回検討会では実行可能な方策として3つの表示方法(可能性表示、大括り表示、中間加工品の加工地表示)が示されました。この3案はいずれも「食品の中身を正しい情報として伝えるものになっていない」ため、食品表示法の「自主的かつ合理的な選択」が達成されないものと考えます。よって全国消団連では以下のような意見書を提出しました。

提出先:自由民主党農林部会長、消費者庁長官(食品表示企画課)、農林水産省消費・安全局長(消費者行政課)、消費者委員会委員長

2016年9月6日

加工食品の原料原産地表示制度に関する意見

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事(共同代表) 岩岡  宏保
代表理事(共同代表) 松岡萬里野
代表理事(共同代表) 河野  康子

 加工食品の原料原産地表示制度については、本年1月より消費者庁・農林水産省共催による「加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会」(以下「検討会」)において検討が行われています。

 第6回検討会において、「全ての加工食品に原料原産地表示を義務付ける実行可能な方策について検討を進める」ことが提案され、第7回検討会では実行可能な方策として3つの表示方法(可能性表示、大括り表示、中間加工品の加工地表示)が示されました。

 加工食品の原料原産地表示制度については、平成12年の農林水産省「加工食品の原料原産地表示検討委員会」以来、多くの場で検討が重ねられてきました。社会問題化した大規模な偽装表示事件への対策なども含めた結果として、現行制度(対象範囲である4品目・22食品群)が設けられるに至っています。消費者にとって分かりやすく、合理的な選択に役立つ表示の在り方については、消費者ニーズを的確に把握し、これまでの経過を十分に踏まえて実行可能な方策を検討するべきと考えます。

 以下意見を申し述べます。

1.今後検討する実行可能な方策は、「食品の中身を正しく消費者に伝える」ことを前提に、「消費者にとって分かりやすい」「誤認を招かない」表示方法としてください。

 加工食品の原料原産地表示の目的は、「消費者の適切な選択に資する観点から、商品の品質に関する情報を適切に提供し、加工食品の原産地に関する誤認を防止する」ことです(平成15年「食品の表示に関する共同会議報告書」)。

 正確かつ分かりやすい加工食品の原料原産地表示はどうあるべきかという視点で検討し、誤認を招かない表示方法としてください。

2.第7回検討会で事務局から提案された3案には反対します。

 第7回検討会において、「全ての加工食品に原料原産地表示を義務化する」ための実行可能な方策として3つの表示方法(可能性表示、大括り表示、中間加工品の加工地表示)が示されました。しかし、この3案は、これまでの検討会でも「導入することは不適切」「十分な検討が必要」などとされ、見送られてきたものです。

 この3案はいずれも、「食品の中身を正しい情報として伝えるものになっていない」ため、「本当に知りたい情報ではない」「実質的に消費者は選ぶことができない」「消費者の誤認を招く」という大きなデメリットがでてきます(詳細は参考資料 【PDF 143KB】)。これでは、食品表示法の目的である「自主的かつ合理的な選択」が達成されません。それどころか、食品表示においてもっとも注意すべき「著しい優良誤認」につながるおそれがあります。原料原産地表示の義務化を前提とした今回の3つの表示方法を進めることは、消費者を混乱させるだけで、日本の農業への支援とはなり得ません。

 よって、「全ての加工食品に原料原産地表示を義務付ける実行可能な方策」として第7回検討会で事務局から提案された3案には反対します。