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2016年8月26日

「個人情報の保護に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」及び
「個人情報の保護に関する法律施行令規則(案)」
に関する意見を提出しました。

 個人情報保護法は、個人の権利・利益の保護と個人情報の有用性とのバランスを図るための法律です。今回、改正法に基づき政令(案)及び施行規則(案)についてのパブコメ募集がかけられました。この案では、事業者が守らなければならないルールが提示されています。今回の案をさらに強化させていくことが消費者保護につながると考え、全国消団連では、以下の意見を提出しました。

提出先:個人情報保護委員会事務局(個人情報保護担当)

「個人情報の保護に関する法律施行令の一部を改正する政令(案)」及び
「個人情報の保護に関する法律施行令規則(案)」に関する意見

[氏名] 一般社団法人 全国消費者団体連絡会

[住所] 東京都千代田区六番町15 プラザエフ6F

[電話番号] 03-5216-6024

[FAX番号] 03-5216-6036

[メールアドレス] webmaster@shodanren.gr.jp


 個人情報保護法をめぐっては、2005年の施行後10年余りの間に、事業活動のグローバル化や事業者によるパーソナルデータを含むビッグデータの利用が進むなど、消費者や事業者を取り巻く環境は大きく変化してきています。これらの環境の変化に対応し、消費者の個人情報の保護を図りつつ、事業者によるパーソナルデータの円滑な利活用を促進させ新産業・新サービスを創出するための環境の整備を行うことを目的とし、2015年に個人情報保護法が改正されました。個人情報の適切な保護こそが利活用を促進するという視点にたって、個人情報取扱事業者が守るべきルールを明確にしていただくことが重要であり、以下意見を申し述べます。


【該当箇所】 規則(案)の第7条第1項1(第三者提供に係る事前の通知等)

【意見】 「第三者に提供される個人データによって識別される本人が当該提供の停止を求めるのに必要な期間」のうち、「必要な期間」をより明確にして下さい。規則での明確化が困難な場合は、ガイドラインで具体的期間を提示してください。

【理由】 「必要な期間」が解釈次第で短くなるようでは、十分な消費者保護にはならないと考えます。必要な期間の考え方を明確にするべきです。


【該当箇所】 規則(案)の第7条第1項2(第三者提供に係る事前の通知等)

【意見】 第三者に提供される個人データについて、本人が「確実に認識できる適切かつ合理的な方法」について具体的な手段を提示して下さい。規則での明確化が困難な場合は、ガイドラインで具体的手段を提示して下さい。

【理由】 法第23条第2項では、第三者に提供される個人データについて、「本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止する」こととなっています。本人が提供の停止を申し出られるための担保がされていることが、くらしの安心を確保するためには必要なことだと考えます。具体的な手段の方法として、事業者のホームページに掲載することが考えられますが、ホームページに掲載しただけでは、本人がそこを訪れない限り、確実な認識ができません。こうしたことを念頭に、本人が「確実に認識できる適切かつ合理的な方法」について具体的に提示して下さい。


【該当箇所】 規則(案)第12条〜第18条(第三者提供に係る記録の作成等)

【意見】 個人データのトレーサビリティの確保のための記録の作成という趣旨には賛成します。ただし、本来の個人情報保護のための仕組み構築や配意がおろそかになることのないよう、配慮が必要と考えます。

【理由】 個人データのトレーサビリティの確保は、個人情報の漏えいや不正等があった場合、個人情報保護委員会の速やかな調査等の対応において必要です。ただし、記録の作成作業が大きな作業量を要求するものとなった場合、事業者が記録作成作業に注力する余り、かえって対策が形骸化することとなっては本末転倒です。本来の個人情報保護のための仕組み構築や配意がおろそかになることのないよう配慮が必要と考えます。


【該当箇所】 規則(案)第19条(匿名加工情報の作成に関する基準)

【意見】 規則(案)第19条の書き方では、1〜5項の全てを満たすことを要求しているのか、どれか一つを満たせば良いのかが不明です。匿名加工情報の作成の基準について、十分な消費者保護が図られるよう明確にして下さい。

【理由】 匿名加工情報作成の具体的な基準は、業種ごとの認定個人情報保護団体が、マルチステークホルダープロセスにより定めることが予想されますが、これにより加工の基準にバラツキが生じ、結果、消費者保護の薄い業種が生まれるようでは問題です。規則で匿名加工情報の作成の基準を極力明確にするべきです。


【該当箇所】 全般

【意見】 消費者・国民がこの法律の趣旨・内容を理解し、生活の中で適切な対応が取れるよう、改正法の周知・広報を図ってください。

【理由】 個人情報保護法に関する過剰反応に象徴されるように、そもそも国民の間に本法についての正確な理解・認識は十分に行き届いていません。政令・施行規則の整備とともに、改正法そのものの周知・広報を継続的に図ってください。