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消費者行政関係機関の地方移転に反対する意見を
再度提出しました。

 昨年秋、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」において、消費者庁等の地方移転の検討方針が突如として公表されました。その後、全国消団連などの消費者団体、弁護士会等の多くが消費者行政の機能低下を懸念し、移転反対の意見を表明してきました。(全国消団連の意見はこちら

 今般、消費者庁の2度目の移転試行が7月に行われた後、7月29日に河野太郎前・内閣府特命担当大臣(消費者担当大臣)の閣議後記者会見において、消費者庁等の移転検討を3年後に先送りすること、徳島県に「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」という消費者庁の拠点を設置すること、などの方針が示されました。8月末には政府としての方針の結論が出される予定となっています。

 こうした状況を踏まえ、私たちは消費者行政の機能の維持・発展を求める立場から、再度、反対の意見を関係各所に提出しました。

 〈参考〉7/29河野前・内閣府特命担当大臣記者会見要旨はこちら

提出先:
内閣総理大臣(まち・ひと・しごと創生本部本部長)、内閣官房長官、地方創生担当大臣、政府関係機関移転に関する有識者会議座長、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長、国民生活センター理事長、徳島県知事

2016年8月12日

消費者行政関係機関の地方移転に関する意見
〜移転試行をふまえ、地方移転に改めて反対します〜

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 岩岡  宏保
代表理事 (共同代表) 松岡萬里野
代表理事 (共同代表) 河野  康子

 昨年秋、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」において、消費者庁等の地方移転の検討方針が突如として公表されました。その後、全国消団連などの消費者団体、弁護士会等の多くが消費者行政の機能低下を懸念し、移転反対の意見を表明してきました。

 今般、消費者庁の2度目の移転試行が7月に行われた後、7月29日に河野太郎前・内閣府特命担当大臣(消費者担当大臣)の閣議後記者会見において、消費者庁等の移転検討を3年後に先送りすること、徳島県に「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」という消費者庁の拠点を設置すること、などの方針が示されました。8月末には政府としての方針の結論が出される予定となっています。

 こうした状況を踏まえ、私たちは消費者行政の機能の維持・発展を求める立場から、以下について意見を申し述べます。

1.消費者庁・国民生活センターは、移転試行の結果を速やかに公表すべきです

 消費者庁・国民生活センターは、移転試行期間中に生じた課題について、定性的・定量的に整理し、国民に対してその結果を速やかに公表すべきです。特に、移転試行を行うことによって、通常の業務にどれだけの支障があったのか、またはなかったのかを明らかにすべきです。

 また、移転試行に要した経費は国民の税金であることを踏まえると、どれだけのコストがかかり、その経費はどこから捻出されたのかについても説明すべきです。

2.「3年後の見直し」は白紙撤回すべきです

 今回の政府方針においては「移転等に伴う弊害・問題点がある場合、それを上回る必要性・効果があると判断されれば、弊害をできるだけ少なくする措置を講じた上で移転を行う」とされており、その検証の一環として今回消費者庁・国民生活センターの移転試行が行われました。しかし、そもそも消費者庁においては主たる業務である危機管理・司令塔機能(他省庁調整)・国会対応・法執行業務の移転試行自体が諸制約の中でできなかったこと、国民生活センターの研修・商品テスト試行においても参加者のアクセスやテスト機材等に課題を残したことなどをかんがみれば、移転による弊害・問題点を上回る必要性や効果が見いだせたとは到底言えず、したがって消費者担当大臣としても移転検討の先送りという判断をしたものと考えられます。

 今後、相当なコスト・労力をかけて再度の見直しを実施するとしても、通常の消費者庁業務、国民生活センター業務に大きな負荷をかけるものとなり、引き続き移転問題への対応を余儀なくされることで、消費者庁や国民生活センターの機能は低下し、消費者行政の後退につながることは明白です。「3年後の見直し」は白紙撤回すべきです。

3.「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」の具体化は、消費者庁等の現有体制の追加措置として進めるべきです

 7月29日の河野前・消費者担当大臣の記者会見によって新たに設けるとされた「消費者行政新未来創造オフィス(仮称)」は、今後具体化が進められると思われますが、あくまでも消費者庁、国民生活センターの現有体制を維持したうえでの追加措置であるべきです。「『消費者行政未来創造オフィス』の創設は、職員の働き方改革に繋がる」との意義が述べられていますが、それはあくまでも派生的な効果であって、消費者庁が果たすべき消費者行政の本来機能の充実こそが求められているものです。

 現状では対応できていない最先端技術がもたらす課題等への取組みなどに対しては、新たに人材・予算等が上乗せで講じられるべきです。

 消費者行政において対応が必要な課題は山積しています。私たち全国消費者団体連絡会は、消費者庁、消費者委員会、国民生活センターの地方移転を早期に白紙撤回し、各機関が、腰を据えて消費者問題解決のために力を発揮することを強く望みます。

以上