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長期エネルギー需給見通し案について意見を提出しました

長期エネルギー需給見通し策定に向けた意見

一般社団法人 全国消費者団体連絡会(2015.6.26提出)

【意見1】 消費者市民の主体的な選択を促進する仕組みが整備されるべきです。

<理由>

 消費者の選択は現在と未来の社会経済に大きな影響を及ぼします。そのことを自覚し、自らの消費生活について考え、主体的に選択する社会を「消費者市民社会」と呼び、消費者教育推進の目標となっています。(消費者市民社会は、消費者教育推進法第2条で定義されています)

 これからのエネルギーミックスは、この消費者市民の選択を通じて実現されるべきです。消費者が主体的で合理的な選択を容易に行えるように、購入する電気の電源構成(再生可能エネルギーや化石燃料、原子力といった発電源に関する情報)や費用内訳(再エネ発電賦課金や燃料調整費だけでなく、託送費用や原子力関連費用などの情報)などの情報が、容易に比較検討できる形で提供されなければなりません。

 「今回の長期エネルギー需給見通しにおける新たな視点」としてエネルギーシステム改革の進展が挙げられています。システム改革を通じて、消費者市民の主体的な選択を促進する仕組みが整備されるべきです。

【意見2】 再生可能エネルギーの導入目標は少なくとも30%以上にしてください。

<理由>

 福島原発事故後の日本では、再生可能エネルギーの導入促進という目標は、それ以前にも増して幅広い国民合意が可能なものと思います。国民の期待に応え、思い切った政策を最大限推進しすることにより、2030年度までに電源構成の少なくとも30%以上をめざすべきです。

【意見3】 国民との丁寧なコミュニケーションの下に、省エネの徹底や再エネの普及などの施策を進めてください。

<理由>

 今回の長期エネルギー需給見通しでは、省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの普及など、国民の理解と参加が必要となる施策が中心となっています。施策の実効性を高めるためには、この問題について国民との丁寧なコミュニケーションが必要です。

【意見4】 地方自治体における取り組みを積極的に支援すべきです。

<理由>

 全国の多くの地方自治体で、再生可能エネルギーの普及、省エネルギーの推進、エネルギーの地産地消を含む分散型エネルギーへの転換など、様々な取り組みが進んでいます。こうした地方自治体の取り組みを強力に後押しするような政策が重要だと考えます。

【意見5】 エネルギー需給の「あるべき姿」について国民的議論を計画的に進めてください。

<理由>

 エネルギー需給の「あるべき姿」を考えるにあたっては、安全性を筆頭に様々な視点(S+3E)が必要であることは言うまでもありません。しかし、各視点の重みの強弱によっては「あるべき姿」と施策は変化することが可能です。今回提案されているエネルギーミックス案が、原発事故後の国民の価値観を正しく反映できているかどうかが問題になります。国民の価値観とかけ離れた計画は策定しても結局実行することができず、本来のあるべき姿を実現していくために使われるべき時間をただ浪費するだけに終わる可能性が高いと思います。今回の原子力発電の目標設定などは典型ではないでしょうか。

 国民の意思を丁寧に正確に把握するには、ある程度の時間をかける必要があります。次の見直しまで3年しかありません。3年間を有効に使って、国民の意思が正しく計画に反映するよう、計画的に進めてください。