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「商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和について」
の意見書を提出しました

2015年3月4日

(内閣総理大臣・経済産業大臣・農林水産大臣
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)
消費者庁長官) 宛に提出

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事 (共同代表) 河野 康子
代表理事 (共同代表) 丸山 善弘
代表理事 (共同代表) 山根 香織

商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和に抗議します。

 経済産業省及び農林水産省は、本年1月23日、商品先物取引法施行規則の一部を改正し、商品先物取引について不招請勧誘の禁止規制を緩和しました。

 全国消費者団体連絡会は、以下の理由から今後の消費者被害の発生を懸念し、この決定に対して強く抗議するものです。

 全国消団連は、昨年4月に実施された「商品先物取引法施行規則」の改正案に対する意見公募に対し、消費者被害を再び増加させることは必至と考え、強い反対を表明しました(4月18日付意見)。この時、多くの消費者団体をはじめ、消費者委員会や日本弁護士連合会等からも数多くの反対意見が表明されたにもかかわらず、今回、商品取引所の出来高減少と商品先物取引に係る苦情・相談件数の減少を理由として、商品先物取引法における不招請勧誘禁止規制の緩和が強行されました。

 そもそも、商品先物取引は投機性の最も高い取引の一つであり、商品相場に関する深い知識と投機判断力、及び相当の余裕資金を有する者であって、自らも積極的に取引に参加する意欲のある投資家に限るべきものです。そうした本来あるべき参加者によって形成される規模こそがその市場の適正規模と考えるべきで、消費者被害を再び増加させるような政策によって拡大させるべきではありません。

 今回、不招請勧誘規制の例外として、65歳未満であることや、一定の年収や資産を有すること、顧客の理解度を確認することなどが盛り込まれましたが、これら要件の確認は電話または訪問勧誘行為の中で行われることから、結果として、電話や訪問による勧誘を無制限に許容するものとなります。また、ハイリスク取引の経験者に対する勧誘が無条件で緩和されており、過去に損失を被った消費者がさらに財産を失う可能性があります。過去の深刻な被害の反省から法律が禁止した不招請勧誘を骨抜きにするものと言わざるを得ません。

 金融庁が昨年8月に公布、9月1日より施行されている「金融商品取引法の下での商品デリバティブ取引に関し、一定の取引関係にない個人顧客に対する訪問や電話による勧誘意志の確認を禁止した」金融商品取引法の規制と全く整合性が取れないと考えます。

 セールストークで巧みにその気にさせ、大切な個人の資産を奪われるような状況を許しては、健全な消費活動が阻害されてしまいます。仮に、本省令を強行するのであれば、消費者に商品先物取引のリスクを周知徹底することや監督官庁による事業者の監督を強化するなど、想定される消費者被害の発生を防止するために最大限の取り組みを行うことを要求します。さらに、勧誘に関する苦情相談が増加に転じる兆しが少しでも見えた時には、直ちに省令を見直すことを強く求めます。

以上