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「新たな食料・農業・農村基本計画の検討
における意見・要望」について意見書を出しました。

2015年1月19日

農林水産省 大臣官房地方課 地方提案推進室

「新たな食料・農業・農村基本計画の検討における国民の意見・要望」

【No.1】 食の安全、消費者の信頼確保

新たな有害物質への対応やフードディフェンスの強化を進めてください。

  • 最新の科学技術により明らかになった新たな有害物質への対応を進めてください。その対応について食品業者へ指針を示すとともに、低減対策等、消費者自らができることを示してください。最新の科学的知見に基づいた情報提供や学習といったリスクコミュニケーションをさらに進めると共に、誤った情報や不安をあおる情報に対しては積極的に正確な情報を提供してください。
  • 事業者によるHACCP等の衛生管理の取り組みは、安全な食品を提供するという従業員の意識向上にもつながることから、推進していくことが大切です。一方で、意図的な犯罪に対しては、十分に防止することは困難な面があります。フードディフェンスの強化については、個々の事業者の努力に頼るだけでなく、日本の食品業界全体の重要課題として、行政・生産者・食品業界が連携し、一体的な取り組みを進めてください。

【No.2】 食の安全・消費者の信頼確保

食品表示の適正化を他省庁と連携して進めてください。

 平成27年春には新たな食品表示法が施行されます。新たな表示制度が消費者の選択に活かされるよう、関係事業者に周知・遵守させるとともに、消費者庁、厚生労働省と共に消費者にも制度の普及・啓発を行ってください。

 また、外食メニューの不当表示問題を契機として景品表示法の強化が図られました。消費者庁職員として併任された食品表示Gメン等によるホテルやレストラン等への巡回とともに、消費者に誤認させる不当な表示に対して監視指導を強化してください。

【No.3】 食の安全・消費者の信頼確保

福島第一原子力発電の事故による復旧・復興に向けた取り組みを続けてください。

 福島第一原子力発電所の事故の後、国産食品への放射性物質に関する対策が進められたことにより、基準値を超える食品は減少傾向にあります。関係者の努力で福島県産のお米からの放射性物質もほぼ検出されない状況になってきました。しかし、未だ除染や管理が行き届いていない農地も多く残されています。放射性物質に関する不安を払拭するために、帰農に向けた支援を進めつつ、引き続きモニタリング検査の公表や、国民・事業者・行政によるリスクコミュニケーションを継続してください。

【No.4】 食育・食文化

消費者の多様なニーズ・特性に対応した食育と国産農産物の消費拡大を進めてください。

 日本人の生活スタイルの多様化とともに食のスタイルも多様化しています。バランスの取れた食事・十分な睡眠・適度な運動が大切であることを押さえた上で、食における美味しさ・楽しさ・面白さを伝え、食への関心を高める施策が求められます。日本の食文化が注目されている今こそ、これまで育んできた季節ごとの食にまつわる文化の継承も含め、国産農産物の消費拡大の取り組みを推進してください。生産と消費が離れる中、次世代を担う子供たちが農林水産業を体験する機会を、文部科学省とともに授業のカリキュラムに入れるなど、積極的に推進してください。

【No.5】 食育・食文化

厚生労働省や文部科学省と連携を図りながら、生活習慣病の予防を強化してください。

 日本人の食事摂取基準(2015年版)が策定されました。策定目標として、生活習慣病の発症予防とともに、重症化予防も加えられています。「日本型食生活」の欠点は塩分の摂り過ぎとも言われています。日本人が一日に摂取している食塩量は約13gとも言われ、目標量を大きく上回り、高血圧のリスクは高まっています。食品事業者への低減策を示すと共に、イギリスの例を参考にしながら国策として減塩の取り組みを推進してください。

 生活習慣病予防には子供の頃からの習慣が大切です。各家庭や食品関連事業者の取り組みを促すとともに、文部科学省と連携し、学校給食のみならず、授業を通して食の大切さを学ぶ機会を作ってください。

【No.6】 食品産業政策

消費者と生産者のコミュニケーションを推進してください。

 消費者のニーズと生産者の意欲が相互に伝わり合うよう、お互いの「顔の見える」関係を強めていく必要があります。現状でも個別には地産地消や産地交流の取り組みなどが行われていますが、生産者によるマーケット・イン発想の取り組みを一層レベルアップし、くらしの豊かさを求める消費者の選択が即ち国内農業者の応援につながるようにしていかなければなりません。ITなどを活用し、そうした状況を実現するようなサポートを進めてください。

【No.7】 その他

財政投入は効率的に透明性をもって行ってください。

 各種の補助金や農業基盤整備への支援など、国や地方自治体による支援が必要ですが、現状は様々な名称の施策があり複雑で分かり難いものになっています。財政投入にあたっては支援政策の全体像を明らかにした上で、個別施策の目的を明確にして効率的に行われることを求めます。また、財政投入の後には、定期的に使途内容を点検し、財政措置の費用対効果の評価を厳密に行い、その結果を国民に公表することで透明性が確保されることを求めます。