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「食品の新たな機能性表示制度に係る食品表示基準(案)について」
意見書を提出しました


食品の新たな機能性表示制度に係る食品表示基準(案)についての意見

【氏名】 (一社)全国消費者団体連絡会

【住所】 〒102−0085 東京都千代田区六番町15プラザエフ6F

【電話番号】 03-5216-6024

【メールアドレス】 webmaster@shodanren.gr.jp

【意見】

条番号 項目 ご意見・理由
総論    昨年7月、全国消費者団体連絡会は「科学的根拠の不十分な『一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備』に反対します」とする意見書を提出しました。機能性を表示して販売するのであれば科学的根拠が十分なものでなくてはなりません。今回の食品表示基準案ではこの点が制度として担保されておらず、納得できるものではありません。
総論    「特定保健用食品」「栄養機能食品」に加え、新たに事業者の責任による「機能性表示食品」が認められることになりますが、この表示制度は本来消費者側が導入を求めたものではありません。三つの制度に加えて大きな社会問題になっている「いわゆる健康食品」もそのまま販売される状況は変わらず、消費者にとって望ましいとは言えません。
 機能性表示食品を認めるにあたっては、施行後の見直し時期を規定し、消費者利益に資する表示制度であるかを事後的に検証しつつ、他の規定を併用することで、健康被害や経済的被害を生じさせないという視点をもって健康食品に関わる制度全体の見直しを進めることを希望します。
定義
第二条
10
機能性表示食品  消費者庁の案では、名称は『機能性表示食品』とされていますが、案と一緒に公表された「関係資料」には「機能性補助食品」「機能性健康食品」「健康補助食品」「機能性健康補助食品」などの例が挙げられ、意見が求められています。
 名称に「健康」という言葉が入ると、他の2つの保健機能食品よりもとりわけ健康に良いと認識される可能性があります。誤認を誘発しないよう、名称検討は慎重に行ってください。
定義
第二条
10
事故情報の報告  事故情報の報告を義務付けるべきです。
 機能性表示食品の定義においては「健康被害の情報収集体制」の届け出が求められていますが、事業者の情報収集・分析等の体制が十分であるかを定期的に確認する必要があります。また収集された事故の情報に関しては速やかな報告を義務付けるべきです。第二条の条文だけでは、表示の届出だけで義務付けになっていません。改正案の定義の下から4行目に「であって、」という後に「健康被害の情報収集体制及び重大事故の報告が義務付けられたものであって、」と並列で挿入し、その後「当該食品に」と続けて、下から2行目の「健康被害の情報収集体制」の部分は削除をすることを求めます。
 消費生活用製品安全法と薬事法では重大事故の報告義務が定められていますが、食品については、食品衛生法に基づくガイドラインにおいて保健所等への報告が求められているのみです。届け出による簡易な手続きで機能性の表示を許す制度であることから、安全性を担保するためには、より厳しい義務付けが設けられるべきです。
定義
第二条
10
事故情報の報告  「健康被害の情報収集体制」について具体的な内容を盛り込むべきです。
 トクホでは「安全性等に関する情報収集」が定められていて、「特定保健用食品の許可等を受けた者においては、当該食品の安全性、有効性等を確保する観点から、次の事項について留意すること」として、「ア 許可等後の科学的知見の集積等により、その保健の用途に係る有効性や当該食品の安全性等に問題が生じていないか、その確認に努めること」「イ 特定保健用食品の販売に伴い申請者に寄せられた消費者からの健康影響に関する苦情等について、処理経過を含め、記録し、保存するよう努めること」とあるように、具体的な内容をガイドラインで示すことを求めます。
定義
第二条
10
事故情報の報告  情報収集窓口(ホットライン)を設けるべきです。
 新制度も含めて保健機能食品や「いわゆる健康食品」など、いずれの場合も安全性等に関する問題が生じた場合に、消費者は地方自治体や国民生活センターなど複数の相談窓口が存在するため、どこに連絡をしていいのかがわかりません。情報収集の窓口は複線化していても良いのですが、専用のホットラインは存在しないのは問題です。健康食品関連の相談が増える中で、消費者庁または国民生活センターでホットラインの創設を求めます。
横断的義務表示
第三条2
科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該食品が有する機能性  「安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報」として求められる内容については検討会報告書の中で整理されていますが、食品表示基準には具体的に示されておらず、制度としては「今後、ガイドライン等で具体的な内容を示す予定」とされるにとどまっています。このことを制度としてどのように担保していくのか、安全性・機能性の根拠となる要件を早急に具体化してパブリックコメントに付すことを求めます。
横断的義務表示
第三条2
機能性及び安全性について、国による評価を受けたものでない旨  今回の表示制度の重要な懸念は、届け出た機能性成分の安全性、効果について国や公平な第三者機関による科学的な評価を受けていないことです。表示案として示された「本品は一定の科学的根拠に基づき、事業者の責任において特定の保健の目的が期待できる旨の表示を行うものとして、消費者庁長官による個別審査をうけたものではありません」との表示は、簡潔に「本品は特定保健用食品とは異なり消費者庁長官による審査を受けたものではありません」としてはどうでしょうか。また容器包装に書く場所は指定されていますが、文字の大きさなどを規定することで、消費者が誤認しないようにすべきです。もっとも重要な、国による評価を受けていないことが、他に規定されている多くの表示の中に埋没してしまわないようにしてください。
全般について ガイドラインの位置づけ  新制度に求める安全性、品質、機能性の要件について、検討会の報告書で示した内容を全て盛り込んだガイドラインの作成を求めます。さらにガイドラインに沿った内容から逸脱する場合は、食品表示法に違反することを明記してください。
全般について 消費者教育について  新制度は、保健機能食品として「栄養機能食品」「特定保健用食品」に次ぐ三つ目の表示制度になります。これにより「体に良い」と期待される食品がより多く市場に出回り、実際よりも効果がないだけでなく有害であったり、高額であったりすることによる混乱や健康被害・経済的被害を招くことが危惧されます。現在、広告やマスメディアから発信される情報は過剰宣伝であり、食品に実際以上の効果を期待している消費者が多くいると思われます。消費者庁は「機能性表示食品」や「健康食品」の情報が消費者に正しく伝わり、誤認して使用されることがないよう、関係機関等と連携し、消費者啓発に努める必要があると考えます。
 消費者が公開情報を判断できる力を身につけるために、消費者庁や国の関連機関が様々な情報発信や啓発活動を行うこと、わかりやすい消費者教育のツールやコミュニケーションの場を広げる取り組みを求めます。
全般について 不当表示の抑止力強化  検討会報告では、科学的根拠情報を示す情報を超えた広告・宣伝については、景品表示法の不当表示に該当するおそれについての付言がされています。景品表示法においては、課徴金制度を導入して、不当表示への抑止力を強化する必要があります。また、食品表示法に規定されている指示や命令により、違反事業者に対する取締りをしっかり実行できるようにしてください。