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不動産取引の重要事項説明等における
IT活用について意見を提出しました

 宅地建物取引業法がその対象とする取引は、その価額が高額になることが多く、権利関係も複雑になることから、トラブルの防止が大きな政策課題です。これまでも社会的要請に応じて宅地建物取引業法の改正が行われ、主として消費者保護の充実の観点から、重要事項説明と契約時の書面交付も含めた各種の規制を課し、不動産取引にあたって遵守すべきルールを定めてきました。

 しかし、IT技術の進展に伴い、既に多くの消費者がインターネットサイトを通じての情報収集・物件選びを行うようになるなど宅地建物取引の慣行が変わりつつあります。こうした現状をふまえて、現行制度下において対面を前提としている重要事項説明や、電子的手法による交付を認めていない各種書面交付についても、改めてITの活用について検討する必要があるとして、国土交通省に「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」が設置され、「中間とりまとめ」を公表、パブリックコメントの募集が行われました。

 全国消団連はこの件に関して8月21日の第2回理事会で検討した結果、以下のような意見を提出しました。

全国消団連提出意見

【意見】

 宅地建物取引におけるトラブルの発生状況やトラブル防止を背景に取引規制を強化してきた歴史をふまえると、重要事項説明等へのIT活用については原則として反対である。

【理由】

 参考資料3では各地方整備局等及び47都道府県の宅地建物取引業法主管課における来庁相談件数が示されているが、国民生活センターのデータによると賃貸不動産の原状回復トラブルは13,903件、また、同センターのネット通販トラブルは2013年203,011件にもなっており、対前年約27,800件の増加となっている。

 中間とりまとめでは、IT活用において期待されるメリットとして「健全な市場の拡大がもたらされる可能性があるのではないか(p2)」と取引の効率化と消費者保護の両立について希望的に述べられる一方で、「ITを活用した重要事項説明の具体的やり方についての市場慣行は現状において存在せず(p4)」という現状についても記されている。トラブルの更なる増加が懸念されるため、重要事項説明等へのIT活用については原則として反対である。