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「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」
に対して意見を提出しました


内閣官房IT総合戦略室パーソナルデータ関連制度担当室 御中

「パーソナルデータの利活用に関する制度改正大綱」への意見

[氏名] 一般社団法人 全国消費者団体連絡会

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[電話番号] 03-5216-6024

[FAX 番号] 03-5216-6036

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制度改正大綱 意見
P.5 第2 基本的な考え方
 今回の制度改正は、個人の権利利益の侵害を未然に防止し個人情報及びプライバシーの保護を図りつつ、新産業・新サービスの創出と国民の安全・安心の向上等のための環境整備を行うとしている。
 しかし、大綱全体を通して、消費者の権利利益の保護よりもデータの利活用に重点が置かれている感が否めません。大綱で述べているように、消費者の権利利益の保護を優先すべきです。
P.10 第3 II 1 個人が特定される可能性を低減したデータの取扱い
 個人情報の取扱いは、現行法第15条「利用目的の特定」、第16条「利用目的の制限」で規定されていることで消費者と事業者間で一定の信頼関係が成立しています。大綱では「個人の特定性を低減したデータ」に加工したものは一定の条件の下で、第三者提供や目的外利用を本人の同意を得ずに行うことを可能とするなど、情報を円滑に利活用するために必要な措置を講ずるとしていますが、加工が十分でない場合には個人が特定されのではないか懸念されます。加工方法については民間団体が自主規制ルールを策定し、第三者機関が認定等を行うことになっていますが認定の要件は消費者が信頼するに足るガイドラインを設定して下さい。
P.10 第3 III 1(1)保護対象の明確化及びその扱い
 個人情報の保護対象の見直しについては、事業者が技術の進歩や新たなパーソナルデータの利活用のニーズに即して機動的に行うことができるよう措置するとあります。グレーゾーンを解消することは必要と考えますが、保護の対象となる「個人情報」等の定義への該当性については、第三者機関が解釈の明確化を図るとしています。改正法成立後、早急に着手して下さい。
P.11 第3 III 1(2)機微情報
 大綱では社会的差別の原因となるおそれがある情報を機微情報として定め、取扱いについては原則禁止するとしています。例外規定の対象を人の生命・身体又は財産の保護のために必要がある場合等と限定し、取扱いに関する規律を設定して下さい。
P.12 第3 III 1(3)Bオプトアウト規定について
 利用目的の変更時の手続きとして、本人が十分認知できる手続きを工夫しつつ、新たな利用目的による利活用を望まない場合に本人が申し出ることができる仕組み、オプトアウト方式を設けて本人に知らせる等が考えられる、としていますが、本人同意を必要とする原則を重視すべきであり、オプトアウト方式による利用目的の変更を安易に認めることは適当ではないと考えます。
P.13 第3 IV 1(1)第三者機関の設置等
パーソナルデータの保護と利活用をバランスよく推進するため、独立した第三者機関を設置することは、消費者としても期待するところです。この機関は現在の「特定個人情報保護委員会」を改組するとしていますが、番号法に規定されている業務に加え新たな業務を十分に遂行できる人員を確保して下さい。また、委員の選定にあたっては、情報通信技術に精通した技術者、消費者問題に精通している有識者に加え「消費者」も候補に加えて下さい。
第三者機関を機能させるには、専門知識の研修や立入検査を機動的に行うための人員の手配等を可能にする予算を確保して下さい。
個人情報取扱い事業者の監視・監督につながる苦情等の情報収集の手立てを確立して下さい。
消費者委員会との関係に触れていませんが、パーソナルデータの保護という視点からすれば、消費者庁・消費者委員会と常時、意見交換することを明記して下さい。
P.16第3 VI 1(2)取扱う情報の規模及び内容並びに取扱いの態様による配慮
 5000人分以下の個人情報取扱事業者を適用除外とする規定を廃止するといういう制度改正は、規模ではなく、すべての個人情報取扱事業者が法を順守するべきと考えるので賛成します。ただし、個人の権利利益を侵害するおそれが少ないと認められる一定の要件を満たす事業者については配慮をすることに関しては、第三者機関が業務を監視、監督する対象を規模で区別するべきではないと考えます。このような配慮は脱法の可能性や法の実効性を低下させるおそれがあるのではないでしょうか。
P.17 第3 VII 4 いわゆる名簿屋
 個人情報を販売することを業としている事業者(いわゆる名簿屋)等への措置を継続して検討する課題としていますが、7月9日にベネッセコーポレーションから大量の顧客情報が流出したという事件が発生しました。警察による捜査が進んでいますが、類似の事件が後を絶たない現状を改善するために必要な措置を早急に検討し今回の法改正に盛り込むべきと考えます。
 情報の保存期間、消去権など検討会で残された課題については今後の検討スケジュールを明記して下さい。
 また、昨今の高齢者消費者被害防止の見守りの仕組みづくりや災害時の避難を促進するうえで、障害になっている個人情報保護の課題も検討すべきであると考えます。