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ガスシステム改革に向けた意見を提出しました

経済産業省資源エネルギー庁に提出

ガスシステム改革に関する意見

 電力システム改革に続き、都市ガスについてのシステム改革が検討されています。適切な消費者保護の仕組みや市場環境の整備の下に改革が進められ、公正で自由な競争を実現し、都市ガスが低廉かつ安定的に供給されることを望む立場から、以下の点について制度整備を求めます。

1.消費者の選択を容易にする仕組みを整備してください。

 消費者が個々のくらしに合った事業者を適切に選択できるようにするためには、商品・サービスに関する情報が比較可能な形で表示されることが必要です。料金体系やその内訳について透明化が図られるよう、情報公開と表示内容に関する基準の整備を進めてください。また、契約時の説明方法等について、一定の義務づけを含むルール化を求めます。さらに、料金プラン等の比較検討が誰でも容易に出来るよう、ホームページなどの活用も促していくことが必要です。

 なお、LPガスについては既に自由化されていますが、料金に関する苦情が多く、その不透明性の問題が指摘されています。家庭用ガス全体について、料金表の公開など情報公開の整備等を進めてください。

2.競争的な市場が形成されるよう、経過措置を設けてください。

 自由化後の一定期間、小売料金値上げ認可の規制を継続する経過措置を設けるべきです。経過措置を設けることで家庭用市場で競争が整うのを見極めることは必要と考えます。また、競争状態を確認するために、消費者も参加する第三者機関において適切に監視できる仕組みを構築してください 。

3.競争を担保するために、監視・指導など行政権限を残してください。

 仮に新規参入が進まず「規制なき独占」に陥った場合、異常な料金値上げや供給拒否といった事態が放置されることのないよう、ガスのようなライフラインに関わる料金については行政が事後的に点検し、指導・命令によって是正できる権限を残す必要があります。また、こうした行政権限に、所管官庁である経済産業省だけでなく、消費者庁や公正取引委員会なども関与できるようにし、広範なチェック体制が進むようにしてください。

4.最終保障サービスを明確にしてください。

 都市ガスは電気に比べて相対的に必需性が低いことから最終保障サービスは不要との意見もありますが、他エネルギーへの変更は器具の取り換えなど多大な労力とコストを要します。また、消費者が新たな事業者と契約を結ぶまでの間、一時的にガスの供給が受けられなくなることも懸念されます。このようなことのないよう、考えられる様々な状況において、誰が責任をもって供給するのかを明確にしてください。

5.需要家保安に関する役割と責任を明確化してください。

 消費者の安全を第一とし、ガス事業者が一括して保安水準の維持・向上を図ってください。競争の隙間で保安がなおざりにされないよう、ガス導管事業者とガス小売事業者のそれぞれの役割と責任を明確に定める必要があります。

 また、関係する事業者全てに必要な教育を義務づけることや、消費者自身が保安への認識を深めることができるように継続的な教育・啓発の体制を構築してください。

6.消費者が安心して相談できる総合窓口を設置してください。

 自由化に伴い、消費者がガス小売事業者を切り替えたり、料金内容を確認する際に、消費者と事業者間でトラブルが発生する可能性があります。こうした問題が発生した場合に安心して相談することのできる中立・公正な機関の設置が必要です。

 既にLPガス事業では消費者相談窓口(お客様相談窓口)が全国および各都道府県に設置されていますが、十分に機能しているとは言えません。今後、電気、ガスにおいてシステム改革が進められていく中でそれぞれに相互参入が想定されることをふまえると、この3つの家庭用エネルギーに関わって、特定の事業者に偏ることなく消費者の立場に立つ総合的な消費者相談窓口の設置を検討していくべきではないかと考えます。

7.制度設計に向けて幅広く意見を聞く必要があります。

 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 ガスシステム改革小委員会においては、ガス事業者を中心とした事業者や業界団体からのヒヤリングを元に論点整理が行われました。並行して期限を定めないパブリックコメントの募集が行われていますが、消費者団体を含む幅広い関係団体から直接ヒアリングする機会を設けるべきと考えます。

 また、パブリックコメントについては、現在委員会開催ごとに参考資料として提出者の所属等も明らかにされず、委員会での審議の参考にされることもなく配布されるに止まっています。改革全般についての貴重な意見募集であり、その場限りとせず、担当庁において、一定の期間ごとに意見に対する見解をまとめ公表することを求めます。