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「流通・取引慣行ガイドラインの見直し」について
意見書を提出しました

2014年4月4日

内閣総理大臣、規制改革担当大臣、消費者担当大臣、
消費者庁長官、消費者委員会委員長 宛に提出

再販売価格拘束の規制を緩和することに反対します

 「流通・取引慣行ガイドラインの見直し」について、規制改革会議第17回創業・IT等ワーキンググループでヒアリングが実施されました。ヒアリングでは、電子情報技術産業会、日本電機工業会、日本冷凍空調工業会の連名で、再販売価格拘束について「欧米の動向を踏まえ、EU同様、新製品導入後の一定期間等について、正当化事由とする」との改正要望が出されています。

 全国消団連は下記の理由から、再販売価格拘束の規制を緩和することに反対いたします。

1.再販売価格拘束による価格維持は市場の機能を弱め、消費者への一方的なしわ寄せです。

 今回の規制緩和要望は、価格維持によってメーカーの利益を確保することで、調査力・開発力を強めたいとの趣旨と考えられます。

 しかしながら、市場に新製品を投入後短期間に大きな価格下落が起きるのは、その製品が他と比べて独自の魅力や競争力に乏しいと市場から評価された結果であり、再販売価格拘束によって販売価格を維持することは、市場の機能を弱め、消費者へのしわ寄せによって企業の利益を確保することを意味します。このような措置は、本末転倒と言わざるを得ず、むしろ技術革新によるコスト削減努力を弱め、結果として企業体質を一層弱める結果になりかねません。

 健全な市場を歪めている廉売行為や流通業者からメーカーに対する不当な要求があると考えるのであれば、再販売価格拘束ではなく、不当廉売や優越的地位の濫用など不公正取引の問題として公正取引委員会に対処を求めるべきです。

2. 欧米諸国との比較は、運用実態を含めた具体的な事例に基づいて議論すべきです。

 EUやアメリカにおいて、新製品導入後の一定期間に再販売価格拘束を認めているという運用実態があるのかどうか、具体的な事例に基づき議論すべきです。

 ヒアリングに対応した公正取引委員会の資料では、欧州委員会で再販売価格維持行為の緩和を行った事例は無いとされています。また、アメリカについても、再販売価格維持行為に「合理の原則」が適用されるようになったリージン判決以降であっても、実際に再販売価格拘束が認められた事例があるのでしょうか。日本における再販売価格拘束の対する規制が欧米諸国に比して厳格なのかどうか、具体的な事例に基づいて議論すべきです。

3.幅広く意見を求め、慎重に検討されるべきです。

 「流通・取引慣行ガイドライン」は、特定の業界だけでなく横断的に適用されているものであり、消費者への影響も広範に及びます。現状、経済同友会と家電業界からのヒアリングが実施されていますが、その規制の在り方を検討するのであれば、家電関連業界に限らず多くの業界と、消費者団体からもヒアリングを実施した上で、慎重に検討されるべきです。

以上

<参考>

 主婦連合会 ⇒ 意見書