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メニュー表示等における偽装問題について
緊急提言を発表しました

2013年11月15日

提出先(日本ホテル協会、日本旅館協会、全日本シティホテル連盟、国際観光日本レストラン協会、日本酒造組合中央会、百貨店協会、内閣総理大臣、官房長官、消費者担当大臣、消費者庁長官、消費者委員会委員長)

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事(共同代表)河野 康子
代表理事(共同代表)丸山 善弘
代表理事(共同代表)山根 香織

メニュー表示等における偽装問題についての緊急提言

 阪急阪神ホテルズをはじめとした不適正なメニュー表示の問題は、さらに他のホテル、百貨店等に広がりを見せ、消費者の信頼を裏切る深刻な事態となっています。長年にわたり消費者を欺き続けた上で「偽装ではなく誤表示」とした弁明は、更に信頼を損ねることとなりました。

 消費者の選ぶ権利の観点から、表示する限りは偽りであってはならないことは言うまでもありません。当面の取り組みを促進するため、事業者と行政に向けて以下の点を提言します。

【事業者・事業者団体に求めること】

 現状、外食のメニュー表示は事業者の判断に任されている状況にあります。事業者はその自覚を持って、表示をするなら間違ったことは書かないことを徹底し消費者の誤認を招かないようにしなければなりません。事業者は、法規制の強化を待たず、先ずはできることから早急に、メニュー表示の適正化に責任を持って取り組む必要があります。

1.公正競争規約などにより、業界としてのルール、考え方を示してください

 業界によっては、景品表示法第11条に基づき消費者庁や公正取引委員会の認定を受けて「公正競争規約」という業界の自主ルールを設け、優良誤認を禁止する具体的な事項を規定してきました。現在、公正競争規約の中に食品関係は37規約ありますが、中食や外食の分野には設けられていません。消費者からの信頼を回復していく一つの形として、業界自らの取り組みを期待します。このことは業界としての表示に関する判断基準を広く社会に対して示していくことにもなります。

2.コンプライアンスの体制整備を進めてください

 信頼感で成り立っている筈の有名ホテル・百貨店で、長期にわたりこうした表示が放置されてきたことに驚きを禁じ得ません。消費者の信頼を取り戻すためには、表示における事業者のモラルの確立が必要です。2007年の船場吉兆の事件等を契機に大手の外食チェーンではコンプライアンス体制の構築に向けて取り組みが進められました。そこでの先進事例を参考にしながら有効なコンプライアンス体制の構築を進めてください。

【国・関係各省庁に求めること】

 現状、メニュー表示等に適用される法律は景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)で、その第4条には「不当な表示の禁止」を定めています。(4条1で「品質・規格について実際のものよりも著しく優良である示す表示(優良誤認)」を禁止、4条3で誤認するおそれのあるまぎらわしい表示を指定して禁止)。優良誤認は「一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す」かどうかで判断されますが、JAS法のように明確な定義があるわけではなく、適用基準があいまいであるという問題があります。

 以下を当面の対策として進められるよう要望します。

1.景品表示法の運用を強化してください

 この問題への当面の対応として、景品表示法の運用を強化することが挙げられます。既に消費者庁の阿南長官も「課徴金制度の導入も検討していきたい」(11/6記者会見)等と述べ、運用を厳しくするだけではなく、罰則を強化して取り締まりを強める考え方を示されています。早急に進められるよう要望します。

2.ガイドライン整備では、事業者の予見可能性を高め周知徹底するようにしてください

 また、11月11日に開催された食品表示等問題関係府省庁等会議の中で、消費者庁は当面の対応案の1つに、事業者の表示適正化の取り組み結果を踏まえたガイドラインの整備をあげています。ガイドライン作成にあたっては、違反の判断基準を明確にし、過去の違反事例だけでなくこれまで公表されてこなかった景品表示法の指導事例も含めてできるだけ多く記載し、事業者の予見可能性を高め周知徹底するようにしてください。

以上

○主婦連合会 「意見書」