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特定秘密保護法案に関する意見書を発表しました

2013年11月15日

提出先(内閣総理大臣、官房長官、秘密保護法案担当大臣、自由民主党幹事長、民主党代表、日本維新の会代表、公明党代表、みんなの党代表、生活の党代表、日本共産党幹部会委員長、社会民主党党首)

一般社団法人 全国消費者団体連絡会
代表理事(共同代表)河野 康子
代表理事(共同代表)丸山 善弘
代表理事(共同代表)山根 香織

「特定秘密保護法案」に反対します

 政府は、今臨時国会において「特定秘密保護法案」の成立を目指すとしています。

 私たち全国消費者団体連絡会は、1956年の設立以来、「消費者の権利とくらしを守り向上をめざすため、全国の消費者組織の協力と連携をはかり、消費者運動を促進すること」を目的に消費者運動に取り組んできました。この度の「特定秘密保護法案」は、国民の生活に大きな影響を与える法律であるにもかかわらず、法案作成過程を非公開とし、パブリックコメントの募集期間も2週間と短く、短期間に寄せられた9万件の国民の声を聴く姿勢もないまま法案の発表・国会提出を行いました。「民主主義の根幹は国民の知る権利の保障である」とその確立を求めてきた消費者団体として、知る権利を侵害するおそれが強く指摘されている本法案に強い懸念を抱き、反対を表明します。

1.民主主義の根幹は「国民の知る権利」の保障です。

 消費者が商品・サービスを選択する際に正しい情報を必要とするように、主権者としても生活のあり方を判断・選択するにあたっても必要な情報を入手できることが大前提となります。知る権利は消費者・主権者にとって揺らぐことがあってはならない最も重要な権利の一つです。

 各国における秘密保護法は、その一方で行政情報の徹底的な公開制度の整備を前提としています。民主主義の根幹は「国民の知る権利」の保障であり、行政情報の公開は民主主義の大前提です。しかしながら日本は行政情報の公開制度の整備が他国より大幅に立ち遅れており、国民の知る権利が確立された国とは言えません。そのような中で、この法案の制定を進めることは、世界的な行政情報の公開の流れとは逆行するものと考えます。

2.国民の知る権利を大きく制約するものです。

 特定秘密は主権者たる国民が知らないまま「存在しない」ものとして「闇から闇へ」と処理されてしまう懸念があります。特定秘密として指定された機密が、将来的に国民に公開される仕組みが担保されていないことは問題です。日本で必要なのは、国民を重要な情報から遠ざけ疎外する法律をつくることではなく、情報公開を進めることです。

3.情報を得ようとする国民の活動自体が、罰則の対象となる危険性があります。

 くらしを守り向上をめざす活動を推進するためには、その前提として十分な情報収集が必要です。この法案には、私たち消費者団体だけでなく、他の民間団体や研究者、フリーライターなどが情報を得ようとする様々な活動自体が、罰則の対象になる危険性を孕んでおり、国民の知る権利が大きく制約されてしまいます。

4.特定秘密の定義が不明瞭で、秘密指定の妥当性検証が不可能です。

 特定秘密の定義については、広範な概念を持つ事項も多く、政府の解釈次第で決められてしまうため、情報公開をしない場合の妥当性を客観的にチェックすることが出来ません。本来は早く公開されるべき情報や政府にとって都合の悪い情報が表に出ない場合があり、秘密の濫造につながるとの懸念を持ちます。

5.行政を監視する国会や国会議員の活動が大きく縛られます。

 国会の国政調査権の形骸化の恐れがあります。また秘密会のメンバー議員は党内でも議論ができません。まして国民に対して注意喚起もできません。

6.市民が意見を表明・表現することを押さえつけるものです。

 テロリズムの範疇を、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し」として、市民が意見を表明・表現することまで入れています。これは市民が政府に対して批判的な意見を表明・表現することを押さえつけるものです。

7.特定秘密の取扱者の制限における適性評価はプライバシーの侵害です。

 適性評価の評価項目として、挙げられている項目はプライバシーの侵害につながるものです。

8.厳罰化の影響についての懸念があります。

 行政情報の情報公開が立ち遅れている日本の公務員等の情報公開に対する姿勢を更に後退させる懸念があります。報道機関の正当な取材行為や民間で真実を知ろうと活動している人々が漏洩の教唆や共謀とされ、罪に問われる心配があります。また善意の内部告発が封じられ、自浄作用も奪われてしまいます。

以上

○全国地域婦人団体連絡協議会 「意見書」

○全大阪消費者団体連絡会 「意見書」

○特定非営利活動法人 日本消費者連盟 「声明」 | 「呼びかけ」

○新日本婦人の会 「請願署名」