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「いわゆる健康食品」の機能性表示について意見書を提出しました。

科学的根拠の不十分な「一般健康食品の
機能性表示を可能とする仕組みの整備」に反対します

 本年6月、規制改革会議から「一般健康食品の機能性表示を可能とする仕組みの整備」を求める答申が出され、続いて、政府の日本再興戦略にも「食の有する健康増進機能の活用」として「いわゆる健康食品等の加工食品及び農林水産物に関し、企業の責任において科学的根拠をもとに機能性を表示できる新たな方策について、今年度中に検討を開始し、来年度中に結論を得た上で実施する」ことが書き込まれました。

 機能性を表示して販売するのであれば、その科学的根拠が十分なものでなくてはならず、根拠の議論を置き去りにして表示の検討だけを進めていくとすれば、それは拙速であると言わざるを得ません。科学的根拠をどのような方法によって確認するのかといった検討に立ち返るべきと考えます。
 また、規制改革会議の答申は「国ではなく企業が科学的根拠を評価した上で、企業の責任において表示する」ことを認めるように求めています。しかし、科学的評価には個社の研究データだけでは不十分であり、幅広く研究データを集めたメタアナリシスによる評価が不可欠と考えます。

 「いわゆる健康食品」の表示のあり方については、これまでにも消費者庁の「健康食品の表示に関する検討会」で2010年8月に論点整理が行われ、その後、検討に当たっての基礎調査として、2011年度に消費者庁で「食品の機能性評価モデル事業」が実施されました。モデル事業では、機能性があるとされている成分の中から11成分について、文献等を用いて食品成分の機能性評価を行う場合の主な課題が抽出されましたが、利益相反の問題や出版バイアスの問題などが指摘され、「健康強調表示制度を検討する際に考慮すべき課題は多い」と総括されています。

 規制改革会議は現行制度の「使い勝手の悪さ」を問題視し、より簡易に機能性表示を可能とする仕組みの整備を求めています。しかし、既存の制度に加えて考え方の異なる仕組みが並行することになれば消費者にとっては大変分かり難く、さらに、科学的根拠が不確かなものに表示を許せば市場は混乱し、消費者被害を拡大することになります。政府においては、科学的根拠をもった表示制度という観点から政策検討をすすめるべきであり、むしろ、根拠も不十分なままに体験談等による“健康増進に寄与するかのようなイメージ”だけで流通している「いわゆる健康食品」についての規制の強化を求めたいと思います。

以上

(2013年7月3日 総理大臣、官房長官、規制改革担当大臣、消費者担当大臣、消費者庁長官宛に提出)