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幹事運営委員と消費者庁の意見交換

 去る4月8日消費者庁会議室にて、震災対策に関する全国消団連幹事運営委員と消費者庁の意見交換会を開催しました。全国消団連事務局長名で、以下の提案を行いました。消費者庁からは末松副大臣も出席し、意見交換の四つの柱について、現状の取り組み状況と今後の方向性などについて、意見を交換しました。

2011年4月8日

全国消団連幹事運営委員・消費者庁意見交換会
東日本大震災復興に向けた提案

全国消費者団体連絡会
事務局長 阿南 久

 全国消費者団体連絡会は、微力ながら持てる力を最大限に発揮して、被災者のみなさま方への支援にあたる決意です。そのために、全国の消費者団体のネットワークを強めて、被災地をはじめ各地で支援活動を進めている会員団体を支えていきます。

 また、電力供給の逼迫や生活物資の確保、食品の放射性物質汚染に対する消費者の不安が増大する中で、消費者が冷静に行動できるように、関係機関等から発信される情報の整理・提供や、事務局が手分けして取り組んでいるスーパーマーケットなどの調査情報の提供を継続していきます。

 各地の消費者団体や消費者に対して“思いやり”と“助け合い”の心にもとづいて行動し、被災者とともにこの難儀を乗り越えるために、「消費者力」を発揮していくことを心より呼びかけていきます。

 更に、消費者とともにこの事態を打開できるよう、消費者庁として次の取り組みを進められることを提案いたします。

1.福島第一原子力発電所事故に関する、判りやすい情報の提供とリスクコミュニケーションの実施

 福島第一原子力発電所の事故は、現在最大の不安材料として国民の心に覆い被さっています。放射性物質に関する情報は、東京電力からの発表も、連日報道される「専門家」の見解も、監督官庁からの発信も、一般の消費者にとってみると判りにくく、説明を聞くことで更なる不安感を高めてしまいます。

 放射性物質に関して消費者が「判らないと感じていること」「不安に思うこと」は何かという視点をもとに、消費者庁として、関係者からの情報を整理して発信すること、更に放射性物質に関するリスクコミュニケーションの場を設けて不安解消に努めることが必要です。リスクコミュニケーションの場作りには全国消団連としても積極的に協力いたします。

2.「生活関連物資の安定供給」ならびに「物価監視」取り組み強化

 このたびの東北地方太平洋沖地震の発生にあたり、消費者庁の課題として挙げられながら、ほとんど取り扱ってこなかった「生活関連物資の安定供給」「物価監視」や「食品の安全性監視」などの課題は、消費者の不安を解消し、被災者支援に腰を据えて取り組むために、緊急的かつ集中的に取り組むべき課題として急浮上しています。

 特に「生活関連物資の安定供給」と「物価監視」については、3月17日の消費者団体と担当大臣との意見交換ならびに大臣談話発表以来、目立った取り組みはされていません。「食品表示ウォッチャー」など他省庁での取り組みと連携しながら、全国各地の状況を集約して安定供給を支える取り組みを強めましょう。

 米やパンは店頭に戻ってきましたが、水、納豆やヨーグルトなどは運良く入荷したときにお店にいた人にしか買えない状態が続いています。このように特定の商品だけが購入できない状態が続くことは、消費者の不安を掻き立て、さらなる買い占めを生み出します。不安感を鎮め、落ち着いた購買行動を取れるようにするために、なぜその商品を供給できないのか、具体的な原因を明確にすることが重要な対策です。そこで全国消団連としては、それらの情報を製造者や業界団体に対して明らかにするよう、働きかけていきます。消費者庁としても業界団体に対して情報発信を強めることを働きかけてください。

3.被災自治体の支援強化

 地震と津波の被害を受けて、機能を果たせなくなった自治体を支え、またその代役として、消費者の不安に乗じた悪質商法の発生と拡大を未然に防止するという課題も重要性を増しています。

 今回の地震で各地の消費生活センターや消費生活相談窓口の受けた被害状況は集約されているかと思います。集約結果を公表し、どのセンターが相談に対応できるのかなどの情報を、消費者庁が当該の自治体の代役として消費者に案内するべきです(例えば、国土交通省では東北地方整備局のホームページに被災自治体からの発信を肩代わりする「掲示板」を設けており、被災自治体からの具体的な支援要望を知ることが出来ます
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00097/K00360/taiheiyouokijishinn/keijiban/keijiban.index.html)。

 3月27日より国民生活センターによる「震災に関連する悪質商法110番」がスタートしました。今まさにこのような取り組みが求められています。震災にかかわる相談も含めて、この取り組みは全ての被災自治体の相談体制が再建されるまで、継続されるべきです。

 なお、今回の110番ですが、激甚災害の指定を受けた岩手・宮城・福島の3県の消費者のみを対象としています。しかしながら、青森や茨城、千葉、長野なども地震による大きな被害を受けています。110番の対象を3県に限定することなく、全ての問い合わせに対応することを求めます。

4.国民生活センターのあり方についての論議の中断

 3.で述べたとおり、少なくともこの一年間は、国民生活センターの役割は被災自治体支援の面でとても重要なものであるといえます。国民生活センターが落ち着いてその任務にあたるためにも、「国センタスクフォース」での検討を一時的に中断すべきです。消費者庁としても、生活関連物資の安定供給促進などの課題に持てる資源を積極的に投入するべき時であり、消費者庁と国民生活センターが今取り組むべき課題に邁進するためにも、緊急に組織・体制の変更を議論し変更する必要はなく、そのために労力と時間を割くときではないと思われます。

以上