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全国消団連は本日、民主党に公正取引委員会の
審判制度廃止に対する陳情を行いました


 本日4月1日、全国消費者団体連絡会は、民主党小沢一郎幹事長宛に、今国会に諮られる「公正取引委員会審判制度廃止提案」に対する反対と、審判制度の中立性向上を求める陳情を行いました(吉田治副幹事長にご対応いただきました)。

 陳情内容は以下をご覧下さい。

 ※PDF版はこちら

2010年4月1日

民主党幹事長
小沢 一郎様

全国消費者団体連絡会


公正取引委員会「審判制度」廃止に反対します


 私たち消費者にとって「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)と公正取引委員会は、公正な取引の実現を通じて消費者の権利を守るための要となる法律であり、他から指揮監督を受けることなく独立して職務にあたる重要な機関だと考えています。

 公正取引委員会の「審判制度」は、公正取引委員会の大きな武器として多くのカルテルや入札談合を取り締まり、日本経済の発展と消費者利益の擁護に多大な貢献をしてきました。

 私たち全国消費者団体連絡会は、2005年の「独禁法」改正当時から、内閣府「独占禁止法基本問題懇談会」に消費者委員として代表が参加したことを受けて、内部に「独禁法改正検討委員会」を設置し、消費者の立場から意見表明を行ってきました。そして「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律」検討の際には、意見表明やシンポジウム開催、国会議員の皆様への要請などに取り組んできました。

 「独占禁止法基本問題懇談会」報告書では、「平成17年度改正により導入された不服審査型審判方式は、処分の早期化・審判件数の減少等一定の成果を上げていると考えられることから、当面は、これを維持することが適当である。しかしながら、行政審判は、行政過程において準司法的手続を採用して被処分者に十分主張・立証の機会を与えることにより適正手続を保障するとともに、紛争の専門的早期的解決を図るものであることから、一定の条件が整った段階で、事前審査型審判方式を改めて採用することが適当である。」と提言しています。

 このたび政府は、公正取引委員会が行う「審判制度」を全面的に廃止する「独占禁止法改正法案」を通常国会に提出することを決めました。

 2009年12月9日に、公正取引委員会政務三役から公表された「独占禁止法の改正等に係る基本方針」によれば、この法案は、2009年6月に成立した「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独禁法」)の一部を改正する法律」の附則を受け、また衆参両院の附帯決議、そして民主党政策集INDEX2009を踏まえたものとあります。

 しかしながら、まず論議されるべきは、平成17年度独禁改正法が目指した「不服審査型審判方式」の成果と検証であり、今回の「審判制度」廃止提案に反対します。そして、「審判制度」見直しについては、提案段階でも今後の国会審議においても、学者や消費者の声を広く聞きながら、丁寧に行われる必要があると考えます。反対理由は以下の通りです。

 (1)「審判制度」の廃止は、公正取引委員会の独立性を弱め、執行力を弱めることに繋がり、ひいては消費者利益に反しています

 「審判制度」は、公正取引委員会が政治的な独立性を保ちながら専門性を発揮して法執行にあたるための重要な根拠です。執行力は「審判制度」によって高く保たれていると言えます。「審判制度」の廃止は公正取引委員会の執行力はもちろん、独立性・専門性といった基本的あり方に重大な影響を及ぼしかねません。

 (2)「廃止」の理由として「処分機関が処分の適否を判断することに対する事業者の不信感が払拭できない」とありますが、「審判」は、公開の場で公平な審理が尽くされる体制が整えられており、「廃止」の理由として説得力はありません

 「審判」はあくまでも行政処分をより丁寧に慎重に行うためのものであり「裁判」とは違います。現行の制度でも「審決」に不服があれば高裁に訴えることができるのです。

 審判制度に対して事業者が抱いている不信感は、公正取引委員会職員が「審判官」を兼任していることによると思われます。「審判官」を第三者的な位置付けとして、独立性と専門性を担保すれば、制度を廃止することなく、事業者の不信感を払拭できます。更には審判制度自体の信頼性や公平性、強力な執行が確実なものとなります。

 消費者の権利を守るための第三者的な「審判官」制度を確立して、「審判制度」をより確実なものとしてください。

以上