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全国消団連は3月26日付けで福島みずほ内閣府特命担当大臣宛てに「当面急がれる消費者団体支援に関する要請書」を提出しました。

2010年3月26日

内閣府特命担当大臣
(消費者及び食品安全 少子化対策 男女共同参画)
福島 みずほ様

全国消費者団体連絡会


当面急がれる消費者団体支援に関する要請書


 消費者庁と消費者委員会が誕生し、いよいよ本格的な「消費者主役の社会」への大きな一歩を踏み出しました。

 消費者と事業者の間に情報力・交渉力などの構造的格差が存在する中で、消費者の権利を実現し、自立を支援していくためには、消費者基本法に明記されているように、行政・事業者・消費者が各々の責務・役割を果たすとともに、消費者団体も積極的に役割を果たしていくことが必要です。消費者団体が社会的役割を果たしていくために、以下のような考え方に基づき、行政による消費者団体支援を要請します。

<消費者団体支援策についての全国消団連の考え方>

 消費者団体は、消費者相談・消費者被害救済・消費者教育などの取り組みを通じて、個々の消費者では担えない形での、消費者の権利の実現に寄与する役割を担っています。消費者の権利の実現に向けては、消費者に身近な立場で活動する消費者団体が引き続きこうした役割を果たしていくことができるよう、行政が消費者団体を支援することが必要です。消費者庁関連法の附則・附帯決議においても、消費者団体の果たすべき役割の重要性にもとづき、支援のあり方を見直すとしています。

 消費者団体支援策のあり方については、今後の消費者運動・消費者団体の役割とセットで検討する必要があることから、全国消団連としては1年間かけて論議を行い、必要な消費者団体支援策について改めて提言したいと考えています。

 しかし、消費者団体の現状にかんがみ、さまざまな取り組みの中でも公益性が明確であり、また消費者団体の実情から見て早急な支援が必要な事項として、以下2項目についての財政支援を先行して要請します。国家財政が厳しい状況下ですが、消費者行政分野は従来予算配分がほとんどなされていなかったこと、消費者団体と行政の協働による取り組みは施策の実施効果が大きいこと、などをかんがみれば、支援についての社会的コンセンサスを得やすいものと考えます。

 以下については特に支援の緊急性が高い事項として、2010年度補正予算または2011年度予算での具体化を求めます。また、国は地方自治体に対し、消費者団体の活動支援を、地方消費者行政活性化基金も活用した形で促すべきと考えます。

1.消費者団体が行う相談活動に対する財政支援

 一部の消費者団体では、自治体相談窓口の多くが休業する土日の相談対応や、平日の相談対応、ADRも含めた相談対応を行っています。相談結果については、団体の発行する消費者向け雑誌やホームページ等で消費者への情報提供を行い、消費者被害の未然・拡大防止に資するとともに、相談活動に基づく政策提言を通じて消費者施策の充実に貢献しているという効果も有しています。消費者の個別救済にとどまらない上記の取り組みは、行政の相談対応とは異なる特徴です。さらに、あっせん率の高さの観点からも、公益的意義は高いものと考えます。

 こうした取り組みを行う消費者団体が今後広がっていくこと、これまで相談活動に取り組んできた消費者団体がその機能を維持・拡充できることが重要であり、消費者団体の相談活動や相談結果の広報に対する財政支援が必要です。

 なお、地方消費者行政強化が進展し行政の相談員の待遇改善が図られる中で、消費者団体として相談活動に取り組む人材の確保(相応の謝礼の支払い)が困難になってきている現状があります。消費者団体が消費者に身近な立場からADR機関として活動しようとすれば、自身で相談活動を行うことが不可欠であり、消費者団体によるADRの拡充の観点からも行政による相談活動の支援は重要です。このような消費者団体自身が相談活動に取り組む公益的意義を踏まえると、行政の相談窓口とともに、消費者団体の相談活動も充実するような支援が必要と考えます。

2.適格消費者団体が行う差止請求関係業務(事案検討に係る人件費など)に対する財政支援

 消費者団体訴訟制度は、(1)消費者契約法等で無効・取消となる違法な行為を是正し消費者被害の拡大防止に資する役割 (2)違法性の高い行為を早期に是正することにより健全な市場環境を整備する役割、という公益的意義を有しています。ただし、消費者団体訴訟制度が差止請求に限定されている現状では、適格消費者団体がこの制度を活用しても得られる収入は皆無であり、持ち出しによる活動にしかならないという問題があります。適格消費者団体への支援の必要性については消費者庁関連法の附則・附帯決議でも強調されていますが、適格消費者団体が活動を本格化するにしたがって財政状況が厳しくなっている現状にかんがみ、一刻も早い財政支援が必要と考えます。

以上