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消費者基本計画素案にパブリックコメントを提出しました

 消費者庁は2月3日に「新たな消費者基本計画」(素案)を公表し、素案に対する意見を募集しました。

 全国消団連は昨年末の意見提出に引き続き、2月23日に消費者庁に意見書を提出しました。意見書の作成にあたり、全国消団連消費者行政充実検討委員会を中心に議論し、委員会メンバー以外の消費者団体メンバーの積極的な協力も受けてまとめ上げました。

 全文は総論部分と具体的施策に関する各論部分の二つの文書で構成しております。添付のPDFをご覧下さい。

 消費者基本計画素案に対する全国消費者団体連絡会意見(総論部分) (PDF 214KB)
 消費者基本計画素案に対する全国消費者団体連絡会意見(各論部分) (PDF 510KB)


◎今回の意見書の要旨

◇評価した点

  • 消費者基本法の基本理念である「消費者の権利の尊重と自立の支援」をベースに再整理した点
  • 検証・評価・監視にあたり、(1)消費者にわかりやすい評価基準を設定、(2)消費者団体等のアンケートやヒアリング等を行い、消費者の意見をより的確に反映、(3)検証・評価の結果を次年度の具体的施策に反映、等を丁寧に記述したこと

◇評価できなかった点

  • 消費者基本計画は、過去の反省をもとに作られた枠組みであるにもかかわらず、そのことが文章に反映されていないこと
  • 総論の下に「新たな消費者基本計画における戦略的課題と最重点事項」を設定していないこと
  • 分野横断的・省庁横断な施策が盛り込まれていないこと
  • 政府の消費者行政の重点課題や方向性などのポイントが明確になっていないこと
  • 各省庁から出された施策をそのまま貼り合わしただけといわざるを得ない各論で、未整理なこと
  • 具体的施策に、チャレンジ課題、分野横断的・省庁横断的に取り組む課題が少ないこと
  • 消費者庁関連法附則・附帯決議に位置づけられた項目でも具体的施策から漏れたものがあること
  • 表現が抽象的で判り難い、ワンセンテンスが長く具体的に何をするのか不明、日本語として意味不明な施策も存在
  • 具体的施策に具体的な数値目標がほとんど入っておらず、検証、評価、監視が難しいこと
  • 具体的施策に盛り込む必要のない各省庁の本来業務・基本的業務があげられていること

◇補強すべき点

○総論について

 1.「消費者基本計画」策定の趣旨

  • 消費者庁・消費者委員会設立の背景となった「消費者行政に対する不信感の高まりとその反省」という視点についても、触れておくべき

 2.消費者政策の基本的方向

  (1)消費者の権利の尊重と消費者の自立の支援〜消費者の安全・安心の確保

  • リスクコミュニケーションの説明の整理と簡潔化

  (2)経済社会の発展への対応〜環境に配した消費行動と事業活動の推進

  • 今後5年間で目指す消費生活や政府の施策の方向性(2020年で25%のCO2削減(1990年比)と生物多様性保全)について触れるべき
  • 事業者に対する環境配慮型製品の開発を求め、政府としてその支援にも積極的に係わること

 ○具体的施策について

  • 消費者庁自身の課題でもある、消費者庁設置関連三法の附則・附帯決議、消費者庁工程表、「地方消費者行政の充実・強化プラン」で掲げている課題を盛り込むこと
  • 分野横断的・省庁横断的課題
    • 各府省庁における消費者担当部局の位置づけの明確化と体制強化
    • 表示、取引、安全の分野における横断的な新法の制定
    • 各省庁が行っている消費者相談の在り方についての横断的・総合的な検討
    • 各省庁のホームページの消費者視点での見直し検討
    • 消費生活分野での個人情報の取扱い状況と監督官庁の対応の把握、及び規制の検討
    • 改正特定商取引法適用除外部分の消費者被害状況と監督官庁の対応把握、及び適用の検討
    • 個人情報保護法を、以下の二つの視点から見直し
       (1) 事業者が営業目的で個人情報を利用することを規制
       (2) 過剰反応を防止
    • 各ADR機関の紛争解決について、消費者視点からの実績評価
    • 被害防止の観点だけでない、各省庁や各分野横断的な消費者教育の検討
    • 各省庁の消費生活関連の調査結果について一元的に紹介する仕組みづくり
    • CO2の25%削減に向けた新たに実施する施策検討

 ○今後の計画の策定・見直しについて

  • 具体的施策を幅広く盛り込むこと。政府として目指す5ヵ年の消費者行政の方向性と重点課題を、各テーマ別にも記述すること
  • 計画策定までに素案の抜本的改善に向けた最大限の努力を図ること。来年度以降も適宜計画を見直し、「(1)基本理念・基本的方向、(2)各テーマに政府として目指す5ヵ年の消費者行政の方向性・重点課題、(3)(2)に基づく具体的施策」という関係性が明確になるような計画の作り方を目指すべき
  • 今後の見直しに向けて、消費者団体等との意見交換を行う場を継続的に幅広く設定すべき
  • 消費者基本計画という枠組みが作られた経緯やその意義について、改めて消費者庁をはじめとする各省庁で継続的に共有を図るべき
  • 今後の消費者基本計画案作成と検証・評価・監視は、消費者庁として庁内全部局を挙げ、庁内横断的に取り組むべき