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全国消団連は10月8日に「地方消費者行政活性化基金についての意見」を
福島みずほ内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)、
内田俊一消費者庁長官、松本恒雄消費者委員会委員長宛てにそれぞれ提出しました。

2009年10月8日

内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全) 福島 みずほ 様

全国消費者団体連絡会

地方消費者行政活性化基金についての意見


 

 国民生活の充実のため、消費者行政の推進にご尽力いただき、誠にありがとうございます。

 地方消費者行政の支援策の一層の強化を願って、標記の件で要請いたします。

 地方消費者行政活性化基金については、本年7月に管理運営要領が改正され、一定程度活用の幅が広がりました。しかしながら、依然として以下の点が制約となり、自治体の担当窓口の意欲を引き出すにはその不十分さを克服できていません。本来の基金創設の趣旨であった地方消費者行政の強化が十分果たされないのではないかと消費者団体としても危惧しております。

 自治体自身も消費者行政予算の自主財源の拡充に努めることは必要ですが、まずは各自治体が消費者行政活性化基金を十二分に活用し、消費者行政の基盤整備を果たすことが先決です。そのために、国は自治体の基金活用促進につながる支援や、基金の枠組み改善などの役割を引き続き果たすべきです。特に、消費者行政経費の大半が人件費に関わる費用であることを鑑みても、基金の積極的・効果的活用を阻害する制約は外すべきと考えます。

 以上の趣旨に基づき、基金の運用改善と、地方消費者行政強化策の早期検討を求めます。

1.地方自治体に対して、基金の趣旨・内容について丁寧に説明するとともに、基金の活用促進につながる工夫を国としてはかるべきです。

 いくつかの自治体で、消費者団体が基金について都道府県・市町村担当窓口との意見交換を行っていますが、自治体担当者からは「そもそも基金の趣旨・内容について、自治体内で十分共有できていない」「現状の枠組みのもとでは制約が多すぎて、用途が限られ活用しきれない」「消費者行政以外に交通安全・防災・防犯・男女共同参画等を兼務で対応しており、多忙のため基金活用の方策を十分検討できる状況にない。アイディアも不足している」等の声が出されています。国は自治体に対して、基金を効果的に活用している自治体の事例紹介を行うことなどを通じて、基金の積極的・効果的活用を促すべきです。

2.相談体制の強化につながるよう、基金の運用改善をはかり、管理運営要領を再度改訂するべきです。

 7月の管理運営要領の改正により、相談員人件費への支援が一定程度できる(例:相談員の残業代や、相談員増員分の人件費に充てることを可とする)ようになったものの、依然として、既存の相談員の人件費(待遇改善)に充てることはできない等の問題があります。

 また、各自治体が、基金を相談員の残業代等に活用できる「一元的相談窓口緊急整備事業」を実施する上では、「各都道府県においては、基金の最終年度には、当該事業費の半分を目途に消費者行政経費の自主財源(基金(交付金相当分)を除く)が管内全体として拡充されていること(対平成20年度)」という要件が付されています。しかし、各自治体が3年後の財政状況を見通すことは現実的に困難であり、この要件が制約となって基金の十分な活用を阻害しています。

 こうした問題点を改め、相談体制の強化につながるよう、管理運営要領を再度改訂すべきと考えます。

3.基金取崩しの限度額を撤廃すべきです。

 自治体が基金から取崩しできる額の上限として、年度の消費者行政経費(都道府県と市町村の合計額、決算ベース)の1/2相当までという縛りが掛けられていますが、限度額を設ける必要性があるとは思えません。この縛りも外すべきと考えます。

4.4年目以降の地方消費者行政支援策を早期に検討すべきです。

 多くの自治体で、「4年目以降の措置が不透明なままでは増員に踏み切ることは困難」を理由として、基金を活用して相談員増員を行うことに躊躇が見られます。消費者庁及び消費者委員会設置法の附則にて、地方消費者行政に対する国の支援策を3年以内に検討することが明記されていますが、すでに地方消費者行政活性化の3ヵ年計画は進行し始めています。国の4年目以降の支援策の方向性を早急に打ち出すことが、自治体の活性化基金の積極活用につながると考えます。たとえば、今回の活性化基金も活用して各自治体がこの3年以内に増員した分の相談員人件費について、4年目以降も国として保障することなども含め、4年目以降の地方消費者行政支援策を早期に検討すべきです。

 なお、国は地方消費者行政支援策として、地方消費者行政活性化交付金と併せ、今年度の地方交付税の消費者行政充当分(積算基準)を拡充しましたが、自治体の現状を見ると十分に消費者行政予算に充当されていない模様です。今後の地方消費者行政支援策の検討にあたっては、この措置についての自治体の執行状況の実態調査を行うべきと考えます。

以上