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 5月15日全国消費者団体連絡会では厚生労働省医薬食品局総務課宛てに「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」についてのパブコメ対応を行いました。

「薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令案」
についての意見
〜「経過措置」に反対します〜
 

2009年5月15日
全国消費者団体連絡会
〒102-0085 千代田区六番町15 プラザエフ6F
TEL;03-5216-6024

 このたび、平成18年6月に成立し交付された「薬事法の一部を改正する法律」(「改正薬事法」)の本年6月1日の施行に向けて、2月に公布された「薬事法施行規則等の一部を改正する省令」について、更なる改正案が示されました。

 「改正薬事法」は、昭和35年に制定されましたが、これまで販売制度に関わる検討は行われてきておらず、薬剤師等の配置や消費者への適切な情報提供など、制度と社会状況の変化に対応した施行実態には乖離が見られるようになりました。また、一般用医薬品の副作用が疑われる症例も毎年約300件が報告されています。

 こうした状況を受けて、平成16年5月、厚生労働省・厚生科学審議会「医薬品販売制度改正検討部会」が設置され、翌年12月に『報告』がまとめられました。

 「改正薬事法」はこの『報告』を反映したもので、このうち「一般用医薬品の区分(リスク区分の指定)」は平成19年4月に施行となり、「登録販売者試験制度」は平成20年4月に施行されています。

 また、平成20年2月からは、医薬品の販売等の体制と環境整備に関する検討会がもたれ、同年7月に『報告』が出されました。

 2月に公布された「省令」は、「改正薬事法」の趣旨を反映し、

  • 一般用医薬品の通信販売を行う場合は、第3類医薬品のみに限る。
  • 販売の際、第1類の医薬品については薬剤師が対面で情報提供する。第2類については、薬剤師または登録販売者が対面で情報提供を行うよう努める。
 とされました。

 ところがこれに対し、インターネット業者を始め一般用医薬品の通信販売を行っている事業者から反対意見が出され、舛添厚生労働大臣の指示により、再度の検討のために「医薬品新販売制度の円滑施行に関する検討会」が設置されました。

 しかし、検討会では論議がまとまらず、厚労省が提示した「経過措置」についてパブリックコメントを募集することになりました。

 私たち全国消費者団体連絡会は、医薬品の使用にあたっては、消費者の安全が確保されることが何よりも重要であるとの立場から「改正薬事法」を支持し、医薬品の販売は“対面販売”の原則にのっとり、通信販売は認めるべきではないとの立場を明らかにしてきました。

 今回の「経過措置」については、以下の理由により反対します。

1. 「改正薬事法」は、一般用医薬品の利用が広がる社会的状況の中、消費者の安全性を確保するために、長い時間をかけた検討の末、“対面販売”を原則とした販売制度のしくみを確立したものです。
 「経過措置」を認めることは、「改正薬事法」の趣旨をなし崩しにし、制度のスタートと今後の確実な推進にマイナスの影響を与えます。
     
2. 「改正薬事法」は、平成18年に公布され、平成20年7月に公表された「医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会報告」では、情報通信技術の活用は第3類医薬品のみとされています。
 その時点から今日までの間に、通信販売を行っている一般用医薬品販売事業者は、通信販売以外の何らかの販売体制を構築する責任があったと思います。しかし、そうした努力は見受けられません。
     
3. 「経過措置」は、2年後の「改正薬事法」完全施行に向けた期間限定的な措置であり、その目的は、「薬局等がない離島の居住者」と、「5月までに特定の薬を継続して利用していた人」を救済するとしています。
 しかし、そういう人の特定や確認、また新たな購入者を断ることは現実的には困難なことであると思われます。
 結果、今までと変わらず通信販売を認めていくことにつながり、「改正薬事法」完全施行は実現不可能になるおそれがあります。

以上