[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]
全国消団連PLオンブズ会議では、2月28日、ガス事業者団体を訪問し、下記の事項について要望しました。訪問先は、 (社)日本ガス協会、(社)日本ガス石油機器工業会、日本LPガス団体協議会、(社)日本簡易ガス協会です。事業者団体が会員企業に対し指導を強化し、事故の未然防止などに向けて役割を発揮するよう要望しました。 |
2007年2月28日 (社)日本ガス協会 会長 野村 明雄 殿 一連のガス機器事故に関する要望書 全国消費者団体連絡会 私たちPLオンブズ会議は、1994年の製造物責任(PL)法制定をめざした消費者団体、弁護士、学者らがメンバーとなり、法制定後の運用や社会の動きを監視している団体です。 この度のパロマに続き、リンナイ、ハーマン、鳥取三洋、松下電器産業などが製造したガス給湯器・ストーブに起因する多数の事故の報道等を受け、事業者団体としての貴会の今後の役割の発揮を要望するものです。 1994年の製造物責任法(PL法)の制定は、メーカーに厳格な民事責任を課すことによって、安全なものづくりを心がけさせ、より安全で安心できる社会の実現をめざしたものでした。製品事故に関する情報が公開され、共有されて、事故の再発を防止し、より安全な製品作りの参考とされることが期待されており、当時の通商産業大臣も国会審議の場で「製品事故に関する情報は、国民の共有財産、との観点から極力公開すべきである。」と答弁しています。 ところが、2006年7月のパロマ工業製ガス給湯器の欠陥に起因する多数の一酸化炭素中毒事故の発覚、2007年2月のリンナイ製ガス給湯器による同様の事故発生、2月10日の鳥取三洋電機のガスストーブでの事故など、ガス機器によって多数の人命が失われていることが判明しました。 これらの事故情報は、すでに経済産業省が行っている事故情報収集制度によって収集されていたものが、古くから多数存在していたことも明らかになりました。しかし、事故情報を収集し公表している独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の公表内容は、ほとんどメーカー名、製品名、型式が伏せられており、事故の再発防止に役立っていませんでした。経済産業省によれば、製品の欠陥に起因することが証明された場合にのみ実名を公表し、「原因不明」や「使用者の誤使用」と判断されるものは実名を伏せるとのことです。しかし、欠陥の判断を厳格にしようとすれば、多くが「原因不明」に流れやすく、厳格な証明もないのに「使用者の誤使用」とされていたことも明らかになりました。「早くから事故情報があったのであれば、どうしてユーザーに知らせて製品の回収や修理をしなかったのか。少なくとも、こういう使い方をすれば死亡事故になりうる、との注意喚起くらいしてもらっていれば、」との遺族の無念は想像を超えるものがあります。 製品安全については、第一義的には事業者が安全な製品を市場に供給するということが事業者の重要な責務・社会的責任であるはずです。重大事故が発生した場合は、原因解明とそれに対応した対策をとるのが基本です。機種の改良以前の製品等製造からかなりの年月を経過した製品で事故が起きているなかで、改良後に改良前の製品についての消費者への注意喚起を行ってこなかった経過や原因が明らかにされていません。こうした点を明らかにしないと、企業の体質、安全についての意識・感度、安全対策が改善されず、次にまた別の製品で事故がおきかねません。 私たちPLオンブズ会議は、事故情報の共有化と有効活用、リコール制度の強化充実について、2006年6月30日に提言を行いました。また、2006年7月21日にも、パロマのガス給湯器事故をうけて声明を発表しています。この度の一連の事故を受けて、改めて以下の点について要望するものです。 記 1. 消費者に対し、事故製品のメーカー名、製品名など具体的情報提供が必要です。 NITEの事故情報の全面実名公表を過去にさかのぼり直ちに実施される必要があります。貴会は、加盟するメーカー・ガス事業者に対し、事故情報の提供を促進するよう指導してください。消費者にとっては具体的な情報が必要です。ちなみに、国土交通省のホームページにある「自動車不具合情報」では、ユーザーからの申し出情報だけでメーカー名、製品名、型式を実名公表しています。 2. 速やかな製品回収・点検・修理をすすめてください。 貴会は、加盟各社を通じて、必要な製品回収・点検・修理を速やかに実施されるよう要望してください。消費者への注意喚起を早急に全国各地域で実施し、事故の未然防止に努めることを要望します。 3. 買い替え促進策は、消費者負担を軽減し、買い替えをしやすくしてください。 貴会は、加盟各社を通じて、買い替え促進策について、特に低所得世帯に配慮し消費者の負担軽減をはかるよう、要望します。賃貸集合住宅についても、消費者への注意喚起、買い替え対策を早期に実施することを要望します。 4. 製品事故内容の全容と原因究明の公表と、被害者救済を進めてください。 貴会は、加盟各社を通じて、過去にさかのぼって製品による事故内容の全容をメーカー名、製品名、型式を実名で公表してください。事故原因や、当時の対応内容も合わせ公表することを要望します。 多くの被害者が出ています。損害賠償など誠意をもって速やかに進めてください。 5.事故情報収集・原因追求・対策を推進する社内体制を整備してください。 自ら製造し供給した製品に対する責任は、第一義的にメーカー・ガス事業者にあります。今後、重大事故に限定することなく、軽微な事故、ヒヤリ・ハット情報についても、関係機関(警察・消防・病院など)からの情報も含め、収集と原因分析、消費者への早期の情報提供を実施できるよう社内体制を整備し、事故の未然防止に努めるよう加盟各社を指導してください。 以上 (お問合せ先:全国消費者団体連絡会 電話 03−5216―6024 山崎)
|