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全国消団連は、内閣府・独占禁止法基本問題懇談会(内閣官房長官の私的懇談会。平成17年7月から2年間の開催。座長・塩野宏東京大学名誉教授)が行っている「独占禁止法における違反抑止制度の在り方等に関する論点整理」意見・情報の募集(締め切りは9月8日)に、消費者・市民の立場から意見を提出いたしました。 |
2006年9月1日 内閣府 大臣官房 全国消費者団体連絡会 「独占禁止法における違反抑止制度の在り方等に関する論点整理」に係る意見 独占禁止法は公正で自由な競争を促進し、経済の健全な発展と消費者の利益を確保する重要な法律です。法違反行為を速やかに排除し以後の抑止を図ることが重要です。しかし昨年来、橋梁談合・防衛施設庁談合・汚泥施設談合など大規模な談合が後を絶ちません。消費者・市民としては極めて遺憾であり、まだまだ抑止力としては不十分といわざるを得ません。 平成17年改正法(以下、改正法。)は、不十分ながらも法の違反行為に対する執行力の強化を目指したものになっています。現行法が改正・施行されてまだ間もなく、結果を検証するまでには至ってはいません。懇談会での論議も、違反を起こしてしまった事業者に便宜を図るための論議に陥ることなく、実現した改正法を後退させないため、現行の基本的枠組みを基本に、行政上の措置(排除措置、課徴金)・刑事罰・民事的な救済手段(損害賠償、私的差し止め)といった各種の措置の改善・充実を図る方向で検討を行うことが重要です。 1.課徴金制度について(「論点整理」4頁(2)「課徴金制度について」に関連して) 17年改正法で、強化された方向性を支持します。罰金・制裁金の水準としては欧米に比べ低くいまだ不十分であり、下記の事項について検討する必要があります。 なお、少なくとも課徴金の対象となるカルテル・談合については、一担当者の意向で行われることはありえず、組織ぐるみであることは明白です。そもそもコンプライアンスが働いていれば起こりうるはずはなく、法令遵守の取組みが行われていた場合に、減額要素とする事など論外です。 <検討すべき項目>
2.刑事罰について(「論点整理」8頁(3)「刑事罰について」に関連して) カルテルや談合は『犯罪=反社会的行為』として処罰されるという考え方を明確にする趣旨から、刑事罰は必要です。課徴金と刑事罰の併科は、憲法で禁止されている二重処罰には該当しないという最高裁判決を踏まえるべきです。 3.審査・審判手続について(「論点整理」11頁3「審査・審判の在り方」に関連して) 改正前の手続きでは、審決まで支払い義務が生じないため審判増加や長期化により課徴金の支払いを引き延ばされる等、事業者にとって「争い得」の制度であったものが、改正によって大きく改められたことは重要です。違反行為を適切かつ迅速に取り締まるためにも手続きの流れについては改正法の枠組みを維持すべきです。また、審判を「裁判所に委ねよ」の声もありますが、公正取引委員会による専門性は重要であり、審判制度の廃止には反対です。 4.不公正な取引方法について(「論点整理」15頁4「不公正な取引方法に対する措置のあり方」に関連) 不公正な取引方法が課徴金や刑事罰の対象ではなく、「やり得」とも言える状況を改善することが重要です。少なくとも再販売価格の拘束は課徴金や刑事罰の対象にするべきです。また、「消費者団体訴訟制度」の導入を含め、民事的救済制度の方策を講じることを検討すべきです。 5.その他(「論点整理」17頁に関連して) (1)官製談合について(「論点整理」17頁(1)「公共調達における入札談合について」に関連) いわゆる官製談合は許しがたい行為です。入札制度、天下りの慣行など構造的問題に総合的な方策検討が必要であり、防止の実効性を高める措置の検討を講ずることが必要です。 <検討すべき項目>
(2)警告の公表について(「論点整理」17頁(2)「公正取引委員会が行う警告、注意について」に関連) 社会通念上法律違反に近い行為があった場合にその内容を公表することは、消費者・市民の立場から重要です。違反行為の抑止の為にも、違反を起こした事業者への警告とその公表は、維持強化すべきであると考えます。 (3)その他に新たな論点として検討すべき項目
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