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〓BSE緊急企画・第2弾〓
「米国・カナダの査察結果報告とリスク管理機関との意見交換会」を開催しました。
 

 2006年1月12日、主婦会館プラザエフ (東京・千代田区)において、リスク管理機関である厚生労働省と農林水産省が実施した米国とカナダの牛肉に関する査察結果についての意見交換会を開催しました。交換会には首都圏だけでなく、全国消団連の会員を中心に消費者団体や生協などから約40人が参加しました。農水省及び厚労省からパワーポイント資料による、米国・カナダにおける日本向け牛肉認定施設の査察結果の報告がされた後、参加者との質疑応答を行いました。

 今回の査察結果報告では、査察施設の様子や査察内容が具体的にわからない趣旨の感想が参加者から出されていました。1月22日から第2次の査察が行われますが、全国消団連では引き続きリスク管理機関からの査察報告を求めていく予定です。

☆農水省の査察結果報告資料はこちら(PDF926 KB)
 

<意見交換会の概要〜全国消団連作成>

◇開催日・会場:2006年1月12日(木)午後4時30分〜6時30分
       会場:主婦会館 プラザエフ5F 会議室

◇主催:全国消団連

◇行政関係出席者:(厚生労働省)藤井充・大臣官房参事官、道野英司・医薬食品局食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長、(農林水産省)高橋直人・大臣官房審議官、池田一樹・消費・安全局動物衛生課国際衛生対策室長、杉崎知己・消費・安全局畜水産安全管理課課長補佐

◇報告者・参加者:消費者団体・消費者42名、マスコミ8社11名、厚労省・農水省11名 合計64名

◇説明内容:1.輸出プログラム遵守の確認 2.月齢確認 3.と畜場・食肉処理施設におけるSRM除去、対日輸出品の区分管理 4.飼料規制(米国・カナダの飼料規制、農場における飼料規制遵守状況、レンダリング施設における飼料規制遵守状況) 5.今後対応することとした事項 6.その他(米国・カナダ産牛肉の監視体制、違反事例が確認された場合の対応)

◇意見交換の内容(全国消団連のまとめ。○は質問、(厚)は厚生労働省、(農)は農林水産省)

査察個別の施設毎の詳細(どこの農場などか)は公開されないのか。
米国では日本と違って背割り前の脊髄除去はしていないということだったが、背割り後に肉片や脊髄片を目視で点検しトリミング除去しているのか、していないならするよう要請すべきでないか。回腸遠位部除去の検証ができなかったとのことだが、今後どうするのか。米国の飼料規制が不十分であることから、日本政府から改善を要請したはずだが、その回答の感触は得ているのか。
 

(厚) 国内のと畜場調査でも詳細は公開していない。査察内容に大きな違反はなかったので、詳細を公開する予定はない。背割り後の脊髄片除去は実施していないが、高圧洗浄している。HACCPの汚染確認をしているので、システム的には汚染はないようになっている。枝肉でのチェックはしている。回腸遠位部はFSIS(農務省食品安全検査局)のガイドラインによって除去することになっていて、指定された除去部位は日本の定義より長かった。
 
(農) 輸入再開の衛生条件を作ったときに、米国大使館に食品安全委員会の付帯意見を伝え、不適切なことは改善を求める。米国では飼育の方法自体が違い、子牛の餌は母乳と草が主体である。日本のように早い段階で切り離し穀物飼料を与えるのとは違う。フィードロットも玉蜀黍や大豆が中心で、肉骨粉は入るとは考えられない。
 
SRMの範囲は米国では30ヶ月齢以上だが、それ未満の牛で除去される部分はどういう位置づけか。肉質判定ができていない段階のものはどうなのか?
 
チキンリッターは給餌されていないという認識でいいのか。
 
月齢判定の格付官は何名か。月齢判定検討会報告では160名で27百万頭を格付けし、日本に比べて時間が短いから増員すると言っていたが。USDAは検査官の要件を信頼度98%としているが、これで信頼できるか。
 
(厚) 脊髄や脳はもともと取ることになって、付いていると不適格品となる。日本と同様にと畜段階(枝肉になる前)に取るように要請している。順番が狂っているところがあったので直してもらった。月齢判定は格付け段階で行なわれるので、と畜工程のSRM除去は全て日本向けと揃えるしかない。信頼度98%というのは、統計的なものでサンプルが少ないから100%にならない。
 
(農) 今回の調査農場ではチキンリッターは給餌されていなかった。それほど一般的に使われていないのではないか。カナダで見た限りでは、粗放的に飼育されており、日本と規制は違うが、良好な飼育環境と考えている。格付官は200名以上いて、ボスがいて指導をしている。日本向けの枝肉の格付けは他よりも時間を掛けている。追加検証のフォローアップを実施中。
 
重大違反への対応マニュアルはあるのか。査察の前に輸入されていたが、査察はどのような意味付けがあるのか。せめて「査察」が終わるまで待つ…ができなかったのか
 
査察で誤った部分は修正させたというが、なぜ査察後の輸入措置にならなかったのか。今後の検証体制はどうか?
 
(厚) 違反事例対応のマニュアルはない。個別処理となる。査察自体がアメリカの輸出自体を止める効力のあるものではない。2回目の査察は1月22日の週に行く予定。現在24ヶ所で輸入実績があるが、できるだけ輸入実績があるところを見たい。今年中には一通り見たい。
 
査察について、消費者と行政で位置づけが違うと実感した。
 
リスク管理機関は査察をオーディット(監査、audit)として実施しているが、消費者側はインベスティゲーション(調査・研究、investigation)と捉えている。説明の時には留意して欲しい。
 
(厚) 確かに「査察」という言葉にズレがある。米国の輸出プログラムが実施可能と思ったので食品安全委員会に諮問した。米国にはこちらの問題意識を説明しながらやってきた。米国政府が輸出プログラムで認証をした工場は輸出が可能であり、査察(オーディット)は輸出の条件ではない。査察していないところから早い時期に輸入されたので、色々な受け取り方があったと思う。食品安全委員会でも指摘されたが、感情的なものは認識している。
 
(農) 米国政府が認証して責任を持つ。認証のシステムが機能しているか否かを確認するのが査察の目的であった。個々の施設がどうといったことではなくシステム全体をみるものである。
 
消団連・神田 今日の説明ではすっきりしなかった。認識のずれがある。ルールは確認されたが、現場でのルールの実施が明らかでなかった。輸出をするパッカーの査察は全部やってもらいたい。パッカー毎に違いもあるということなので、それぞれの結果を知りたい。透明性のある進め方をしていただきたい。
 
(厚) 現場を確認しそれを報告した。今後3ヶ所(さいたま、東京、京都)でリスクコミュニケーションを行う予定。
 
道野英司・厚生労働省医薬食品局食品安全部
監視安全課輸入食品安全対策室長
池田一樹・農林水産省消費・安全局動物衛生課
国際衛生対策室長