[このページについてのご意見、お問い合わせなどはメールにて webmaster@shodanren.gr.jp までお送りください。]

全国消団連・トップページへ戻る

全国消団連では、2005年11月24日、食品安全委員会への意見書、厚労省と農水省への要請書を提出しましたので、お知らせします。




2005年11月24日

内閣府・食品安全委員会事務局評価課内
「米国及びカナダから輸入される牛肉及び
牛の内臓に係る食品健康影響評価」意見募集担当様

全国消費者団体連絡会
(全国消団連)
事務局長 神田敏子
千代田区六番町15
Tel:03-5216-6024
 

「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価に関する審議結果(案)についての意見
 

1.はじめに

 今回のリスク評価は、データが不十分であること、輸出プログラムの管理措置が遵守されることを前提に評価せざるを得なかったことを明確にし、更に、管理措置の遵守確認は、厚生労働省・農林水産省が責任を持つことを基本方針として作業を実施し、「結論」と「結論への付帯事項」がまとめられたものと理解しています。また、「結論への付帯事項」で、輸出プログラムが遵守されるためのハード・ソフトの確立とその確認は最も重要であること、遵守されない場合はこの評価結果は成立せず、一旦輸入を停止する必要があるとしている点は、重要な指摘であると受け止めています。
 

2.リスク評価の検討経過や「結論」「結論への付帯事項」等について、消費者・国民の疑問や意見を真摯に受け止め、きちんと対応するよう望みます。

 「結論」では、データの質・量ともに不明な点が多いこと、管理措置も遵守を前提に評価せざるを得なかったことから、「科学的同等性を評価することは困難」としています。同時に、「そのリスクの差は非常に小さい」と評価していますが、この評価の関係について、分かりにくい側面があります。そうした疑問のほか、現在行われているパブリックコメントや意見交換会等で出される疑問や意見にも真摯に耳を傾け、それに対する説明や対応をきちんと行うよう求めます。また、食品安全委員会は、リスク評価機関として、このリスク評価作業の検討経過や「結論」、「結論への付帯事項」について、今回実施した意見交換会等だけではなく、幅広い説明や意見交換の場を設けていくことが必要だと思います。
 

3.牛肉等の安全性を確保するために、食品安全基本法に基づく勧告など、今後も必要な措置をとるよう求めます。

 「結論への付帯事項」等で記載された、SRM除去に関する安全確保やサーベイランス検査の実効性、飼料規制の改善等、プリオン専門調査会が評価作業の過程で問題点として指摘した事項については、リスク管理機関に対し、食品安全基本法に基づく勧告として意見を述べる等、強い意志表示をすることが重要と考えます。

 また、「管理措置の遵守が十分でない場合には、一旦輸入を停止することも必要」と述べていますが、「管理措置の遵守が十分でない場合」とはどんな内容なのか、具体的に明らかにしておく必要があります。

 更に、「結論」では、「プリオン専門調査会は管理機関から輸出プログラムの実効性,及びその遵守に関する検証結果の報告を受ける義務がある」と指摘しています。リスク管理機関から継続的に報告を受け、その検証内容について評価作業を実施する必要があります。また、引き続き科学的知見等の収集に努めるとともに、新たな知見が得られた場合には、再評価を実施するよう要望します。
 

4.リスク評価機関とリスク管理機関は、コミュニケーションを深め、諮問のあり方も含め、リスク分析手法が的確に実施されるよう改善される必要があります。

 リスク評価機関である食品安全委員会とリスク管理機関である厚生労働省・農林水産省との間でのコミュニケーションについて、審議結果(案)では、「これまでの『中間取りまとめ』『BSE国内対策の見直し』等にあたり、リスク評価機関とリスク管理機関の関係を再確認せずに評価作業を進めてきた点に問題があった」としています。諮問を受ける際にはその内容・目的を明確にすることが非常に重要です。諮問のあり方も含め、両機関の役割や責任範囲を明確にした上で、密接なコミュニケーションを図ることが求められています。リスク分析手法が的確に実施されるようにしていくべきです。

 

 
2005年11月24日

厚生労働大臣
川崎 二郎様

農林水産大臣
中川 昭一様

全国消費者団体連絡会
(全国消団連)
事務局長 神田敏子
千代田区六番町15
Tel:03-5216-6024
 

米国・カナダ産牛肉等の輸入再開問題についての要請書
 

 貴省から諮問された米国・カナダ産牛肉等のリスクの同等性に係わる食品健康影響評価に関する審議結果(案)が、11月2日の食品安全委員会に報告され、現在パブリックコメントが募集され、全国7箇所で意見交換会が開催されたところです。

 審議結果(案)では、前提条件の遵守等リスク管理機関の義務について述べられています。今回の審査結果(案)については、輸出プログラム管理措置が遵守されることを前提条件とし、評価したものです。「管理措置の遵守が十分でない場合には、一旦輸入を停止することも必要」としたことについては、その通りだと受け止めています。前提条件の遵守や検証方法等を具体的に示し、その実施結果については、食品安全委員会及び消費者・国民への説明が必要です。輸入再開の判断は、消費者・国民とのリスクコミュニケーションを十分に行い、納得感のある進め方をするべきです。 

 米国産牛肉等の輸入再開問題について、消費者団体として、以下の点を要請します。
 

1.米国産牛肉についての輸入再開判断をする前に、リスクコミュニケーションを丁寧に行い、消費者・国民の疑問や不安に答え、意見を十分に聴き、消費者・国民の理解と納得を得る必要があります。その上で決定すべきです。

 事は食品の安全性の問題であり、国民の命と健康に関わる問題です。国民に対してその責務を負うべきリスク管理機関として、外交優先で判断するべきではありません。今後、意見交換会の開催などリスクコミュニケーションを実施し、説明責任を果たし、消費者・国民の理解と納得を得るべきです。わが国でのBSE発生以来の措置対応と信頼回復の積上げの経過をふまえて、適切な対応を求めます。
 

2.審議結果(案)でふれられたリスク管理機関の義務を果たすために、食品安全委員会の求めに対し真摯に対応するべきです。

 食品安全委員会の審査結果(案)では、対象国のBSE国内措置の現状についての情報不足、解決されるべき点が指摘されています。さらに輸出プログラムの実効性や検証の必要性も指摘されています。これら食品安全委員会の求めに対し、貴省は真摯に対応するべきであり、消費者・国民にもその内容を情報提供するべきです。
 

3.管理措置遵守の実効性と検証が困難な場合、リスク管理機関としてどうするのか、考え方、対応策について明示するべきです。

 対象国の管理措置遵守の実効性が確保されない場合、それが検証できない場合は、2004年10月と11月の日本と米国・カナダとの協議の前提が崩れ、輸入再開の合意が成立しないことになります。審議結果(案)では、「輸出プログラムが遵守されない場合はこの評価結果は成立せず、一旦輸入を停止する必要がある」としています。この問題について、食品安全委員会の提示を踏まえ、リスク管理機関としての考え方や対応策について明確にしておく必要があります。
 

4.リスク評価機関とリスク管理機関は、コミュニケーションを深め、諮問のあり方も含め、リスク分析手法が的確に実施されるよう、改善される必要があります。

 食品安全委員会プリオン専門調査会の審議の冒頭で、リスク管理機関との間で諮問の経緯や考え方等について意見交換がありました。それを受け審議結果(案)では、中間とりまとめやBSE国内対策の見直しなどにあたって、リスク評価機関とリスク管理機関の関係を再確認せずに評価作業を進めてきており、問題があるとの反省が述べられています。リスク管理機関からの諮問にあたっては、十分な情報提供とリスク管理機関としてのリスク低減のための管理措置案等を示したうえで諮問するべきだったと考えます。わが国でのBSE発生を契機に導入されたリスク分析手法が、的確に実施・運用されるよう、改善される必要があります。