2005年10月6日
総務省自治行政局
市町村課 御中
全国消費者団体連絡会
「住民基本台帳の閲覧制度等のあり方に関する検討会報告書(素案)」に関する意見
住民基本台帳の閲覧制度について、以下のように意見を申し述べます。
1. 現行の何人でも住民基本台帳が閲覧を請求できる閲覧制度を廃止することについては賛成です。
2. 閲覧者と閲覧目的を限定する新たな閲覧制度について
(1) |
閲覧される情報は個人情報であることから、新しい制度においては、個人情報保護の観点を重視した制度設計を要望します。 |
(2) |
国及び地方公共団体の職員による職務上の閲覧について閲覧を認める場合でも、だれがどのような目的で閲覧するのか、閲覧事由が明らかで、取得した個人情報の管理も確かなものか、手続き上も明確にして行われるべきだと考えます。 |
(3) |
社会調査については、基本的には閲覧を認めず、調査する者は別の手法を検討・研究して調査することにすべきだと考えます。特に、市場調査は営利を求める営業活動の一環であるため、閲覧を認めるべきではないと考えます。閲覧を認める場合でも、個人情報であるため個人の選択を重視し、オプトイン方式を導入した上で閲覧を認める制度とするべきだと考えます。
(理由)
- 世論調査、学術調査などの社会調査は公益性が高いという面はあります。
- しかし調査機関も様々あり、調査主体によっては営利を求める営業活動の一環として行われる場合も想定されます。
- 「素案」では、社会調査の成果が社会に還元されるかどうかを基準とするとしていますが、その厳密な線引きは困難で曖昧な部分が残ります。
- そのため、全てを公益性でくくり閲覧を認めることには無理があります。
- 市場調査については、公益性よりも営利のための営業活動の要素が強いことから、社会調査からはずし、ダイレクトメールなどの営業活動と同様に閲覧を認めるべきではないと考えます。
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(4) |
ダイレクトメールなどの営業活動(営利)のための閲覧について、認めるべきではないとしている「素案」に賛成します。 |
3. 閲覧方法等について
閲覧の請求事由を超えて閲覧されることがないように、運用面での実効性が各自治体で確保されるようにルール化をしておくべきだと考えます。
4. 不正な目的での閲覧や目的外利用を防ぐための仕組み
「素案」では、閲覧制度の透明性確保のために、閲覧請求者名、閲覧請求事由を開示するとしています。また、「素案」では、閲覧の請求があった時に閲覧の理由や個人情報の管理などについて十分な審査を行うとしていますが、その審査内容についても開示することが、透明性の確保や、自治体によるアンバランスの防止につながらないか、検討を求めます。
5. 閲覧により住民に不都合や被害などが発生した場合、あるいは可能性がある場合、被害の未然防止や個人情報の保護のために、苦情受付制度等の設置について、検討が必要ではないかと考えます。
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