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消費者団体訴訟制度については、今年6月に内閣府国民生活審議会で制度の在り方についてとりまとめが行われました。全国消団連では、今後の法制化に向けて、9月22日、別紙のような要望書を内閣府に提出しました。




2005年9月22日

内閣府 国民生活局
局長 田口 義明様

全国消費者団体連絡会
 

消費者団体訴訟制度の法制化に向けての要望書
 

 国民生活審議会消費者政策部会のもとに設置された消費者団体訴訟制度検討委員会(以下、国生審)において、「消費者団体訴訟制度の在り方について」(以下、「在り方」)が6月23日にとりまとめが行われ、6月30日の消費者政策部会に報告され確認されました。

 今回の「在り方」については、全国消団連の提言・要望との関係では不十分な点はあります。しかし、消費者団体に訴権を認めるこの制度は、消費者団体が長年にわたって求めてきた制度であり、わが国初めての制度が実現に向けて一歩前進したものとして評価できます。

 今後の法案作成に向けて、全国消団連として以下の点について意見を述べ、消費者団体にとってより使いやすく実効性がある制度として実現されることを要望します。
 

1.消費者団体訴訟制度の次期通常国会での実現を要望します

 被害を未然に防止し、被害拡大を防ぎ、市場の健全化をはかる制度として、早期の実現を要望します。
 

2.国生審のとりまとめを受け、制度の法案化に当っては、特に下記の点を要望します

(1)裁判所の管轄については、被告である事業者の本店だけに限定することなく、営業所など、不当な契約・勧誘行為が行われた被害発生地の消費者団体が、より提訴しやすい制度とすること要望します

 消費者被害は全国的に拡大しています。電話やインターネットを使う事業、通販事業では、本店所在地から離れた地域で被害が発生します。その場合、提訴可能地を事業者の本店所在地だけに絞ると、被害発生地の消費者団体が提訴することが困難となります。被害情報や証人の確保、また費用面でも一層負担が大きくなります。「在り方」の「管轄裁判所の決定」の項では、「双方当事者の合意による管轄など、一定の例外を認める必要がある」とも指摘しています。適格消費者団体がより提訴しやすくすることで、本制度の目的にそった活動が保障されます。

(2)差止めの対象に「推奨行為」も含めてください

「在り方」では、推奨の程度が多様であること、萎縮効果をもたらすことを理由に、「慎重に検討する必要がある」としています。しかし、重要なことは、既にモデル約款による被害が出ていることであり、それを防止することが「消費者全体の利益を擁護」することになります。事業者のコンプライアンスや社会的責任を果たすことが求められる現在、消費者基本法の事業者の責務規定に則った制度とするべきです。

(3)制度の実効性を高めるための方策について

  1. 国民生活センターや各地の消費生活センター及び行政がもつ消費者トラブルに関連する相談情報を適格団体に提供できるよう法制化を要望します。
     
    消費者トラブルの情報は国民生活センターや各地の消費生活センターなど行政関係に集中していますが、適格団体が被害事案の分析のために活用できるように法制面でも保障するべきです。
     
  2. また資金面における行政の支援策として、適格団体の負担軽減のための措置を要望します。消費者被害の拡大防止という公益性のある活動ですが、弁護士費用をはじめ費用は持ち出しとなるため、その負担を軽減する措置を要望します。
     

3.その他、この間の議論経過からの意見

 国生審でのこの間の議論において、主に事業者委員から出されていた主張の中で、以下の点ついて消費者団体として改めて意見を表明します。

(1)適格消費者団体の要件を過度に限定すべきではありません

 本制度の担い手となる適格消費者団体について、「事業者からの独立性」を厳格にするあまり、事業活動を行っている消費者団体や生活協同組合、個人事業者としての弁護士・司法書士などが、適格団体の運営に責任をもって関われない事態を招来することは避けるべきだと考えます(適格団体の人的基盤・財政基盤などの確立が著しく困難になります)。

(2)制度の活用を制約することに反対します

 事業者の中には濫訴・濫用を懸念する意見もありますが、今回検討されている制度は、訴訟の範囲を差止請求に限定し、一定の要件を満たす消費者団体のみに訴権行使が認められること、しかも行政による事後的担保措置も盛り込まれています。過剰な濫訴防止措置は不要だと考えます。事業者が主張していた「担保提供制度」「外部監査」などの導入は、制度の活用を困難なものとするため反対します。
 

※ 最後に

 今回、国生審で検討されてきた消費者団体訴訟制度については、消費者契約法を対象としていますが、次期通常国会において導入が決定された次のステップでは、独占禁止法・景品表示法・特定商取引法などの消費者関連法についても、消費者団体訴訟制度の導入に向け、早期の検討が開始されることを要望します。

 また、被害救済・不当利得の吐き出しにつながる損害賠償制度についても、同様に検討が開始されることを要望します。