2005年2月28日
農林水産大臣
島村 宜伸 殿
マスコミ報道によると、2月25日の衆議院予算委員会での公明党赤羽一嘉議員のBSE対策に関する質問に対する回答で、島村大臣が「全頭検査は日本で常識だが、世界の非常識だ」と発言されています。
現在、BSE国内対策については、農水省と厚労省から食品安全委員会に対し諮問をしています。こうした時期に、上記の発言をすることは、科学的な検討と判断を行う食品安全委員会への圧力であり、食品安全委員会の独立性を否定するものです。また、農水省から食品安全委員会に諮問されているBSE対策にも触れられていないことであり、農水大臣の発言としても矛盾するものであり適格性を欠いています。
この間のBSE国内対策については、農水省、厚労省、食品安全委員会が消費者・国民、生産者、事業者等の関係者とリスクコミュニケーションを行いながら、国内対策を進めてきました。そうした経過で相互の信頼関係が再構築されてきています。島村大臣の発言は、そうしたこの間の各方面の努力を無視する発言であり、農水大臣としての適格性も問われる発言です。
全国消団連では、この間BSE対策については、全頭検査、SRMの完全除去、飼料規制等、総合的な対策を求めてきました。この間、米国産牛肉輸入再開に関する報道が先行していますが、これまで行われてきた国内対策の評価と今後の対策について、食品安全委員会を中心に国民的な議論が優先して行われるべきです。米国産牛肉については、こうした国内対策の検討が終了した後に、国内対策を踏まえ、改めてアメリカのBSE対策について検討されるべきです。
国内で初めて変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の患者が確認され、15頭目のBSE感染牛が確認されています。消費者・国民は牛肉に対する関心が高く、不安も抱いているなかで、国内対策の強化が求められます。今回の島村農水大臣の発言が、米国産牛肉輸入再開を促進しようとする意図からであるならば、国民の健康よりもアメリカとの外交を優先しようとするものであり、断じて許すことはできません。大臣の発言の撤回と謝罪を求めます。
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