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 「政令で定める公益通報者保護法の対象法律(案)」についての内閣府の意見募集に対し、下記の意見を提出しました。
 公益通報者保護法の成立は、公益通報の社会的意義が確認されたという意味で、また企業のコンプライアンス経営を促進するという観点から評価しつつも、保護の対象となる事案を法令違反や犯罪行為などの事実に限定し対象を狭くしているなど問題点を指摘してきました。
 今回の意見書では、今後の施行準備や運用に当たっての要望についても意見を述べています。




2005年1月28日

内閣府 国民生活局
企画課 御中

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田 敏子
千代田区六番町15
TEL:03-5216-6024
 

「政令で定める公益通報者保護法の対象法律(案)」についての意見
 

1.対象法律について、政治・行政・税に関する法律を盛り込むべきです。

(1)

今回示された対象法律については、独占禁止法など公正な競争確保に関する法律、消費者関連法、環境関連法、医療法、福祉関連法、放送法など消費者・国民生活に関わる多くの法律が対象となったことは、評価できます。

(2) 一方、政治・行政・税に関する法律が盛り込まれていません。政治・行政・税の分野は、国民の命や健康、暮らしに直接関わる法律・施策・財政など重要事項を扱っています。消費者・国民の「国民の生命・身体・財産その他の利益の保護に関わる法律」として法律選定するならば、これら政治・行政・税に関する法律も対象にするのが消費者・国民の感覚だと考えます。

(3) なお、今回の対象法律は、別表に分野ごとに法律名が記されていますが、対象法律を選定する際の考え方、判定基準、どのように選定したのか説明がありません。パブリックコメント募集に当たっては、そうした情報も含めて意見募集するべきだったと考えます。

2.施行準備については、その具体的な内容と進め方、スケジュールを早期に公表し、消費者・国民の意見を反映しながらすすめるべきです。

(1)

施行準備としてガイドラインの作成があげられていますが、国民生活審議会での検討課題とし、消費者・国民の意見を聴きながら作成するべきです。

(2) 説明会については、地方自治体や関係機関の協力を得ながら、労働者・一般向けにできるだけ小さい単位で多数実施し、この制度について広く理解促進を図ることを要望します。

(3) 公益通報を考えた者が、保護の対象となるかどうか、また適切な通報先はどこか等、事前に相談できるようにしておくことが必要です。相談しやすい窓口の整備・配置についての考え方、具体的な進め方を提示し、十分な議論をしながら準備していくべきです。

(4) 事業者の不祥事が続く中で消費者利益を擁護していくためには、事業者のコンプライアンス経営、自主行動基準の策定・運営が重要です。同時に企業倫理ヘルプライン(相談窓口)の整備や社内教育の充実も重要となっています。政府としてこれら事業者の取組みについて、進捗状況の把握・評価とそれに基づく施策の推進が必要です。
 また、公益通報の実情把握と、公益通報者保護法の活用状況について、政府として継続して把握し公表していくことを求めます。