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 現在検討が進めている「消費者基本計画」については、昨年12月22日の国民生活審議会消費者政策部会に内閣府が「素案」を提出しました。これについて内閣府は1月31日までパブリックコメントを募集しており、全国消団連としての意見書を提出しました。




2005年1月22日

内閣府 国民生活局
消費者企画課 御中

全国消費者団体連絡会
事務局長 神田 敏子
千代田区六番町15
TEL:03-5216-6024
 

「消費者基本計画」の素案に対する意見
 

 「消費者基本計画」素案では、「政府全体として計画的・一体的に取組むに当たっての基本方針」であり、「今後、政府はこの計画に盛り込まれた内容を強力に推進する」としています。政府として消費者基本法に則り積極的に消費者政策に取組む姿勢を示したものであり、評価すると共に期待するものです。

 消費者政策が、消費者意見を反映し計画的に取組まれるよう、以下のように意見を述べます。

1.アクションプラン型の計画としたことを評価します。

 今回の「計画」素案では、計画の戦略が描かれなかったことは残念ですが、「基本的方向」として今後重点的に取組む課題が提示され、アクションプラン型となったことは、従来の消費者保護会議のスタイルと比べ前進と考えます。

 アクションプラン型の計画であることから、進捗状況について検証・評価・監視を毎年行い、必要な見直しを行うことになっており、今回の素案では検証・評価・監視に当たって、国民生活審議会の意見を聴くこととしたことも評価できます。

2.推進体制の整備を計画化するべきです。

 消費者政策の推進、計画実施に当たっては、「政府として強力に推進」するために、どのような推進体制で実施していくのか明記すべきです。

 消費者基本法の基本理念に沿った消費者政策を推進するためには、各省庁においても基本理念にそった政策推進が求められます。各省庁ごとに消費者政策の立案、施策の推進、消費者とのコミュニケーション等をすすめる消費者政策専門の担当部局が設置されるべきだと考えます。また、内閣府がリーダーシップをとり、関係省庁・部局・機関との連携を図り、施策の推進状況の点検・評価・監視、フィードバックを毎年実施していく体制や仕組みが、今まで以上に必要になってくると考えます。早急に検討を行い体制整備に着手できるように計画化するべきです。

3.具体的施策で計画化するべき事項について

 個別の施策では、消費者団体が要望した内容が盛り込まれており評価できる点がありますが、以下の点について、さらに計画化するべきです。

(1)

4月より個人情報保護法が全面施行されますが、5ヵ年の計画の中では法施行後の検証・評価、及び附帯決議で触れられた医療、金融・信用、情報通信分野での個別法についての検討が計画化される必要があります。
 個人情報の漏洩が現在も頻繁に起こっています。振り込め詐欺や架空請求による被害に結びつく個人情報の漏洩を防止するため、法整備や施策が早急に検討・実施されるよう計画化されるべきです。

(2) 消費者団体訴訟制度の整備では、特定商取引法への導入の検討や損害賠償請求制度の導入検討も、5ヵ年の中に位置付けるべきです。

(3) 消費者教育の推進について「計画」素案では、内閣府と文科省との「緊密な連携」を図り、「円滑な施策の推進」としていますが、具体的な内容が触れられていません。学校教育・大学教育・成人教育での現状調査、消費者教育の体系化の検討、指導要領への位置付け、実施体制等を含めたより実践的内容を計画に盛り込むべきです。また民間が行う消費者教育への支援策も計画化すべきです。

(4) 不当請求・架空請求では、悪用されている電話(携帯、固定)や口座の不正使用を防止するには、相談者から電話番号や口座番号の情報提供が必要です。消費生活センターの通常の相談窓口とは分けて、専用の相談体制を設け、迅速・適確な相談及び対応ができるようにするべきです。

(5) 「計画」素案では、消費者信用分野の諸問題について「平成17年度以降継続的に検討する」としていますが、検討内容を明記し、目標年限を設定してスケジュール化するべきです。高金利融資、過剰与信など多くの問題がある中で、どのように検討していくのか、検証・評価・監視ができる計画内容とする必要があります。

(6) 消費者基本法第6条では、事業者団体に自主行動基準作成の支援や消費者の信頼を確保するための自主的な活動に努めることを規定しています。施策の具体化の意味でも、被害の未然防止の観点からも、自主行動基準の作成が促進されるような施策の検討・推進を計画化すべきです。

4.消費者意見の反映について

 消費者基本計画に策定に向けて、昨年11月にはフォーラムが開催されましたが、再度、今回の計画「素案」をもとに、消費者との意見交換の場を設定し消費者意見の反映を図っていくよう求めます。

 また、今後毎年行われる進捗状況の検証・評価・監視の結果については公開されることになっていますが、それに関する消費者との意見交換の場を設定し、消費者意見が反映される運営を要望します。