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 迷惑メールについては、これまで2002年7月に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)が施行され対応してきていましたが、問題解決に至っていません。そこで総務省は、今年、総合通信基盤局長の研究会として標記の研究会を設置し、10月7日に第1回、10月22日に第2回を開催し、11月10日の第3回で検討の方向性について中間とりまとめを行い、パブリックコメントの募集をしました。
 迷惑メールは、架空請求や不当請求の入り口になり、被害防止のためには迷惑メールをなくす対策が求められています。
 こうしたことから、全国消団連では別紙のような意見書を総務省に提出しましたので紹介します。




2004年12月10日

総務省総合通信基盤局
電気通信事業部消費者行政課 御中

全国消費者団体連絡会
 

「迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会 中間とりまとめ案」に関する意見
 

 迷惑メールについては、これまで2002年7月に「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(特定電子メール法)が施行され対応してきていましたが、「中間とりまとめ案」でもふれているように未だ問題解決に至っていません。

 迷惑メールは、架空請求や不当請求の入り口になります。被害相談件数が2003年度46万件と急増している架空請求・不当請求の被害を防止するためにも、早急な迷惑メール防止対策が求められています。そうした観点から、以下のように意見を述べます。

1.消費者の視点からの検討を求めます。

 「特定電子メール法」第1条では、「特定電子メールの送信上の支障を防止」し「送信の適正化のための措置を定め」、「良好な環境の整備を図り」、「高度情報通信社会の健全な発展に寄与」することを目的に掲げています。

 また、今回の「中間とりまとめ」では、「電気通信事業者の設備に不要な負荷を大量に与えることを防止するという観点」「事業の遂行に支障」ということが主目的に書かれているように受け止められます。

 迷惑メールによる被害は、電気通信事業者だけでなく、電気通信事業者の顧客である消費者も被害を受けています。「受信者の平穏な生活を害するもの」という抽象的な表現だけでなく、迷惑メールが架空請求・不当請求という消費者被害につながっていることを踏まえ、被害にあった場合の受信者・消費者の対応の仕方、相談体制、被害者である消費者に負担がかからない配慮・対応策など、消費者の視点からも法制度・対応策が検討されることを求めます。

2.広告宣伝メールの送信は「オプトイン方式」を基本に検討されることを求めます。

 「中間とりまとめ」では、「当面はオプトアウト方式のもとでの取り締まり」をすすめることとしています。しかし、オプトアウト方式では、受信者が送信者に対して送信拒否の送信をすることにより、送信者に受信者の情報を提供することになります。架空アドレスへの送信を行う送信者に正確なアドレスを教えることになります。また、受信者が送信コストを負担しなければなりません。迷惑を受けた上に見ず知らずの送信先に返信することも受信者にとっては精神的な負担になります。

 「中間とりまとめ」では、オプトアウト方式を継続する理由として、欧米での導入効果がまだ明確でないことと、「営業の自由度」の制約をあげています。営業の自由については、一般的には保障されるべきです。しかし、大量の迷惑メールが設備への情報負荷を与え、コスト的にも負荷を与えること、多くの受信者・消費者さらに事業用に与える迷惑・弊害、社会的負荷を考えた時に、営業の自由がそれ以上の社会的な利益を提供できるのかどうか。迷惑メールの無差別送信を可能とする営業の自由は、消費者利益や企業利益につながるのかどうか疑問です。むしろ、架空請求・不当請求という詐欺・犯罪につながる迷惑メールに厳しく対応することが社会的な利益につながるのではないかと考えます。必要な営業情報は、受信を選択した受信者・消費者・事業者にのみ送信できる「オプトイン方式」を基本として対応策が検討されるべきです。

 仮に、オプトアウト方式を前提とする場合でも、送信者からの1回目の無差別送信があっても、以降、受信者が受信の意思表示をしなければ2回目以降送信できないこととするべきです。このことにより、架空アドレスへの送信者には使用されているアドレス情報の確認ができないことになります。

3.「迷惑メール相談センター」の広報と相談体制の充実を求めます。

 現在設置されている「迷惑メール相談センター」の認知度をさらに上げ、受信者・被害者・消費者がセンターを利用しやすいようにすることが必要です。そのために必要な広報と相談体制を確保することを求めます。

4.「中間とりまとめ」で触れられている「特定電子メール法」の見直し検討の方向性については、基本的に賛成します。

 「中間とりまとめ案」で触れている以下の点については、その見直し検討の方向に賛成します。

(1) ショートメールサービス(SMS)も迷惑メールと同じように「特定電子メール法」の対象とする。
(2) 事業用のメールアドレスに対するものも「特定電子メール法」の対象とする。
(3) (1)(2)についても表示義務を課す。
(4) 架空アドレス宛てメール送信を禁止する現行法の範囲を見直し広げる。
(5) 悪質な違反行為への取り締まりを強化する。
(6) 電気通信事業者による役務提供の拒否の見直し(事例の整理・拡大)。

5.総合的な対応策の早急な検討・対応と消費者への情報提供・意見反映を求めます。

 「中間とりまとめ」で触れているように、法制度対策だけでなく技術的解決策、電気通信事業者による自主規制等々、総合的な対応策の検討が同時にすすめら、早急な対応策が講じられる必要があります。また、「研究会」の構成員をみると事業者委員がほとんどで、消費者委員がわずかであることから、消費者・消費者団体への情報提供や意見交換を行うなど、消費者意見の反映を踏まえた対応策の検討を求めます。